地方の不寛容な空気は変えられるか2「若者のミカタ」シンポジウムを視聴して

1時間33分44秒ころ
「概ねのですね、地方行政における芸術文化というのは、概ね観光業として見られているわけです。そうではなくて、産業政策だと。教育だというふうに考えて位置づけた方が…(中略)文化芸術を重視をするというのは、非常に重要な経済政策になり得るんだろうと。少なくとも、見込みのない事業に補助金突っ込むよりは、芸術に金を突っ込んだ方が次の将来、世代を育てるんじゃないかということが分かります。」

2022年3月27日、地域の「寛容性」をテーマにしたシンポジウムが秋田市で開催されました。
基調講演は、なんとライフルホームズ総研所長の島原万丈さん!
わたしも以前こちらの記事で触れた、地方の寛容性に関する報告書をまとめた最終責任者の方です。


まさかその島原さんが、わざわざ秋田県まで出向いて講演をして下さるとは夢にも思わず、大変驚きました。
秋田魁新報と地元の商工会による尽力でこのシンポジウムが開催にいたったということで、秋田もまだまだ捨てたもんじゃないなという気がします。
大変示唆に富んだ内容で聞き応えがありました。


島原さんは講演の最後に、芸術文化の重要性について触れて講演を締めくくっています。
確かにそこは大変気になります。
例の報告書にも、芸術・文化が地方へ人を呼び戻す要因として非常に関連性がある、とされていましたからね。

Uターン意向と強い正の相関を持つのは、社会増減率などの人口関連指標に加え、『学習・自己啓発・訓練行動者比率」「芸術・文化の行動者比率」といった生活関連指標のうち、文化・カルチャーに関する項目である。(95p)

秋田の人口減少に関して「仕事」「子育て」ばかりが注目されますが、ぜひ芸術・文化にもライトが当たればいいなぁと思います。
そうすれば、おそらく秋田の寛容性の低さについてもう少し踏み込んだ議論が可能になると思うからです。
たとえば、竿燈となまはげです。

どちらも秋田の有名な伝統文化ですが、実はこの竿燈となまはげ、両者とも未だに女性排除をつらぬいている珍しい文化です。

さて、子供から大人まで参加する事の出来る竿燈ではありますが残念ながら女性は参加する事ができません。竿燈は女人禁制だからです。
しかし、1980年から囃子手として女性も祭りへの参加が認められています。

※「1980年から囃子手として女性も祭りへの参加が認められ」とありますが、あくまで囃子手としての参加が認められているだけであり、メインの竿燈への女性の参加は未だに認められていません。


芸術・文化に関心を持つ層というのは、感受性の高い場合が多いですから、地域の寛容性についてより敏感に感じ取っているかもしれませんね。
今回のシンポジウムでパネリストとして呼ばれた若者の中には、「地域で不寛容を感じたことがありますか?」という質問にYESと答えた人は一人もいませんでしたが、芸術・文化の分野で活躍する若者であればもっと別の意見が出たと思います。
基調講演で島原さんも仰っていることですし、秋田魁新報の「若者のミカタ」で芸術・文化に注目した記事が出ないかなぁ。
すごく読んでみたいです。


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