AKIRARIKA

サラブレッド大好きの道産子男子です。過去の取材から掘り起こした小説が、いよいよ大空へと…

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サラブレッド大好きの道産子男子です。過去の取材から掘り起こした小説が、いよいよ大空へと!皆様、「翔べ大空の彼方へ」どうぞ宜しくお願いいたします。

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  • 翔べ君よ大空の彼方へ

    AKIRARIKAと申します。サラブレッド、乗馬大好きの道産子です。初めて馬の背に揺られたのが20歳、あの瞬間の感動は今もなおこの手のひらの中に。馬の鼓動、息吹、命の力強さ。《いつか必ず競馬小説を書く!そして、その売り上げを引退馬支援に繋げる!》  大好きだったお馬さんを天国に見送り、構想を重ね遂に完成した作品「翔べ君よ大空の彼方へ」・・・ 物語はまだまだ続きます。  第2章途中からの有料配信となります。皆様からの支援を、引退馬支援へと繋げます。具体的には、皆様からの支援金(購読料他)の寄付、牧草送付等を行います。現在数ヶ所の牧場より連絡を受けており、受け入れ可能となっております。また、寄付実施後には、note内にて報告させて頂きます。  拙作ではありますが、購読の程お付き合いいただければ、また、1人でも多くの賛同者の目に留まれば幸いです。

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翔べ君よ大空の彼方へ     いざ出陣🐴🐴🐴

 皆様、初めまして。サラブレッドを愛する道産子男子です。過去の取材や乗馬などの実体験をもとに、3年をかけて作り上げた「翔べ君よ大空の彼方へ」がいよいよ大空へと羽ばたきます。  やがて2人は別々の道を歩む。 1人はジョッキーになるために、1人は牧場スタッフになるために。  2人の共通の夢・・・それは2人が育て上げた競走馬で世界を制覇する事。日本を代表する名馬達がことごとく弾き返された欧州の高き頂きの制覇を。果てしなく厳しい道が2人の前に立ちはだかる。  喜びも、涙も、出会

    •   6-⑭ 一心同体

       翔馬はファイアスターの正面に立ち、美しい鼻面に触れながら呟いた。 「さあ、いよいよだぞ!一緒に頑張ろう!」  ファイアスターの翡翠色の瞳が輝きを増した。翔馬は勢い良く彼の背に跨った。  高級車のような乗り心地の良さを感じさせる、その柔らかい背中。  機能性に富んだ骨格に秘められた、ゴムまりのように柔軟な、且つ力強い筋肉。関節のつなぎも柔らかく、そのフットワークの軽さは翔馬が過去に騎乗したどの馬とも共通項がない、ある意味別次元の馬であると言えた。 〝さあどうするファイア

      •   6-⑬ 初陣

         まるで、彼等の初陣を祝福するかのように空はキラリと晴れ渡り、雲の一つも見られない。  風は緩く流れるものの、火照った体を癒すには至らない夏真っ盛りの新潟競馬場。  そのパドックでは、今まさにデビューを迎えようとしている16頭の競走馬が周回を重ねていた。  初陣を迎える2歳馬の存在は、競馬界に吹き込む爽やかな涼風であり、夢と希望を背負う人々を照らす、熱き太陽でもあるだろう。  さて、彼等は自身がこれから戦いに挑む事を理解しているのだろうか?  大勢の観客を目の前にして、

        •   6-⑫ 交わり

           すべては縁という、円の中の縦と横の糸の交わりであった。  幼少期、陽子の優しさに触れた翔馬と翼。  卒業旅行でフランスを訪れた陽子は、不意の出来事でウッドと出会い、その家族の優しさに触れ、やがて新たな命を誕生させた。  翔馬も翼も夢に向かって、自らの道を歩き出した。  騎手になった翔馬は周りの後押しを受けフランス遠征を行い、異国の風を、匂いを感じ、そしてたくさんの優しさに触れた。  異国の馬主、調教師との親交、そして陽子との思いがけない再会とその家族の温もり、ファンの熱

