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のらくら詩人諦楽
2022年11月6日 15:29
もうじき10キログラムになるトーコ僕には、この重さが伝える事実でさえいとおしいおそとはそろそろ過ごしやすいよ、お散歩にでかけようまだまだ片腕で抱きかかえてあげなくちゃあ。夕暮れまぢかの公園につながる道ゆっくりのんびり、ふたりでひとつのかげぼうしよろけない走らない、軽やかなあゆみでしっかりとこの足どりおぼえておいてもらわなくちゃあ。ちょうちょがふたりを横切ったあれはアゲハだね。
2022年11月26日 19:22
小高くまぁるい丘をかすめていくつかの星がつらなって落ちていくようぽろぽろぽろぽろ とめどないなみだおまえのちいさなこころにもあるのだろう泣くことでしか向きあえない恐さを感じる、おさない回路そういえば、おとうちゃんもたくさん泣いてきたなしくしく泣いたり大泣きしたり、いろんな涙があったけど今おもいだしたのは、とてもつらかったあの日のことずぶ濡れで泣きじゃくった嵐の夜そのとき、なぜ
2022年11月6日 15:40
おひるねから覚めたかい おやつの時間だよね、トーコまだ少しだけおねむなまなこで小さな指は ラムネをはこぶ窓のカーテンが、フワリ、ヒラリ机のえんぴつがころがって、コトリ風がはいってきたんだよ。トーコの瞳がおおきくなって音の鳴るほうヘ、あたらしいおともだちへ風がはいってきたんだよ、トーコ。ふいっとおとうちゃんに顔を向けたのでおとうちゃんはわらっておかあちゃんもわらってト
2022年11月9日 10:26
とおくなった空は面持ちをすなおにさせるぽっかりくちをあけ、まばたきを忘れるトーコゆったりとした白鯨の群れはあまりにも近くを泳ぐからその影から出て また影にはいる ぼくらうるおった地表のうえをすべる雲 虚空からの俯瞰へとぼくは連れ去られ瞬間とてつもないスピードで彼女の傍らへと墜とされたふたたび空を見上げて立ち眩んだつめたい突風があしもとをさらう こがねの葉っぱをふきとばすぼく
2022年11月11日 22:16
らんぼうものの木枯らしが師走の気配にそぞろになって暗い暗い空を去っていった遠慮がちな家々のあかり風がとまって、ほろほろとわたゆきが降りてきたはかなく消える身にまとうあたたかなきおく、みんなのいとなみトーコはおねむなまなこおくちをぽっかりあけて見ているおとうちゃん、おかあちゃんのあいだトーコ、願わくは忘れてくれるなこのわたゆきも太郎のあのわたゆきも次郎の、雪。初稿
2022年11月15日 21:46
親父たちのお決まりの話題に、ばあちゃんはおとなしかった「ばあちゃん、もういいかげん買い溜めはしなさんな」ばあちゃんの子供たちが一斉に集まる日は決まって誰かが冷蔵庫の大掃除をする昔は勝気だったばあちゃんも、今は子供たちに逆らわないばあちゃんの生きがいのひとつ食べきれないくらい買い集めて誰も食べきれないままに腐らせるときこも、やすまさも、さちこも、みんなおなかを空かして死んでしま
2022年11月26日 19:10
さくらんぼうの花が咲いたよ、十年越しだねおおきなおなかを抱えてうら庭のお散歩から戻ってきたのはきみのおかあさん寒い朝にほんのちょっと、春色の水彩はじめて花が咲いた樹の話題にぼくら、とてもゆたかな気持ちになれたまだまだストーブの暖が恋しい日々だけど暦の上ではあと幾日で、弥生三月啓蟄もまぢかさくらんぼうは甘い実がつくかな小鳥や虫たちに食べられないうちに出来るだけ早めにと