「違国日記」観た。(映画と原作)



映画版



監督:瀬田なつき
出演:新垣結衣、早瀬憩、小宮山莉渚、伊礼姫奈、滝澤エリカ、夏帆 ほか
上映時間:139分

コミック「違国日記(いこくにっき)」を実写映画化。


小説家の高代槙生(新垣結衣)と暮らすことになった姪の田汲朝(早瀬憩)による交流。

コミック未読。
ポスタービジュアルを見て「いこく?なんか良さげな雰囲気。ガッキー出るやん観たい」それだけ。前知識ゼロで鑑賞。


たらい回しにしない宣言から好き。

歌詞講座の連想ゲーム、餃団!、日記のススメ、歌いながら廊下をルンルン、秘密じゃ、ステージでの歌唱、手向けの涙、くっきりではない虹のシーンなど好きなシーン多し。

高代槙生と田汲朝、槙生の友人たち、朝の友人たちの日常シーンをやわらかく優しく時間をかけて描き出し、その映像が微笑ましさと愛おしさに満ちていて、ずっと見ていられる。


新垣結衣の槙生と、早瀬憩の朝が好演で魅力的。
揺れ動く心情をたしかに伝えながら、お互いにとってかけがえのない時間を育んでゆく様子が自然で素敵。


親の影響を受けて掃除や料理を覚えたり、子どもにとっては親こそが大人像。
突然その存在が失われ、新しい環境に置かれた朝は槙生を見て「大人と呼ばれる年代でも10代の延長なんだな」「大人でも友達同士で笑うんだな」と。
奈々、信吾、和成といった新しい関係人口にも恵まれ大人像が壊れ、いや解れてゆき、、やがて心を開いて槙生と向き合えるように。

お母さんと呼べる存在がいない深い悲しみは消えずとも、朝のこれからが実り多い日々になりますように。
槙生と末長く!

えみり、三森、森本と朝の友情も長く続いていけばいいな。


「こうあるべき」という固定観念にたいして斜に構え、自分たちの心を磨き、日々を大事に過ごしてゆくことの希望を印象深く伝えてくれる良作。

しんどさを抱え、揺らぎながらも勇敢に生きている人たちがいるがそれぞれの気持ちは見えない。でも分からないままでいい。知ろうとすることを諦めなければそれでじゅうぶん。
いろんな考え、つまり自分の国を持っている。それに気付いてゆこうとする。それがタイトルの意味なのかな。


お父さんの影が薄くて気の毒・・・。

ベースを買う時はちゃんと相談したのかな?

あと、日記の字が細くて見えないよ。太字でお願い・・・。


衣装展示@109シネマズ大阪エキスポシティ




原作


映画鑑賞後に揃えて読んだ!

高代槙生と田汲朝による心の交流を通して未来に繋がる2人の日々を描き出すドラマ。全11巻。

消えない空虚感を胸に抱いた苦しみ、悩み、もがく朝の葛藤。さらに、ふとした疑問の数々にたいして槙生や朝のクラスメイト、槙生の関係者たちが朝へかける言葉や行動が豊富で読んでいて充足感が常にあった。

セリフ量が多くて、内面に迫る小説のような読み応え。

けっして重たい話ではなく、会話のテンポが軽快で面白いし、実際の中学・高校の生徒たちを見ている感がある生き生きとしたやりとり、大人たちの何気ない話などリアリティに満ちていて身近な出来事としてスーッと胸に入ってくる。

朝が社交的なのは甘えの裏返しなんだろうな。

悩み事をぶつけてシンプルに解決してほしかったり、励ましの言葉をもらいたいのに槙生は斜め方向からの返しで朝は消化不良。
パッとしない人生への何でやねんを歌詞に込めたり。
将来への不安、焦燥にグワーってなったり。

分かりみが多くて、朝の気持ちに共感しまくり。

「何もない」と悲観する朝にかける友人の言葉にグッときた。

時々寂しい目を見せる朝が友人たち、大人たちに恵まれて拠り所が繋がっていき、次第に笑顔が増えていく姿に感涙。

大人たちや者会は子どもを見守る衛星にならないといけないよね。

11巻、泣いた。

努力を重ねる朝と槙生、そして2人の友人たちの未来に笑顔いっぱいありますように!

映画を観なかったら出会ってなかった。出会わせてくれてありがとう映画版!


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