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農協って敵ですよね?とあまりに聞かれるので…

秋元里奈@食べチョク代表

こんにちは。食べチョク代表の秋元です。

食べチョクは生産者と消費者を直接つなげる“オンライン直売所”で、現在全国から4000軒弱の生産者さんが登録。お客さんの認知度や利用率、アクセス数など産直ECサイトでNo1となっています。(※産直ECサイト:生産者が消費者の自宅へ商品を直送することを特徴とする生産者特化型のECサイト)


こういう事業をしていると、「農協って敵ですよね?」と聞かれることがあります。

農協さんとはそもそも全く事業規模も組織体も違いますし、甚だ僭越ではありますが…よくない方向に誤解されているケースも多々あるので、改めてこの場で私なりの考えを記しておこうと思い、noteを書くことにしました

※特定の個人/団体を批判する意図はありません。
※この記事をみて「あ、そういえば私も以前聞いてしまった…」という方もいらっしゃると思いますが、責める意図はないのでどうか気になさらないでくださいm(_ _)m


お時間のない方も多いと思うので、最初に私のスタンスをまとめます。農協さんというよりはもっと広く他の中間業者さんを含めてですが、「全てのニーズを満たせるサービスは存在しない(だからこそ食べチョクができた)」「大多数の事業体が真摯に取り組んでいる」「もしも生産者さんの選択肢を奪う行為があるならそれは許してはいけない」です。

全体的にポジティブ
・提供しているサービス価値は異なり、すみ分けができていると認識しています。結果として農協さんに呼んでいただいて講演させていただくことも多々あります。
・これまで邪魔されたことはありません。今後もないと思っています。
・自分の知人友人含め、農協の職員さんは真摯に生産者さんに向き合っている方がほとんどです。
・(個人的に)実家ではずっと農協さんにお世話になっていたので感謝の気持ちが大きいです。
一部のネガティブ
・農協さん以外にも中間業者は存在しており、一部の生産者さんから「とある中間業者さんの影響で直販できない」という声を聞いたことがあります(伝聞なので事実かは定かではありません)。
・もし生産者さんの選択肢を奪うことがあるならば、その行為は決して許してはいけないと考えています。

詳細については以下に記載します。ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。


サービス提供価値の違い

まず食べチョクと農協さんなどを介した市場流通との提供価値の違いについてです。

食べチョクは生産者さんと消費者を直でつなぐサービスのため、「生産者が価格を決められる」「粗利が高い」「直接ファンがつく=顧客の声が聞こえる」というメリットがあります。一方で、生産者自身で梱包をして発送しなければいけないので、出荷の手間はかかりますし、お客さんと直に繋がることは嬉しい声だけではなく厳しい声も聞くことになります。また、出品したら必ずしも売れるわけではありません。(※食べチョクでは上記のデメリットを減らすために、出荷の手間削減に向けたヤマト連携、お問い合わせの代理対応…など施策は打っていますが、まだまだ完全ではありません。)

市場流通にのせる場合のメリットは「規格に沿ったものであれば基本的に全量扱ってもらえる」「個別包装をすることなく大量に出荷をすることができる」「市場を介すことにより付けられるブランド名がある」などが挙げられます(※条件は地域や作物ごとに異なります)。 一方で、同じ規格であれば価格は一定となるので、個々人の栽培のこだわりで付加価値をつけて販売することはできません。またネガティブなフィードバックは届かないものの、同様に嬉しい声も直接は届きません。

こうやって比較をしてみると、全く提供している価値が違うことに気付いていただけると思います。食べチョクは主に中小規模の生産者さんに向けて「こだわり生産物が付加価値をつけて売れる場を作りたい」と思って立ち上げました。ですので、大規模で効率的に栽培をされている方など、「なるべく手間なく量を出したい」という生産者さんには食べチョクよりも圧倒的に市場流通が適しています。

これはどちらが良い悪いという話ではありません。市場流通の仕組みがあるからこそ全国に食糧が安定供給されており、スーパーに行けば年中様々な食材が手に入ります。この仕組みはなくてはならないものです。一方で、小規模な生産者さんが作る商品にももっと光が当たるべきだと思っており、食べチョクではそこに注力しています。

なお、農協さんが運営されている直売所も多く存在し、食べチョク関係でお会いする中小規模の生産者さんは直売所を利用されているケースも多い印象です。直売所では生産者さんが価格を付けて販売をすることができるので、食べチョクと同様のメリットが得られます。一方で生産地での直売所というのは供給過多に陥りやすく、熾烈な価格競争が起きている場所もあります。食べチョクは主に五大都市圏に住んでいる方が利用しているサービスなので、地方の直売所さんとも購入者層の観点で明確に提供価値のすみ分けがされていると認識しています。

実際食べチョクを利用されている生産者さんの中には、市場や直売所など他の販路と併用しながら利用している方も多くいらっしゃいます。上記のように販路それぞれにメリットデメリットがあるため、生産者さんの考えや商品に合わせて適切に販売先のポートフォリオを組むべきです。

残念ながら、全てのニーズに応えられるサービスは存在しません。だからこそ、「生産者さんにたくさんの選択肢があり、それを自由に選べる」という状態を目指すことが重要だと思っています。


