AKIRARIKA

サラブレッド大好きの道産子男子です。過去の取材から掘り起こした小説が、いよいよ大空へと…

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サラブレッド大好きの道産子男子です。過去の取材から掘り起こした小説が、いよいよ大空へと!皆様、「翔べ大空の彼方へ」どうぞ宜しくお願いいたします。

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  • 翔べ君よ大空の彼方へ

    AKIRARIKAと申します。サラブレッド、乗馬大好きの道産子です。初めて馬の背に揺られたのが20歳、あの瞬間の感動は今もなおこの手のひらの中に。馬の鼓動、息吹、命の力強さ。《いつか必ず競馬小説を書く!そして、その売り上げを引退馬支援に繋げる!》  大好きだったお馬さんを天国に見送り、構想を重ね遂に完成した作品「翔べ君よ大空の彼方へ」・・・ 物語はまだまだ続きます。  第2章途中からの有料配信となります。皆様からの支援を、引退馬支援へと繋げます。具体的には、皆様からの支援金(購読料他)の寄付、牧草送付等を行います。現在数ヶ所の牧場より連絡を受けており、受け入れ可能となっております。また、寄付実施後には、note内にて報告させて頂きます。  拙作ではありますが、購読の程お付き合いいただければ、また、1人でも多くの賛同者の目に留まれば幸いです。

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翔べ君よ大空の彼方へ     いざ出陣🐴🐴🐴

 皆様、初めまして。サラブレッドを愛する道産子男子です。過去の取材や乗馬などの実体験をもとに、3年をかけて作り上げた「翔べ君よ大空の彼方へ」がいよいよ大空へと羽ばたきます。  やがて2人は別々の道を歩む。 1人はジョッキーになるために、1人は牧場スタッフになるために。  2人の共通の夢・・・それは2人が育て上げた競走馬で世界を制覇する事。日本を代表する名馬達がことごとく弾き返された欧州の高き頂きの制覇を。果てしなく厳しい道が2人の前に立ちはだかる。  喜びも、涙も、出会

    • +28

      馬旅に行きました🐴🐴

      •   5-㉓ 覚悟

         彼の空白の期間を埋めるかの如く、皆が翔馬の周りに集まり、思い思いにそれぞれの話題を振りまいていた。  中山競馬場の近くに引っ越しをし、週に3度のアルバイトで食べ放題の恩恵を受けている男性とその雇い主。  誰に抱かれても泣く事なく、いつもニコニコ笑っている、生後7ヶ月の女の子のそのふわふわした感触にドギマギしている翔馬を優しく見つめている両親。  毎週土日に乗馬スクールに通っている少年が、最近落馬の夢ばかり見て困っていると彼を笑わせ、四葉のクローバーを収集しまくっている

        •   5-㉒ ただいま

           翼の妻萩花と料理上手な男性が腕を奮い、パーティー用の料理に次から次へ取り掛かっていた。  手伝う助っ人も多士済々•••野菜や果物をカットしたり、料理を皿に盛り付けたり、テーブルにグラスを並べたり、ビールケースを運んだり。  大人から子供に至るまで皆、一致協力して準備を整えて行く。  翔馬が先程、ファイアスターの背に跨り疾走して行く場面を見ていたメンバーであった。  「よし!準備完了じゃない?」 女性陣が大いに頷いている。  和•洋•中•デザート•••様々な料理がテーブ

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        翔べ君よ大空の彼方へ     いざ出陣🐴🐴🐴

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        • 翔べ君よ大空の彼方へ
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            5-㉑ 火炎琉星

           それは明らかに異質の馬であった。 騎手になって9年、いや、昨年は騎乗していないから8年か•••あまりにも美しすぎるその馬が、まるで宙を飛ぶかのように翔馬の前を駆けてゆく。  透き通るような青毛の馬体、白銀のたてがみと尾が風になびき鮮やかに。  額に映えるスターマークと炎のような白い流星、そして4本の長い白斑。  いかにも柔らかそうな背中、ヒョウのように伸縮する胴体と、うねりを上げるその長い前後肢。  まだ小柄ではあるが、胴長体型の美しいシルエット•••まるで奇蹟を目の当