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        • 翔べ君よ大空の彼方へ
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            6-⑪ 温もり

           これがあの瀕死の重傷を負った元競走馬とは、事情を知らない限りは分かろうはずもない。それほどまでの、彼の見事な復活劇であった。  不屈の闘志の象徴•••障害馬術フランス選手権連覇の英雄•••彼の跳躍シーンを撮影しようと、数多くのカメラマンがシャッターチャンスを伺っていた。翔馬達もその英雄の姿を見守っていた。  やがて、ライダーがウォーミングアップを終えた愛馬を最初の障害物へと誘導した。  重力に逆らうかのようにふわりと障害を飛び越え、ふんわりと、まるで雲の上に着地をするか

            6-⑪ 温もり

            6-⑩ 異国にて

           昨日、遠く離れた異国にて激しい叩き合いを演じた2人と付き添いの1人が見つめているのは、どこまでも広がる広大な海であった。  2人の騎手はこの牧場を訪問した事があるのだが、今、放牧中の競走馬に囲まれ身動きの取れない彼にとっては初訪問であり、あまりのスケールの大きさに戸惑いを隠せない様子である。 「おおー〜〜い、翔馬助けてくれ〜!」 100メートルは離れているだろうか、親友の叫び声が聞こえ、2人は顔を見合わせて笑った。 〝だから離れるなって言ったろうが!〟  異国の名門

            6-⑩ 異国にて

            6-❾ 盟友

           満開の桜が咲き誇る仁川のターフに精鋭が集結した。  ファンの視線の多くは、ここが引退戦となる2頭に注がれていた。  同期のライバル•••G1レース4勝、大阪杯連覇を目指すバッケンレコード、そして現役最多G1レース7勝を誇るゲメインシャフトである。  もう二度と見る事ができない最後の対決を見る為に、数え切れないほどのファンが阪神競馬場を訪れ、盛んに熱い声援を送っていた。  対抗馬は前年のダービー、ジャパンカップと、最優秀3歳牡馬のタイトルを受賞したダークブリザード、そしてす

            6-❾ 盟友

            6-❽ 威風堂々

           抜けるような青空の下、眩しい陽光に照らされた逍遥馬道を人馬が呼吸を合わせ、ゆっくりと噛み締めるかのように歩を進めていた。  春の柔らかな風を肌で感じ、桜の花びらで敷き詰められた馬道を楽しむかのようだ。  彼は、時折立ち止まっては小鳥の囀りに耳を澄ませ、さわさわと音を立てる緑の息吹に長い首を伸ばし、全身で喜びを表していた。  鞍上の翔馬もまた、喜びに満ち溢れていた。  このような競走馬には、二度と出会いないであろう•••確信であった。  彼との出会いもまた、導きであった

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            6-❽ 威風堂々

          ¥100

            6-❼ 滾る思い

           果たしてこれが、デビューを数ヶ月後に控えた2歳馬なのだろうか?  今、1頭の若駒が全長1000メートル、最大斜度18%の坂路を寸分のブレも見せずに、真一文字に駆け上がっていった。  白銀のたてがみを、尾をなびかせて、4本の白斑が躍動する。  リズミカルな四肢の運び、かつパワフルな足捌き、緩急織り混ぜた、そのゴムまりが弾むような走りに、その場にいる誰もが驚きを禁じ得ない。肩関節を覆う 柔軟な筋肉と、絶妙な角度で連結した飛節が、漲るトモのパワーを余す事なくその爆発的な推進力

            6-❼ 滾る思い

            6-❻ 壮士

           その尋常ならざる身体能力•••とにかく想像を超えたるサラブレッドであった。  素軽く、力強く、そしてこの細身の馬体に秘められた無尽蔵のスタミナ。  彼は今、自らが発した熱気を、闘志を覚ますかの如く、吹き寄せる春の柔らかな風に吹かれるまま、高台の頂上にて仁王立ち、広大な海を見つめていた。  まるで睥睨するかのように。  一体ここまで何キロあったのだろうか?彼は調教を終えた後、どこまでも広がる森を抜け、勾配の厳しい丘を超え、坂を登っては下り、ここまでやってきたのである。

