捨て猫の末路

捨て猫の末路

私は小さな黒猫。ある日、見知らぬ人間に拾われ、温かい家に迎え入れられた。しかし、しばらくすると、その家の人々は私に興味を失った。次第に、私に触れることも、話しかけることもなくなり、私はただの厄介者と化していた。

ある雨の夜、私は車の後部座席に乗せられ、見知らぬ場所へと運ばれた。車が止まり、ドアが開くと、私は無理やり外に押し出された。暗闇と冷たい雨が私を包み、車のエンジン音が遠ざかるのを聞いたとき、私はもう二度と家に戻れないことを悟った。

私は恐怖と不安でいっぱいだった。雨が止むまで身を隠す場所を探し、廃屋の影に身を潜めた。お腹が空いて仕方なかったが、周囲には食べ物が見当たらなかった。日々が過ぎるにつれ、私はますます衰弱していった。

ある日、通りかかった子供たちが私を見つけた。彼らは興味本位で私に石を投げ、追いかけ回した。私は必死に逃げたが、体力は限界に近づいていた。隠れる場所を見つけ、息を潜めながら、その場で震えていた。

次の日、私はかろうじて歩ける程度の力しか残っていなかった。お腹が空きすぎて、足元がふらついた。人間が通り過ぎるたびに助けを求めるような視線を送ったが、誰一人として私に気づくことはなかった。

ついに、私は力尽き、路地裏の片隅に倒れ込んだ。目の前がぼやけ、体が冷たくなっていくのを感じた。もう動くことはできなかった。空腹と孤独、そして捨てられた絶望感が私を包み込み、私は静かに息を引き取った。

最後の瞬間、私の心にはただ一つの願いがあった。温かい手で撫でられ、名前を呼ばれ、愛されること。その願いは叶うことなく、私は静かに消えていった。誰にも知られることなく、ただ一匹の捨て猫として、この世から去ったのだ。

私の命は短く、愛されることなく終わったが、もしも次の生があるなら、温かい家庭で幸せに暮らしたいと願う。そう思いながら、私は永遠の眠りについた。

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