            5-㉑ 火炎琉星

            5-⑳ 再会

           久しぶりに降り立った北の大地に、翔馬は懐かしさを覚え笑みを浮かべた。 〝ここに来たらいつも大量にお土産買うんだよなあ〟  ゴールデンウィークに入ったばかりの新千歳空港は、とにかく人いきれで溢れていた。  翔馬はその人の波を掻き分けて、目的の場所へと向かう。  数分後、その場に立つ人物を目に捉えた。 「よう!元気だったか?」 翔馬に声をかけた青年は、両手にたくさんのお土産を抱えていた。 〝随分と買い込んだもんだなあ〟  翔馬は青年の右手のお土産袋を受け取り、手を差し出

            5-⑳ 再会

            5-⑲ ひとつの朝

           たとえば 涙に 別れること  たとえば 勇気と 知り合うこと  たとえば 愛を 語ること  ときには 孤独と 向き合うこと  旅立ちは 旅立ちは 旅立ちは  いくつもの出会い  はばたけ 明日へ   まだ見ぬ 大地へ  新しい大地へ   まだ見ぬ 新しい大地  生きる喜びを 生きる喜びを  広がる 自由を求めて  広がる 自由を求めて•••  深山が薄紅色の霞で包まれていた早朝 、1人の青年が堂宇で座禅を組んでいた。  その背中からは、一切の迷いも見られない。  静寂

            5-⑲ ひとつの朝

            5-⑱ 砂時計

           たくさんの思いが込められていた。 その一枚一枚、一字一句から、彼に対する思いが泉のように湧き出ていた。  箱一杯の手紙や写真が、空白の時間を、欠けていたピースを一つずつはめ込んでいくかのように、彼の全身に染み渡っていく。  こんなにまで支えられていた。  こんなにまで繋がっていた。  やはり彼の円の、縁の中にはたくさんの糸が張り巡らされていたのだ。  住職の温かい眼差しを思い浮かべる。 〝夢を叶える為に起きなさい。叶える努力をする為に生きなさい。そして、努力をした今

            5-⑱ 砂時計

            5-⑰ 颯爽と、

           彼は早朝、新千歳空港の出発ロビー前にて搭乗便を待っていた。  彼が管理しているG1レース6勝の名馬の近況を確認する為、空港近郊にある生産ファームに顔を出した帰りであった。  確かに重症ではあったけれど、競争能力喪失には至っていない。リハビリは順調に進んでいる。  先程、翻意にしている調教師が管理する出走馬の最終追い切り連絡を受けたばかり•••彼の息の弾むような喜びようが、彼にも大いなる力を与えてくれる。                何より、治療休養している名馬が彼の顔

            5-⑰ 颯爽と、

            5-⑯ 目覚め

           彼はその足音で目を覚ました。 それは彼のよく知る足音であった。 〝迎えに来たのかな?〟 そう思った彼は、横たえていた体を起こし、颯爽と立ち上がった。  彼は嬉し気に〝ブルルン〟と鼻を鳴らす。 「シッ!」 足音の人物が人差し指に手を添えた。彼もまた心得たもので、大人しく馬せん棒が取り外されるのを待っている。  まあ、彼自身は40程ある馬房の一番端で過ごしているし、厩舎への出入口は彼の馬房の目の前にもあり、両隣4馬房は空き馬房であるから、少々の物音は問題ないだろう。   

