マガジンのカバー画像

詩、誌、氏

702
詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
運営しているクリエイター

2024年3月の記事一覧

「落下」(詩)

涙が それは本当に 真っ直ぐに落ちる 何もさえぎらせない直線 哀しみを残酷に切り離す 涙は …

とし総子
2か月前
12

「春を待ったあとは」(詩)

春 春は瞬く間だ あっさりと手をはなす 君みたいだ 明日が晴れでも 月夜の晴れでも どしゃぶ…

とし総子
2か月前
14

137冊目の最後のページじゃないところの(たぶん)詩、三つ

あなたをください わたしはもうあなたです うそです 私は上手な鏡です あなたをください 少し…

とし総子
2か月前
12

「こころとせかい」(詩)

心はどこにあって どうしてふるえ そしてそれはわたしたちをいっぱいにし おおくのばあい なみ…

とし総子
2か月前
11

「くさはら」(詩)

対岸の汚れを 指に掬う   ところどころ 支え合った虫食い 徒党をくいとめた とうめいのあい…

とし総子
3か月前
9

「たいする」(詩)

たしかさに 言い知れぬ恐ろしさ ためらわなさに 言い含めた恥じらいを たえられることの 言…

とし総子
3か月前
8

「どこ」(詩)

どこに行きたいと どこへ帰りたいと 思わないでもない だけどどこへ 誰とどこへ 流れほどの清らかも持てず あなた さえも あなた 流れどころか溜まった水気にすら 心はうつろうのに どうすれば行けるのか 行きたいのか 行くはずと信じたかったのか あなた あなたさえ このまま行きたいと そのまま行くことを 流れを待つほどに穏やかに

「私」(詩)

たとえば 兄に殴られたとき 母に「私の母」という名を返上したとき 四階建てマンションの屋上…

とし総子
3か月前
10

「黒い髪」(詩)

黒い わたしの髪よ 真っ暗ではないことを 詰ったこともあった 先の方に進むにつれて片結びを…

とし総子
3か月前
9

「海と雨」(詩)

きょう 私の半分は雨だった 私の半分は海だった それなのに私は 満足そうな表情

とし総子
3か月前
8

「ワタシとワタクシとアナタ」(詩)

アナタがやわらかであれるように ワタシは居て ワタクシが柔らかで居られるように アナタは要…

とし総子
3か月前
11

「私に沈み込んだ海」(詩)

私に沈み込んだ海 静かに荒れている くらい空を広げて 互いの顔色を写し合う 何か生きものは…

とし総子
3か月前
15

「剣と鞘」(詩)

水は濁っているわ それがどうした 記憶が塗り潰されるわけではないんだ 私を叫べばいい 雲は…

とし総子
3か月前
9

「海」(詩)

言い訳はしない 私はいきたかった あの場所の 音の響きで あなたを呼ぶ 額装はいらない 厚紙のふるえを とじこめないで 波が私を呼ぶ つれていきたいのだろう つよく本心を晒せば けれど 言い訳はきこえないものだ 私はしずかに 波が打ち寄せるところにいる 雨の海で書いた詩  4分の2