現在と今後の関係性

邪魔をされたりしないんですか?と聞かれることもありますが、事実として農協さんをはじめとする何らかの事業者さんから邪魔をされたり圧力をかけられたことは一度もありません

むしろ最近は地域農協さんから講演のオファーなどをいただくこともあり、とても嬉しく思っています。講演では「直販の可能性」などのテーマで、どういうニーズが増えているのかなど食べチョクでの成功事例を共有させていただいたりしています。また、農林中央金庫さんの事例になりますが、年に1度発行しているバリューレポートにて対談記事を載せていただいたこともあります。この対談記事の最後の方でもスタンスについてお話ししました。

実際に中の方とお話ししていると、とても前向きな意見をくださる方が多く、「今の提供価値だけではなく色んな可能性を模索していきたい」「少しでもヒントを持ち帰れたら」というポジティブな気持ちでお声がけをいただいています。まだまだ小さいサービスではありますが、私の知見にニーズがあるのであればこれからも出来る限り応えていきたいと思いますし、よりサービス価値を高められるように頑張りたいなと思います。


上記のような説明をすると、「まだ小さいサービスだから邪魔をされないだけでは?」という意見もいただきます。確かに産直ECサイトでNo1とはいえ、そもそも産直ECの市場自体がまだまだ小さく、食べチョクの流通規模は数十億円ですので、農協さん全体の流通規模からしたら小さいサービスです。しかし今後さらに事業が大きくなったとしても、関係性は変わらないはずだと思ってます。

そもそも流通規模にかかわらず、農協さんや一次産業の事業者さんと食べチョクの間で何かしらの「邪魔」をすることに、お互いに何のメリットもありません。私たちが農業界に良い影響をもたらす事業を続けられている限り、その企業に対して邪魔をすること=明確に業界にとってネガティブな行為となり、これだけ情報がオープンになった時代においてレピュテーションリスクが高すぎるという問題もあります。そしてこれはもちろん農協さん以外の事業者さんに対しても同じです。

いろんな方とお話をしていても、皆さんが「一次産業を良くしていきたい」という共通の想いを持っています。私たちも想いを共にして、少しでも業界に貢献できたらと思ってます。


中間業者は「悪」か?

中間業者は悪者にされがちです。しかし本当に悪者であれば長い時代の中で淘汰されてきたはず。 そうなっていないのは、中間に入るからこそのバリューを適切に発揮しており、それが認められているからです。なので中間業者=悪ではありません。むしろ事業を長く続けられている=顧客から求められ続けている多くの中間業者は「善」であるはずです。

なお、まれに誤解されますが、商流の間に入っているという点では食べチョクも中間業者といえます。物流は直接ですが、代金回収や注文取次で間に入り、販売手数料をいただいています(手数料下げたい気持ちは山々ですが、これ以上は全然事業が成立しないのでご容赦ください)。

食べチョクがそうであるように、農協さんに限らず中間業者はたくさん存在しています。その“ごく一部”において中間業者による搾取=不当な取引や生産者が自由に販路を選べないようにする状態が存在していると聞いたことがあります(伝聞なので事実かは定かではありません)。もし本当にそのようなことが起きているならば、当たり前ですが生産者さんの自由な営業を妨害する行為は絶対に許容してはいけないですし、また食べチョクが無意識にそれに加担することがないように意識しないといけません。

中間業者の存在自体ではなく、生産者の自由な意思決定を奪っていることがあるならば、その行為は「悪」だと思います。前提として、多くの中間業者は「善」です。だからこそ一部の事業者の行いによって全体が「悪」と捉えられてしまうことは、真面目に取り組んでいるその他多くの事業者にとって非常に不本意なことですし、もしそのような行為が実在しているのであれば、私はその中間業者による不当な搾取、不当な圧力は許容しません。


最後に

私の実家(野菜農家)でもずっと農協さんにお世話になっていたので、個人的には農協さんへ感謝の気持ちがとても大きいです。また農協さんで働いている友人もおり、彼ら彼女らの一次産業への熱量も知っています。だからこそ、誤解が起きてしまうことは不本意であり、このnoteを書くに至りました。

農協をはじめとする中間業者の存在意義はとても大きいです。私たちも事業説明資料やプレゼンの場においてよく以下の図を使って食べチョクのメリットを説明しますが、どうしても誤解を生んでしまうことが悩みでもありました(講演ならしっかり意図を説明できるのですが、ピッチ大会やメディアなどでは伝えられる情報が限られる)。

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そんな中でようやくこのnoteがかけたので、今後は説明の際にこのnoteを積極的に活用していこうと思います(HPにも掲載したいな…)。

「生産者のこだわりが正当に評価される世界」に向け、引き続き邁進して参ります。


(追記:2021年4月より双子の弟がJA職員になりました!弟をよろしくお願いします🙇‍♂️)

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秋元里奈@食べチョク代表

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秋元里奈@食べチョク代表
7000軒の生産者が集う産直通販サイト「食べチョク」代表 / ビビッドガーデン代表取締役社長 / 生産者のこだわりが正当に評価される世界を目指す👨‍🌾🔥