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自己変容が生み出す苦しみと葛藤

ウェルビーイング(持続的幸福度)を大切に、SDGs支援や組織開発コンサルティング、コーチングなどの人や組織領域に携わっています。

人の内面に接することを生業とするなかで、2022年は私自身に大きな自己変容が襲い、悶絶するような苦しみに苛まれたため、そのときの体験を共有します。
自己変容を良しとされることが多いですが、時にはそれは大きな苦しみを生み出すことになり、そしてそれは自分自身では到底背負いきれないものもあります。
今回私の経験がまさにそうで、そうした際にはその状況を理解できる人の助けを借りることの大切さを実感したので、もし同じ様な苦しみを抱えている際は気軽にご相談くださいね。

突如やってきた自己変容の波

自己変容は何かのきっかけがあったり、何かしらのトリガーの出来事があって起こるものだと思っていましたが、日常の日々を過ごしていくなかで、突如としてやってきました。

今まで情熱を持って取り組んでいた仕事や取り組みに対して、急にエネルギーが湧かなくなったのです。それはメンタルダウンというよりも、醒めてしまった感覚で虚しくなるような思い。

「良し、やろう!」と頭で思うようにしても、体がそれにこたえてくれず、パフォーマンスがいきなり低下していく感覚になっていったのです。
必死に自分を鼓舞しようとしても、醒めた感覚が減ることもなく、毎日が急に虚しく感じるようになっていきました。

エネルギーが無くなったというよりは、エネルギーの行き場を失って自分の中でぐるぐるしているような感覚

今まで積み上げてきたものは粘土細工に過ぎない

虚しさはだんだんと解像度を増していき、自分が数十年積み上げてきたものであったり、自分の信念や価値観、感情ですらも、置かれていた環境であったり、社会規範であったり、そうしたもののストーリーによって生み出された作り物に過ぎないんだという感覚にみまわれました。

自分の積み上げてきたものは粘土細工

そう思うと、そもそも「私」って一体何なんだろう?
自分の信念や価値観、感情ですらも環境や社会の流れによって左右されながら形成していて、一体「私」とは?と思うようにもなりました。

「私」ってこの物質のこと??

そう思うようになると、今まで明確に見えていたやりたいことであったり、実現したいことや、世界観そのものが、ガラガラと崩れていって、一気に不鮮明な状態になっていきました。

それは昔のアナログテレビだった自体に、深夜の最後のテレビ番組が終わったあとにざざぁーっと画面が急にざらつくものになっていく様子と近い感覚でした。

それまで明確な番組が見えていたのに、急に画面がぐちゃぐちゃになるような感覚

自分の世界観が壊れ、放り出されることの恐怖

自分の世界観が虚しくなっていくことで不鮮明になり、世界から自分の居場所を失うような感覚に陥りました。
自分の世界観が崩れてそこから放り出された先には、何も分からない状態であり、なぜ自分がエネルギーが湧かない状態なのかもわからないし、今までに虚しさを感じて居場所を失い、溺れるような感覚の毎日が続きました。

沈むような恐怖を感じながら何かを掴みたいんだけども、手を必死に動かしても何も掴むことはできずにひたすらジタバタする。
なぜこんな状態になっているのか自分でも全く分からず、とにかく色んな人に急遽相談してみましたが、誰もこの状態を理解してもらえず、「世界に居場所はないし誰にも理解されない。」とより深い孤独感、孤立感を感じ、余計に苦しくなっていきました。
溺れそうで助けてほしいけど、自分ではどうしていいか分からないし、誰にも分かってもらえない。毎日が苦しくて仕方なかったです。

救いとなった成人発達理論

もがき苦しんでいた日々にかすかに光が差したのは、成人発達理論を学んでいた最中で、この理論の中で今自分が起きている状況が起こりえるということを知ったことでした。

自分が一体どうなっているのか全く分からずひたすらもがいていたなかで、そういうことが起こりえるということを知ることができたのは、自分の中で一つほっとするような事でした。

