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英文法授業レシピ1 仮定法②

中学校で仮定法の基本的なものを習った高校生たちにどのように仮定法を教えるかを考えていきましょう。
前回の記事で確認した通り、中学では仮定法過去の基本的なものとI wish程度を習っています。そして、和訳には表れない文脈や状況を提示することの重要性を述べました。

高校ではこれに加えて
① 仮定法過去完了(If I had been you, I would have said NO.)
② 時制のズレ (If I had gone to bed earlier, I wouldn't be sleepy now.)
③ 仮定法現在(should / were to)
④ 倒置( Were I you, I would say NO.)
はきっと学習するでしょう。

この中で④だけは特別扱いです。なぜなら基本的には書き言葉として扱ってよく、また多くの生徒にとっては読んで理解できれば十分なレベルだからです。
おそらく倒置の演習として並べ替え問題や書き換え問題をやるんでしょうが、高1で扱うとするならば【読んでわかる】をゴールにしてもいいものだと思います。
ここでいう【読んでわかる】とは、疑問文の語順っぽいけど、違うな。これは仮定法だな、と自分で判断できる状態を指しています。

さて、それでは①~③の授業を考えていきたいのですが、これもやはり【文脈提示】が最重要案件です。次に重視するのは、既習項目との対比です。
認知言語学では、cognitive comparison(認知比較)と紹介されるかと思います。

たとえば、If I were you, I would say NO.は
【今のYOUのおかれている立場】への助言、であるのに対し、
If I had been you, I would have said NO.は
【過去のYOUのおかれている立場】への助言(というか責め?)です。

このように既習項目と対比する授業展開は多く見受けられますが、せっかくなので例文にもう一工夫。やはりこの例文は無味無臭というか、状況がさっぱりわからないのです。

状況をイチから作り出すことが億劫であれば、身近な人間や教科書の登場人物になりきるのも簡単です。
たとえば、校長先生だとして、どのような学校運営をするか、とか。
コロナ禍で行事の延期・中止が相次いでいる今であれば、
If I were the Principal, I would let the students go to TDL instead of the school excursion. みたいな。

もちろん、最初からこれを生徒が作り出すわけではありません。
これは教師が例文として提示したり、話の流れで使うわけです。
そして認知比較を行います。

でも、コロナ禍で休校だった期間を振り返ったら、
If I had been the Principal, I would have asked the teachers to try online classes. みたいな。

なかには、もし日本の首相だったら、みたいな大きな話題を扱うこともあります。
教科横断的授業などの手立てを既に打っており、生徒は【述べたいコンテンツ】を有しているのであれば、特に問題はないでしょう。
そうでない場合、生徒の発信が振るわない原因が英語にあるのか、そもそも内容にあるのか不明確になります。

これらを踏まえると、肩ひじ張らずに昔話や映画などを「どうすればハッピーエンドになるか」を考えるのも面白いですね。
人魚姫が声と足を交換する契約をアースラと結ぶシーンで、
If I had been her, I would have talked to the king more. とか。
人魚姫が声が出なくて王子とコミュニケーションとれないシーンで、
If I had been her, I would have drawn some pictures.  とか。

今日のポイント
文脈提示は身近な例を。


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