            6-❻ 壮士

            6-❺ 兄弟

          「ブレストファイヤー、ストロンクーガー抜け出した!栄光のゴールまで、あと僅か!しかし先頭2騎を一気に呑み込む勢いだ!4頭並んだ!しかし、ブレストファイヤー、ストロングクーガー2頭並んで差し返した!頭一つ抜け出して同時にゴールイ〜〜ン!僅かに遅れてスターダイナマイト、ダークブリザード入線かあ〜!大激戦となった有馬記念、勝者は全く分かりませ〜〜ん!」  興奮冷めやらぬ様子で、実況アナウンサーが絶叫した。  スタンドは大きく揺れ、その激戦の結末を見守るかの如く、その場を立つ者は皆

            6-❺ 兄弟

            6-❹ 成せる業

           年末を彩る冬のグランプリ、出走馬2週前の追い切り後の事•••翔馬は自身のエージェント、そして鷹と共に冨士原師と向かい合っていた。  有馬記念の騎乗馬選定であった。  前走京都大賞典を圧勝、ここが引退戦となるファン投票2位のブレストファイヤー、今季世界の強豪と堂々渡り合い、前走メルボルンカップを圧勝、グランプリ初制覇を目指す、ファン投票1位に選出されたストロングクーガー•••両馬を管理する師の元に、「選定は翔馬君にお任せします!」との連絡が両馬のオーナーからあり、呼び出さ

            6-❹ 成せる業

            6-❸ 前を向いて

           10月。  仏、凱旋門賞。 ここを引退戦と定めた2頭の叩き合いは、ゴール寸前までもつれ込んだ。  地元の英雄ガルデリネルジェス、そして英国の英雄ロゼッタストーン•••人馬共にプライドを懸けた壮絶な叩き合いは、首差差し切ったガルデリネルジェスが引退戦を飾り、来春の種牡馬入りへもう一つの勲章を積み上げた。  鞍上のB•バシュロンと馬主、調教師••• 3人の男達が肩を組み、咽び泣く姿が印象的であった。  そして•••前年アスコットで悔し涙を流した日本の若手騎手が、歓喜の雄叫

            6-❸ 前を向いて

            6-❷ その時を、

           すべての競走馬が人々の夢を背負い、 その栄光のゴールを目指し、全速力で駆け抜けて行った2026年。  1月。  それは、小細工なしの真っ向勝負であった。  再びの米国制圧を目指すG1レース3勝馬、ユーアーマインvs米国最強二冠馬でG1レース5勝、前年に続いてこのレース連覇を目指すヴァイオレットエヴァーガーデンの対決である。  果敢にハナを奪うユーアーマイン、2番手に控えた米国最強馬。  最後の直線•••2馬身のリードを保ち逃げ切りを図るユーアーマインに残り50メートル

            6-❷ その時を、

          第6章 6-❶ 復帰

           翔馬の1年7ヶ月振りの騎手復帰というセンセーショナルな報道は、あっという間に世界を駆け巡った。  急遽設定された緊急記者会見が、日本外国特派員協会主催で行われ、世界中の競馬ファンの衆目を集める中、JRA始め 多くの競馬関係者、そして世界中の競馬ファンに対しての心からの謝意を伝え、1年7ヶ月という時間を支えてくれた人達への感謝を述べた上で、これから一層の自己研鑽に励み、改めて競馬を支え続けていく事を力強く宣言した。  世界中、数多の彼のファンが共に喜びを分かち合った。

          第6章 6-❶ 復帰

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          馬旅に行きました🐴🐴

          馬旅に行きました🐴🐴

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