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五城目朝市 季節の移ろいとともにゆったりと流れる時間

こんにちは、五城目町地域おこし協力隊のちゃんりか(張梨香)です。この町に関わり始めてから約5年、移住をしてきてから、1年半が経ちました。今回は、この町を語るには欠かせない「朝市」についてご紹介します。

 約525年前、現・馬場目地区の「町村(まちむら)」という場所に「市」を開いたのが始まりと伝えられています。その後、市は流通の拠点として栄え、さまざまな職人が集まり、農作業や生活に必要なものが全てが揃っていました。市は、民衆のパワーにより、さまざまな時代のうねりをのりこえ今日も繁栄し続けています。
(五城目町HPより一部引用:http://www.town.gojome.akita.jp/gojomeasaichi/26.html

朝市は2、5、7、0 の付く日に行われます。(2~3日に一回!)食品を中心に、春は山菜、夏に色鮮やかな野菜、秋から冬にかけてキノコや根菜類など、四季の旬のものが並び、各季節ごとのイベントも開催されます。(今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止)
通常は登録した出店者のみが出店できますが、数年前より定期朝市の開催日が日曜日にあたる日は「ごじょうめ朝市plus+」=「朝ぷら」として、一日のみの出店が誰でもできるようになり(なんと出店料は210円!)、朝ぷらの日は特に若い世代の出店と来訪客が目立つ日となりました。(今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となりましたが、規模を縮小して「臨時出店者」が出店しています)

●朝市を昔から支える出店者の方々

 「朝ぷら」こそ多くのメディアに取り上げられ、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、当然ながら平日の朝市も休むことなく続けられています。ですが、人口減や出店者の高齢化など様々な要因が相まって平日の朝市は朝ぷらに比べればものさみしく感じるかもしれません。ただ、人々の日常に欠かせないものとして何百年も営まれてきた朝市です。数は減れど、季節の移ろいとともに朝市の時間も流れ続けていて、そこで日々の食材を求めて訪れる地元住民は多くいらっしゃいます。私もその一人です。
今回はたくさんいらっしゃる出店者さんのうち、その一部の方々をご紹介します。

〇大黒屋さん(鮮魚)

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朝市通りの一番奥(高性寺がわ)に位置する「大黒屋」は御年73歳の“スガさん”と妹さんが営む鮮魚店です。「写真はちょっといいよ」と照れながらも、取材に応じてくださいました。「約46年の間、どんな時も休まず出店してきた」と誇らしげにお話されるスガさんは朝市の移ろいを見てきたおひとり。「混雑しすぎて向かい側の店に行けない時もあったんだ」とお話しされます。
スガさんは、いつも大盤振る舞いで色々なものを食べさせてくれます。10月初旬のこの日は採れたての白魚をごちそうしてくださいました。私は、いつもお味噌汁のおいしいお出汁になるシジミを購入します。なぜかいつも帰り際に缶コーヒーやサイダーを持たせてくれるのがこの店のあったかさです。

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〇佐藤和子さん(野菜など)

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こちらも古参のおひとり、御年80歳。いつも天王から軽トラで新鮮な野菜を運んできている八百屋さんです。朝市に出店するようになる前は、20年間ゴルフ場でキャディを勤めていたという和子さん。何を聞いても答えてくださり、お話の節々からかわいらしさがのぞけます。
この日は秋らしく根菜類がたくさん並んでいました。なんとおひとりで1,500本近くも植えており、これから季節に合わせてたくさんの種類が出てくるそうです。そしてこちらにもふかしたおいもの試食が。ほんの少し塩味の効いたサツマイモは、甘くておいしくて、買わずにはいられませんでした。そして皮を剥いた里芋、そのひと手間が嬉しい…!和子さんも、ひとカゴ買えばおまけのサツマイモを2本も付けてくれました。

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〇近野格也さん(野菜など)

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こちらは、天然のきのこが目立つ近野さん、御年78歳のお店。五城目町に住み、まちづくり推進協議会のメンバーとして、また、町で毎年行われてきた「きゃどっこ祭り」の推進委員として町を支えてこられたうちのおひとりです。「あの頃の活気がなくなってしまった」とちょっと寂しげにお話しされていましたが、お店には次から次へとキノコを求めてくる人たちが。大曲から来て20箱買っていく方もいたとか。私もなめこを一皿購入。スーパーで買うなめことは大違いで、弾力があり香り高いなめこでした。

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〇渡部和子さん(果物)

