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【実写レビュー】写真も動画も描写が劇的に変わる激安ライカレンズ「SUMMICRON-R 50mm」


ライカMではなくRという選択肢

ライカのレンズは高いです。特に代名詞とも言われるレンジファインダー式のM型(ライカM)は、最新ボディが約140万円、レンズに関しては標準レンズ「ズミクロン」ですら40〜50万円します。希少性の高いオールドレンズなら数百万円もします。
しかし、性能に遜色がないのに安く買えるライカレンズがあります。すでに生産終了した一眼レフ向けに設計された「ライカR」シリーズのレンズです。
筆者のように、カメラボディはライカじゃないけど、ライカの高性能なレンズを使いたい方におすすめです。

「Leica SUMMICRON-R 50mm」

Leica SUMMICRON-R 50mm(ROM)。フィルター径55mm。マニュアルレンズ

ライカRレンズは1960年代から製造されたオールドレンズではありますが、クライアントワークにも対応できる描写力です。現代レンズと遜色のないシャープネスとクリアさ、そこに独自の個性も兼ね備えています。
今回紹介する「Leica SUMMICRON-R 50mm」は、「ズミクロン」の名を冠するだけに、写真の描写は疑いようがなく、実は動画撮影でも海外のビデオグラファーからの信頼が厚いです。人気が高まっているために値上がりしていますが、現在は6〜7万円台で買える“最も安いズミクロン”と言われています。

筆者は4月末に購入しました。使ってから約2ヶ月でのレビューです。

動画にしろ、静止画にしろ、NDフィルターは必須。静止画メインだったので、ND2-64を使っていますが、動画でしたらND2-400がおすすめです。

ライカRレンズをSONYのカメラに取り付けるのにマウントアダプターが必要です。私は国産メーカー・RAYQUALの製品を愛用しています。

実際の運用では、NDフィルターを装着しながらレンズフードも付けられるようにアクセサリーを揃えました。

動画の描写がエモい

こちらの動画は、ボディ:SONY α7R V、レンズ:Leica SUMMICRON-R 50mmで撮影しました。ジンバルなしの手持ちですが、SONY特有のアクティブ手ぶれ補正もそれなりに効いているようです。
実はオールドレンズ専門店で、動画向けに良いレンズがあると勧められたのが購入のきっかけ。描写は大変好みでした。F2の開放から写りがシャープで、ぼんやりした印象は受けません。透明感を感じさせつつも、クリアすぎない絶妙な匙加減。光を柔らかく捉え、階調に奥行きを感じさせます。

雨の日と晴れの日で撮り比べ

モデル:譚至玢/Eden(Instagram:yuiyui331)/ボディ:SONY α7R V、レンズ:Leica SUMMICRON-R 50mm、自然光のみ
モデル:譚至玢/Eden(Instagram:yuiyui331)/ボディ:SONY α7R V、レンズ:Leica SUMMICRON-R 50mm、自然光のみ

防塵防滴のないマニュアルレンズにとって、雨の日の撮影は結構リスキーではあります。しかし、空気感すら切り取ってくれる描写がたまらなくて、写真に残そうと無茶をしました。光が柔らかいし、湿度が感じられます。

『原神』甘雨 モデル:ひよっこ(X:@nakukotogadekin)/ボディ:SONY α7R V、レンズ:Leica SUMMICRON-R 50mm、自然光のみ
『原神』甘雨 モデル:ひよっこ(X:@nakukotogadekin)/ボディ:SONY α7R V、レンズ:Leica SUMMICRON-R 50mm、自然光のみ

晴天は文句なしですね。手持ちの同じ画角帯のSONY純正レンズと比べると、光の柔らかさを強く感じられました。背景のボケも輪郭を崩すことがくナチュラルです。人物の柔らかさと岩の重厚感のどちらも描写してくれています。

ストロボあり:コスプレイベントでも大活躍

ストロボを使った撮影もやりました。筆者は仕事でよくコスプレイヤーが参加するイベントを取材しています。マニュアルレンズはピントを合わせることが大変ですが、こちらのレンズはF2の開放からシャープなので、短い撮影時間でもピントを合わせやすいです。

モデル:Miyu小咪(Instagram:kotori_0214)/ボディ:SONY α7R V、レンズ:Leica SUMMICRON-R 50mm、ストロボ有り
『勝利の女神:NIKKE』モダニア モデル:箱ネコ(X:@hakonyanya)/ボディ:SONY α7R V、レンズ:Leica SUMMICRON-R 50mm、ストロボ有り

階調の奥行きが深いからか、線が細い?けどシャープじゃないのもあってか、柔らかめの描写になりますね。でも十分にシャープ。気品がある映りな印象を受けます。コスプレイベントだと、SONY、Canon、Nikonのカメラやレンズを使う人が多く、50mmという画角は特に需要が高いです。コスプレイベントは機材制限があり、被写体が一箇所から動かず、短時間での撮影なので、撮り方の工夫で差別化するのが難しいです。なので、筆者はこちらのレンズをよく使っています。

まとめ

多くのカメラマンが一周すると手を出してしまうのがオールドレンズです。現代レンズはメーカーが違えども、基本的にシャープでクリアな描写に大きな差はありません。そこで、オールドレンズに求めるのがフレアやゴースト、色合いなどの個性だからです。表現の幅を広げることにも繋がり、他者と差別化を図る選択肢の一つです。ミラーレスのカメラはマウントアダプターがあれば、歴代のオールドレンズの多くを使うことが可能です。しかも現代レンズと比べると、多くがお手頃のお値段です

「値段が安い=質が悪い」ではないのは、オールドレンズ全般に言えます。特にライカは世代ごとに個性が異なり、昔の銘玉がよく復刻していますから。「Leica SUMMICRON-R 50mm」も、すでに生産終了したライカの「一眼レフカメラ」のために開発されたレンズだから安い。私が使っているボディはSONY α7R V なので、レンジファインダー式に設計されたライカMより、こちらの一眼レフ向け設計のライカRのほうが相性が良さそうです。写真の差別化に悩む方の参考になれば幸いです。

<「Leica SUMMICRON-R 50mm」購入にあたってのご注意>
ライカRレンズは年代によって、同じレンズでも設計が異なります(ボディに合わせて変えている)。
・1CAM
・CAM

3CAM
・R-Only

ROM
大きく5タイプありますが、一番異なるのはレンズフィルターの口径です。初期型は独自のフィルター径なので、マッチするNDフィルターがほぼありません。一部あっても、NDの値が低かったです。静止画なだまだ良いのですが、動画撮影用で使う場合、NDフィルターは必須です。なので、3CAM以降で、フィルター径が55mmのものをお求めください。また、個体差もあるので、オールドレンズ専門店で試してから、お買い求めの方が安心です。


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