英文法授業レシピ1 仮定法④
ここまで三回にわたって仮定法の授業案を見てきました。
今回は仮定法の中でも倒置について特化して考察していきます。
大前提として②でも述べたように、倒置は「読んでわかればOK」という到達目標を明示するべきです。そもそも書き言葉ですし、明らかに他の仮定法の表現よりも形式操作が複雑です。少なくとも初期の段階では書ける必要も薄い。
このように同じ文法項目であっても、その到達度に軽重をつけることは授業および学習のメリハリをつけるためにも非常に重要です。
また、倒置させたとしても、意味(=Meaning)に違いは生じません。
例えば、お決まりのやつですが・・・
If it were not for you, I'd be in trouble.
Were it not for you, I'd be in trouble.
は強さこそ違えど、「君が必要なんだ!」という主たるメッセージは同じです。
ということは、Larsen-Freeman氏の「3観点の難しいとこをちゃんと教えようよ。」の主張にのっかると、倒置についてはFormに特化した学習でOKということになりそうです。
誤解のないように付け加えることがあります。
それは倒置を習う学習者が仮定法のMeaningとUseについては、十分に理解・習得していなければならないということです。
言い換えると、この前提がない状態で倒置のFormだけを機械的に練習しても、学習者が使えるようにはならない、ということです。したがって、仮定法の倒置を扱う前に、通常の語順の仮定法は十分に理解しているか、直説法との違いを説明できるか、といった学習者の知識は確認しておく必要があります。
さて、それでは倒置のFormの授業についてです。
よくあるのは、書き換え問題や並べ替え問題でしょう。
これは教師としては非常に楽です。今まで扱った英文をもう一度提示するだけですみます。
生徒に倒置の形式に慣れてもらうためにはこのような機械的練習も教師の準備時間や負担の割には効果が望めるかもしれません。
しかし冒頭述べたように、仮定法の倒置は、読んでわかるがゴールだということを忘れてはいけません。
上記の練習はどちらかというと形式操作の練習ですね。
読解活動では形式認知(理解)の練習が欠かせません。
そこでおススメなのが、仮定法の倒置を含む文章を提示して、
「この中から仮定法の倒置を見つけましょう」とするやり方です。
文章を準備するのがめんどくさいという場合は、他社の教科書や他学年の教科書を使えばOK
文脈も提示されているので言うことなしです。
操作できるんだから、理解できるだろう、と思うかもしれませんが、これがなかなかそうはいかないんです。
特に、倒置の部分(If節)が文頭ではなく、文中や文末にくるとかなり難しくなります。まあ、これを初期にやる必要があるか、と問われるとない気もしますが・・・。
Were it not for …などある程度お決まりのパターンの場合は、見つけるのも比較的容易です。
Should you find any mistake, please let me know.
みたいな、倒置という知識がないと疑問文と誤解してしまうようなものなどを提示することで、語順への違和感を抱かせたいところです。
今日のポイント
到達点を明確に。使う技能に準じた練習を。
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