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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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2023年12月の記事一覧

「うつくしい音」(詩)

私はうつくしい音で在りますように そりゃあ 光の方が速く手を触れるでしょう けれど 音の方…

とし総子
5か月前
9

「横顔」(詩)

静かな日々は もう別れを待っている 終わりなど 来なければいいと言いながら 目は別れの光を…

とし総子
5か月前
8

「マント」(詩)

ひとりきりで 死んでも ひとりきりで いかないで 遠く遠く 私を呼んで 私のマントで包んで…

とし総子
5か月前
7

「雷鳴」(詩)

だめだって 絶対って こころにもないことを喚く 歩かなきゃ 進まなきゃ そんなのとっくに背中…

とし総子
6か月前
8

「蝶の羽音がききたい」(詩)

雲が一瞬 太陽をかくす 君がいないことが こういうことであったなら 良かったのかな 蝶の羽音…

とし総子
6か月前
7

「あたまを撫で」(詩)

しあわせな光 揺れておいで たくさんの頭を撫で たくさんの死を生と混ぜ合わせる しあわせの…

とし総子
6か月前
7

「もしもに揺れる」(詩)

あなたがもしも生きていたら 私は幸せだったかしら 悲しみは他にあてられ 譲れる場所があったかしら たとえば花は生に咲くもので 死へ寄り添うものだとは思わなかった? 虫を見ても 雲を見ても すぐに消えてしまう雪の影にも あなたのことを思いだしたりはしなかったでしょう あなたがうつくしいそのままを見て すぐそばにある他の生きる光に目は向かわなかったはず それが幸せかどうかなんて 誰がどこからどの角度で見極めてくれる あなたが生きていたなら 私はそりゃあ幸せだ だってあなたが

「私の詩」(詩)

私の中の詩 たましいのスケッチだと言ったり 窓枠で切り取った世界の一瞬だと言ったり 私の鼓…

とし総子
6か月前
12

「無口で無愛想で無為な」(詩)

いい子だねと言った口に 泥だんごを かわいいねと言った手に ひっかき傷をつけた 無口で不愛…

とし総子
6か月前
6

「夜の淵」(詩)

夜が恐かったわけじゃない 私を奪うものが恐かったの 星は矢となり 夜を射る 夢よ醒めろと月…

とし総子
6か月前
5

「雪は消える」(詩)

雪の呼ぶ声が耳をつまんだ 小さな音だ 気にかかって 首をふると 消えてしまうような 詩のよ…

とし総子
6か月前
6

「いたらぬ言葉」(詩)

宛てはない それでも口は動きたがる 唇からこぼれたがる あいしてるって? もういないひとに…

とし総子
6か月前
9

「いっしょにいる」(詩)

誰かと話をすればするほど 私は私だ と思う 当たり前に隔絶したまま 当然の顔でそばにいる …

とし総子
6か月前
7

「誕生日」(詩)

あなた こんなに 私たちをあいしているのね 白い羽根の天使 粉雪のバースデー しましまの靴下 あたたかな手ぶくろは赤 名前をかんちがいする猫みたい やさしいも 厳かも 私たちの理想を堂々と覚えた あのね 私たち あなたのお母さんには多すぎる 私たちは勝手に生きて 身勝手に純粋にあなたを愛しているだけなのよ せめて一緒に生まれたのなら おめでとうも重ねて聞こえたのに あいしてる ごめんなさい さようなら 私たちはきっと そんな風に あなたを残して滅ぶのに