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          5-⑯ 目覚め

            5-⑮ 想い人

           少年が砂浜を駆けている。 闇夜に浮かぶ満月が、彼の行き先を照らしていた。しっかりと手綱を握り、駈歩で誘導している。 〝俺、こんなに乗馬上手やったかなあ•••〟少年が訝しんだその瞬間、彼は宙へと投げ出された。 〝やばい!せめて頭だけは守らな!〟 少年は、両手で頭を守ったものの、見事に波打ち際の硬い砂浜に背中から落ちてしまった。 「イテテテ•••」少年は辺りを見回した。 そして、口をあんぐりと開いた。  ただベッドから落ちただけであった。 少年は頭を掻き、苦笑いをした。

            5-⑮ 想い人

            5-⑭ 覚悟

           陽光降り注ぎ、春風薫る3月下旬、昼食を終え本堂で座禅をしていた彼の前に、1人の恰幅の良い住職が姿を現した。彼のよく知る住職であった。 「いやあ、お久しぶりですね。お元気そうで何よりです」  彼は驚きを禁じ得なかった。大僧正から発せられた一言に。 「まさか•••ここまで本当に歩いて来られるとは•••」彼は言葉を失い、黒光りするその床にただ額ずく事しかできなかった。  足摺岬から、この高野山までの旅を支えた金剛杖の先端には、その証がしっかりと刻み込まれていた。 「悲しみ

            5-⑭ 覚悟

            5-⑬ 春暁

           より一層の高みを、無我の境地を目指すニ度目の冬。  〝心頭滅却すれば火もまた涼し〟 火炎ほとばしる中での荒行、護摩堂で 身の、心の邪神を焼き払い、また、空から降り注ぐ雪にも、厳しい冷気にも汗を滴らせ、今日も彼は早朝から一心不乱となり、自分の可能性と未知の力を見いだすための修行に打ち込んでいた。  目が覚めて、今日もまた生かされている事に感謝をする。合掌をし、心を洗浄する。身を清め、身の回りを整え、堂宇の清掃をする。心身を整え本尊様に向かい読経し、先祖の供養と生かされてい

            5-⑬ 春暁

            5-⑫ 鐘の音

           2ヶ月前に生を受けたその小さな命は、2人の愛情に見守られ、すくすくと成長していた。  ようやくお腹がいっぱいになったのであろうか、母親の小指をしっかりと握りながら、うつらうつらとしている。  やがて、その小指から手が離れ、スヤスヤと寝息を立て始めた。どうやら本格的な眠りに落ちた様子•••玲奈と名付けられた、その小さな天使の寝顔を、歩夢と久美は飽きもせずに眺めている。 「寝たね」歩夢が囁いた。 「寝たね」久美が微笑んで、天使の柔らかい髪の毛を撫でている。 「そろそろ出てみ

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          5-⑫ 鐘の音

            5-⑪ 静寂の夜❷

           中山競馬場から徒歩10分の場所にある居酒屋オーナーの自宅では、2人の男性が今年1年を振り返っているのであろう•••ウイスキーを飲みながら、静かに語り合っていた。胡麻塩頭の格闘家のような体格の男性と、3度の遍路旅を終えた壮健な男性である。  テーブルの上に置かれたフォトフレームには、天国で眠るもう1人の親友が、結婚式であろうか•••満面の笑みを浮かべている写真が飾られていた。並々と注がれたウイスキーグラスから香ばしい芳香が立ち上がっている。  オーナーはつい先程まで、完成

            5-⑪ 静寂の夜❷

            5-⑩ 静寂の夜❶

          「寒くない?」「うん、大丈夫!」 両親の心配をよそに、少年は力強く頷いた。  自宅から徒歩10分の場所にあるお寺への参拝•••大晦日だけにかなりの参拝客が予想される。  今年1年•••駆け抜けた彼へのプレゼントであるかのように、キラキラと星が瞬いていた。  少年には、3つの願い事があった。 けれど、願い事は1つにしなければならない。二兎追う者は一兎も得ず•••と、学校で習ったのだ。故に、彼は閃いた。2つのお願いを両親に頼めばいいのだ!と。  少年は、ニンマリと笑った。  

            5-⑩ 静寂の夜❶