今の苦しみを定義づけられることの安心感

そしてインテグラル理論や成人発達理論に精通している鈴木規夫さんのセッションを受けることを決めて、そこで最初のインタビューにて自分の状態が明確になり、溺れている状態から水面に浮かべる状態に変わっていきました。

<インテイク内容>
・佐藤さんに、何かこれまでの人生の中で経験されなかったちょっと質の違う、ちょっと少しより根本的な何かシフトが起こってるっていう感じはある。まさに実存的なテーマになっている

・シャドーとの統合が重要なテーマになるので、コーチングよりは、サイコセラピストの方が重要。エネルギーワークなどのセンシティブなワークが必要になってくるテーマかもしれない

・佐藤さんはこれまでずっと自力でやってきた人間だと思うけど、ある段階になるとそれをやればやるほど逆にどこか袋小路に入ることがあり、誰かに助けてもらわないとというフェーズにぶつかる。

・今後これからいろいろ新しい支援者と出会ったりすることもこれから増えてくると思うが、観点を変えて、本当に根本的なレベルで実践そのものとか能力開発とか、成長っていうコンセプトを探求していくときのアングル自体を変えないといけないフェーズに来てるのかもしれない

・実存的な危機について、体の本当の声を聴けることが佐藤さんの強み。多くの人はそういったきっかけがあったとしても、10年も20年もうまくごまかして時間だけが過ぎてしまい、死ぬ前に後悔したり、そのまま後悔もなく死ぬケースが圧倒的多数。

・佐藤さんの場合、先延ばしも気づかないふりもせず受け止める。それは一種の才能。一方、本当の声に気づけてしまうがゆえに、その分生きづらいところも出てくる。

・ただ、佐藤さんは決断することへの悲観、悲壮感がない。人によっては真っ暗闇のトンネルに感じ、身動き取れなくなって後退して逃げようとする。佐藤さんは、そういう意味では中長期的な目で人生を俯瞰しながら懸命な選択ができるだろうっていう自分に対する自信もあるだろうし、信頼もある

・一つの虚構の物語を信じて生きていければ楽なこと。だから佐藤さんの実存的な悩みについて、大概の人は、何でそんなことに悩む?と感じるだろうし、別に充実したからいいじゃないか、と受け止められる。

・世界にその悩みを本当の意味で共感できる人がごく少数。いわゆるそのポストコンベンショナルな世界の独自の悩みで、精神的にどうしても孤立の感覚、孤独な感覚を味はざるを得ない

・「足元が瓦解してふわふわした気持ち悪い状態」と言っているのが、今の自分の状態を言語化できない、どう表現したらいいかわからないから「ふわふわ」という言葉に繋がっているよう。

・人間は言語化できるとすごく自分がどういう状態にいるのかっていうのが的確に表現ができたり、明確に認識することができる。 言語化によって安心したり、どこにこれから自分が向かうべきなのかっていう感覚がしっかりする。

・今ちょっとそこが、周りに話しても今の佐藤さんの状況を本当の意味で深く理解して、こちらの方向に向かうべきですよと、今こういう状態ですよっていうこれを定義してくれる概念がほとんどないので、それとなかなか出会えてないから、なんとなく足元が定まらない感覚ってのはそこからきてるのかもしれない

・今トランジションの真っ只中だと思う。何かシフトをするときには、その今までの人生を支えてくれたパラダイムというかロジックとこれからの人生を支えてくれることになるパラダイムロジックが、多分共存している状態で、状態としては、複雑性とか混沌さが増すので、状態が悪くなることが多い。

・だからパラダイムの移り変わりの時期っていうのは、多くの人は、本当の状態とかパフォーマンスが圧倒的に落ちる状態っていうのを経験する。これは伸び悩んでるでも何でもなくて健全に変容が進んでいるからこそそういうことが起きるっていう考え方になる。そういう捉え方をするといい。

