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読書感想 みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」を読みました。

みずほフィナンシャルグループが2011年から進めてきた「勘定系システム」の刷新・統合プロジェクトが2019年7月に完了するまでを書いた本。

なんでこれを読んだかというと、うちの会社のメインバンクがみずほ銀行で、2011年3月18日の大規模トラブルに巻き込まれたことを思い出したから。

このときのトラブルの内容は、東日本大震災の義援金振込が一つの口座に殺到したことによるシステム処理能力オーバーにより、振込とかあらゆる取引が全てストップしてしまった。

これ、なにが困ったかというと、給料振込日で3連休前の金曜日だったことから、かなり社内で大騒ぎになったことを覚えている。給料振込ができなかったので。

当時のみずほも、窓口で身分証とキャッシュカードを提示したら10万円まで貸しますよ~なんて対応をしたりと頑張っていた。システムトラブルがこんな大問題になってしまうのが、ホントにインフラ系のシステムは大変なお仕事だなぁと。

本書にトラブルがなぜ起こってしまったか?そして、どのように治していったかを時系列に沿って書かれている。これ、読んでいて胃が痛くなるというか、システム担当の方、多分寝る暇も休む暇もなく追い詰められただろうな…という感じ。

みずほ銀行は80年代から使い続けている基幹システムの老朽化により、そのシステムを刷新するため、2度の延期をしながら8年もの年月を費やしたことにより「IT業界のサグラダファミリア」だの、4000億円台半ばの資金を費やしたことで、「スカイツリー7本分の開発費」と書かれていたりと、とにかく巨大なプロジェクトだったとのこと。

稼働から20年以上経過していたシステムを刷新せず、部分的な修正や変更を繰り返した結果、システムの中身が複雑になりすぎてしまって、ブラックボックス化したとのこと。もはやみずほ銀行のシステム担当ですら全容がわからなくなっていたらしい…

みずほ銀行ほどのメガバンクだと、インフラとしての機能があるため基本失敗は許されないし、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が統合したことにより、社内部署間の利害対立も大きいし、基幹システム移行による作業量がとにかく膨大なので(そして費用の割にそこまで利益もない)読みながら、うわーこりゃ大変だなぁという感想。

経営陣も、
「なんかよくわからんけど、めちゃくちゃ大変そうだしお金かかるし、今問題なく稼働してるなら後回しでよくね?」
というスタンスだったので、結果としてシステム移行まで長い期間がかかってしまったよう。

というか、みずほって、みずほ銀行、みずほコーポレート、みずほFGそれぞれに情報システム部とCIOが存在してて、情報や連絡の共有が上手くいかなかったことで様々なミスが発生したり、プロジェクトが進まなかったりと、驚かされる。
巨大な組織って大変…。というか利害関係がドロドロな上に複雑すぎて、読んでるだけでうわぁ〜となる。

あくまで本書は、

「みずほ銀行は色々と苦労したけど、組織で団結し巨大プロジェクトを無事終えましたよ」

という内容の本だけれど、実際問題として、みずほ銀行のシステムトラブルは現在進行形で継続中なところが壮大なオチというか、ホラー。2021年2月のATMがキャッシュカードを吸い込むなんてトラブルも記憶に新しい。旧システムを刷新し新しいシステムに移行した!と思いきや、トラブルは頻発し、もはや終わりが見えない状態すら感じるけれど、私もみずほの口座を持っているので、見守りたいと思います。

ぜひ読んでみて下さい!

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