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NHK文芸選評への投稿作・9月

NHKラジオの文芸選評(NHKラジオ第1、毎週土曜日(午前11:05~11:50))では、週替わりで短歌と俳句の放送をしています。
投稿した作品を月まとめでアップしていこうと思います。


9/2 短歌 選者:梶原さい子先生 兼題:宝石
校庭の土をふるえば残りたるダイヤモンドなりしきらきらの日々
おばあちゃんが宝石やると言うからに梨ひとたまを宝石と呼ぶ

※子供のころ、年配の方はおやつのことを宝石と呼びました。私のおばあちゃんも宝石と言っていました。


9/9 俳句 選者:高柳克弘先生 兼題:団栗
団栗やどれが百年残るかな
団栗やこの子もままごと混ぜたって
団栗や神社の裏に道がある
団栗や戦争末期は土も食ふ


9/16 短歌 選者:穂村弘先生 兼題:縄跳び
ジムのひと急に三重とびになる鏡ごし目が合ってしまって
寒風がよけいにしみるなわとびのなわに殴られたあとは
二重とびできるんだぜって校庭で永遠に回っているあの子

※数年前、大阪で開催された現代歌人集会春季大会に行きました。トークゲストが穂村弘さんでした。とつとつとした語り口調で、「歌のたった一字をどうするか無茶苦茶考える」ということを仰っていました。息をするようにするすると詠まれているとばかり思っていたので驚きましたし、同時に言葉に対する真摯さを感じました。だから、生や動画で作者の話を聴くのはいいものですね。



9/23 俳句 選者:西村麒麟先生 兼題:鶉
本音ゆえ非公開です啼鶉
鶏がなけりゃ鶉の卵でも
戦争を籠の鶉が笑ひをり



9/30 短歌 選者:川野里子先生 題詠:フォーク
今の子はためらわず手を繋ぐなあフォークダンスはひたすら明るい
木製のフォークのざらざら思い出す神社の日向でままごとしたこと
コロンボを全く気づかず見ていたよピーター・フォークが義眼であること