・新しいあり方の中に一旦重心を移動させた後に、もう1回これまでの人生を時の中で自分を支えてくれたものを、継承し直すっていうフェーズも来る。単純に昔にバイバイして終わりっていうよりは、何か何らかの形で和解をするっていうフェーズがどっかで来る。これは結構時間がかかるフェーズなので、まずは次なる自分に移行するっていうのが順番としては最初に来る

・これからの佐藤さんのアイデンティティの核となるものを、そこに改めて重心を移していくっていうのがこのプロセスなのかなっていう気はする。小さなエゴを手放して、自分の主体を高次の自己の方に自分のコアの生きる主体の場所を移していくっていうフェーズ。

・ワークをしていく中で、こういう特殊な生き方をしている自分に、何かを栄養分を与えてくれたり、自分のことを本当にわかってくれる何かっていうのを見いだせるかどうかが、今後の人生が豊かにできるかどうかっていうことが一つ大きなコアのポイントになる。

・もう友人と話してもなかなかわかり合えないし、本当の意味で深く共感できるし合える仲間っていうのは見いだせない。ただ、どこかにそれはあるはずで、美の世界とか佐藤さんの感性で自分自身に共感できる何かと巡り合えることを探すことも必要。

・やっぱり孤独なまま寂しいままだと、栄養失調になっていくから。

・パフォーマンスは落ち、自分の位置が全くわからなくなる混乱の中で、ユングは師のフロイトと喧嘩別れしたときに、実存的な危機に陥り、そのときの自分を支えてくれたのが「皿洗い」だと語っていた

・移行の最中では、意味づけができなくなる。だからそのときはルーティンワークが支えになってくれたりする。何も考えずにできるワークを大切にするといい(それが足場になってくれる)

自己変容で溶ける際の苦しみ

今回、急に訪れた自己変容は、自分の世界観が壊れ、信念や価値観にも虚しさを感じるような出来事でした。

それはまさに虫が変態していくなかで、青虫から蛹に入って、そのなかでドロドロに液状化しているのと同じ事のような感覚なんだと思います。
そして青虫は、蝶々の形など知るよしもないし、それは蛹も蝶々の形には似てもいないので分からないでしょう。

今私は蛹の状態にいるんだと思います。
今の私が何か目的を見出そうとしたところで、青虫の経験しかないからそのときのパラダイムのものしか出てこないだろうし、ビジョンを作ったところで蝶々の形はまだ分からないから、「巨大な蛹になる!!」といったものになってしまうでしょう。

その後は、成長とか価値とかの方向ではなく、今まで取り組んでこなかった自分自身を癒やし、赦すことを大切にして、セラピー、ヒプノセラピーなどを受けることを大切にしました。

また、自分自身への栄養剤として、このときにはまった漫画が、天動説が信じられた時代において、当時は虐殺対象となる地動説に気づき、その真実と美しさに魅入られ、社会の規範を乗り越えてそれを追求していった者達を描いた「チ。」という漫画でした。(これは本当に良著です!)

まとめ

いかがでしたか?
急にやってきた悶絶するような日々を体験した身からすると、自己変容というものの苦しみを身をもって実感し、決して自己変容を推奨することはできないし、推奨したから鳴る物でもないんだろうなというのを感じました。

虫が自然と蛹になっていくように、そのタイミングが訪れてくるものであり、そのときに自分一人ではどうにもならないとき、誰かの手を借りること、助けてもらうことが本当に大事だと思います。

もしこの記事を見て、同じ様な苦しみを感じていてどうしていいか分からない方がいれば、気軽にご相談ください。自分の実体験含め、少しでも助けてになれたら嬉しいです。

<著者>

「奇跡の経営」セムコスタイル組織開発コンサルタント佐藤 彰「誰もが強みを贈り物のように共有される社会を実現する」をビジョンに掲げ、「奇跡の経営」として世界中から注目される次世代組織戦略「セムコスタイル」の組織開発コンサルタントとして活動。 そのほかにもSDGs推進支援やコーチング、セルフリーダーシップ開発など多様なアクションを実行している。

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