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そして秋のこの時期に大人気なのが、男鹿の梨屋さん「たかよしの梨畑」。ここの梨が来ると、噂がまわり、行列ができます。21年ほど前から販売しており、はじめはコンテナ2つほどの販売から始まったけれども、今では箱買いの要望にも応えてくれます。
 このお店の梨の特徴は和子さんのおしゃべり…ではなく(笑)、なんといっても見たことないサイズの大きさとそのお値段(まん丸でないから安くできるそう)。手際よく梨を切り試食させてくれる和子さんのお喋りに乗せられて、ついつい買ってしまいます。(もちろんそうでなくても買いますが!)そしてやっぱり付いてくるオマケのひとつ。こんなにサービスして大丈夫なの?!と心配にもなりますが、ありがたくいただくことにしました。

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●さらに朝市を支える「わくわく盛り上げ隊!」と若い世代の出店者たち          

 ここまでは、平日にも出店されている方々をご紹介しましたが、近年の盛り上がりを支える立役者でもある「五城目朝市わくわく盛り上げ隊!」についてご紹介します。そのうちのおひとり、佐沢由佳子さんです(写真右)。

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由佳子さんは朝市通りの「丸六物産」がご実家で、小さいころから朝市とともに育ってきた方。昔のにぎわいを取り戻したいと皆が思い続けつつも、なかなか突破できないその課題に対して2014年に着任した地域おこし協力隊と協力しながら、現在の「朝ぷら」につながる活動を始められました。
 由佳子さんをはじめとした「わくわく盛り上げ隊!」のみなさんは、朝ぷらのイベントを企画したり(夏は浴衣祭り、秋はハロウィン!などなど)、常に朝市の情報を発信したりされています。詳しくはFacebookページ(リンク:https://www.facebook.com/asaichimoriagetai)を登録してみてください!


〇津野商店さん(乾物など) 

朝ぷら(現在は臨時出店)に出店されている「津野商店」さんをご紹介します。

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もともと由利本荘市で乾物や海産物等を中心に卸業を営んでいらっしゃいましたが、2019年より朝市ぷらすに出店。朝ぷらに出店を始めたことで、今まで触れ合えなかった層のお客さんとの交流や、そこから得た情報や意見をフィードバックさせることで販売する商品の幅の拡がるなど、たくさんの効果が得られたと笑顔でお話ししてくださいました。私も津野商店さんで購入した粉の昆布だしをおにぎりに混ぜてみましたが、とても美味しかったです。

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津野商店さんのほかにも若い世代の方が出店していて、ここでは紹介しきれないのですが、個人出店から家族での出店(お子さんも!)など、本当に色々な方々がいらっしゃいます。実際に足を運び、そのにぎわいを感じてみてください。


昔からの出店者だけでも、若い世代の出店者だけでも成り立たない五城目朝市。若い世代だけで盛り上がっても何百年と続くこの歴史は違うものになってきてしまいます。現在の朝市は、そのバランスがとてもいいと感じます。
現・五城目町議会議員の荒川滋さんも、「朝市は五城目の顔。将来に残していかなければいけない」とお話されます。滋さんは、朝市どおり奥の「荒要商店」を営まれています。4月〜11月には週末の朝市開催日に自ら出店し、出店者としても朝市に関わっていらっしゃいます。

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人々の生活にとけこむ五城目朝市です。外面の盛り上がりだけでその良し悪しをとらえるのではなく、実際に足を運び、人と人とのあったかさの中で買い物ができる心地よさを体験してみてください。ぜひ、お待ちしています。

◆開催日
毎月2、5、7、0のつく日に開催(朝市ぷらすは日曜日にあたる日)
※ほか臨時市3回開催:5月4日「祭市」、 8月13日「盆市」、12月31日「歳の市」
※朝市ぷらすは11月まで。今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により規模を縮小し「臨時出店者」が出店
◆開催時間
午前7時~正午ごろ(朝市ぷらすは午前9~12時ごろ)
◆開催場所
五城目町下タ町通り(通称:朝市通り)
駐車場はこちら(リンク:https://goo.gl/maps/QZF54QzBAxQEKf6BA
(引用元:Google社「Google マップ、Google Earth」)
◆イベント
山菜まつり(5月中旬),市神祭(6月中旬),「みずたたき」まつり(7月中旬),きのこまつり(10月中旬),あったか鍋まつり(2月中旬) など
◆お申し込み、お問い合わせ先
朝市ふれあい館 018-852-5110
五城目町役場商工振興課 018-852-5222

【撮影:鄭 伽倻】
【著:五城目町地域おこし協力隊 張 梨香】

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