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記憶に住まう怪獣

小学生時代、私にはゴンという親友がいた。坊主頭でぼんやりとした男の子だ。本名に「ゴン」にまつわる名前は入っておらず、どうしてそのようなあだ名が付いたのかは思い出せない。

クラスは違ったが休み時間になると隣のクラスへ遊びに行ったり遊びに来たり。夏休みになるとほとんど毎日のようにお互いの家に行ったり来たりしていた。自分ルール満載のポケモンカードで遊んだり、駄菓子屋でブタメンをすすったり、カスタムロボで遊んでいたりしていた。

砂利道裏の、平屋が並んだ小さな家にゴンは住んでいた。いつ行ってもダラッと緩んだパジャマを着ていて、お昼にはいつもなめ茸ご飯を食べていた。父親には一度も会ったことがない。死別したのか離婚したのか、理由は聞いたと思うがなんせ十年以上も前の話だ。

会社に勤めていたころは通勤途中で必ずゴンの家の前を通る。さすがに今でもここに住んでいるとは思っていなかったが、数年前に偶然にもFacebookで再開することになる。ゴンは母親に不信感や怒りを持っていたらしく、高校卒業を機に家元を離れて今ではホストになったそうだ。あのぼんやりとした性格だった昔を考えると、ホストで働いている姿が想像できなくて驚く。

ゴンが地元に戻ったときにはまた昔みたいに遊ぼうと話したが、このやりとり自体がすでに六年前だ。それから、ゴンが地元に戻ってきたのかはわからない。Facebookの更新もない。今、生きているのか死んでいるのかさえも。それでも、私の大嫌いな小学校の数少ない大切な思い出だ。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652