2020アメリカ合衆国大統領選挙が日本にもたらしたもの ~羊の扱い(不動産ビジネス?)は得意だった少年が迷い込んだ政界というけものみちの恐怖

                                                                                                            20201109
2020アメリカ合衆国大統領選挙が日本にもたらしたもの
~羊の扱い(不動産ビジネス?)は得意だった少年が迷い込んだ政界というけものみちの恐怖

わが国が外交上最も影響を受ける同盟国、傘の庇護を受けるその当事国だとしても、日本のマスコミはその大統領選についてあまりにも一方の候補に肩入れをした印象も残ります。その偏向に誰かが違和感を覚えたとしてもそれはそれで当然のこととも言えるでしょう。
アメリカでも日本でも、なぜこれほどトランプ氏のバッシング・大合唱的な報道になったのか(私自身は単なるアンチ・トランプ、反共和党のムーブメントだったとは思っていません)。
只、メディア・報道サイドはそうした視点で自己点検はしないだろうしアカデミックな領域にいる人たちも当然のことというとらえ方をするのは明白なので、シロートの一アジア人としての中立?な見解をまとめ、総括しておこうと思いました。

トランプの何が問題だったのか。
一つは排他主義を公言し、政治の多く場面での分断を生じさせ、あるいは故意に煽ったこと。
二つ目は報道機関の中立性に対する疑問を公言したこと。
そして、自己顕示欲と不誠実さ。
この三点だと思います。

アメリカ・メディアがこぞって民主党に加担し、共和党を否定してバイデン勝利に偏向したように感じる人も多いかもしれませんが、少なくともFOXはトランプ氏の味方だったはずです、選挙が始まる前までは。
トランプの政権運営は、実を伴わないポピュリズムの典型でした。出来もしないことを公言し、それを出来たかの様に装いました。北朝鮮との無条件の直接対話を実現させた様に見せ何の実績も上げずむしろ局面を悪化させました。移民の流入に対しても物理的な壁を作りまたしばしば自分の意に反する側近を排除もしました。気持ちいいほどの我田引水ですね。メディアに対してはCNNを筆頭に、FOX以外の報道を全てフェイク・ニュースだと言い放ちました。
勿論それぞれの事案にはそこに至るそれぞれの原因・背景があるでしょう。しかしトランプは一つとして自分に不利なことを受け入れず自分の正当性ばかりを主張する。それは外交・内政・個人のスキャンダル、あらゆるものに対して共通の行動様式でした。こうした言動が、4年の内に民主党か共和党かという選択肢ではなくトランプか反トランプかという構図を作ってきたと思うのです。しかし私は、トランプはむしろ不幸だったと思います。この状況の背景を作ったのはトランプ以前の共和党ブッシュだし、民主党オバマ政権だからです。
私たちは多くの場合、目先・現実の争いに気をとられ時間軸を忘れてしまいます。トランプを含め、今回の事案のすべての原因はクリントン政権以来のITバブルに始まる格差の拡大に起因します。簡単にいうと西海岸と東海岸に住む、インテリジェンスが高く経済的に優位にある人たちに、共和党も民主党もあらゆる理由をつけて揺るがぬ地位を与えてしまった、特に民主党政権が今日のアメリカの格差を生み、世界の分断を生んだことは間違いないのでしょう。その意味、なぜ皆が民主党を支持する様な言動をするのかという評価もできます。

ただビジネスに成功したトランプは民主党ビル・クリントンに関わることで政治の世界にデビューし、策を重ねて寝返り共和党の主流派さえ凌駕する勢力を築き上げました。
言わば、民主党にとっても共和党にとっても独り勝ちの裏切り者なのです。

そうした総合的・俯瞰的(笑)な観点からも不誠実なトランプは、繰り返しますが、あらゆるものに対して不実に接してきました、自分と自分の支持者以外に対して。そしてトランプの支持者さえ、結局、彼はアメリカファーストではなく自分ファーストであっただけで、自分たちに何も残さなかったことに気づき始めています。
そうした、憎めないキャラクターの裏に隠された、自覚のないあざとさに日本人は基本的には嫌悪感を覚えたのだと思います。勿論、日本のマスコミも。
WHOの脱退、パリ協定の離脱、賛否両論ある中で、中国や欧州諸国の価値観にノーを突き付けた度胸は評価されるべきでしょう。しかし、理性がさせたことではなく虚栄心のなせる業だと感じます。
マスコミに対してフェイク・ニュースだと面と向かって言うような人、医者に対して偽医者だと公言するような人を、果たして大統領として信頼に足る人物だと言えるでしょうか。
事実はどうであれ、本音はどうであれ、医者には医者に対する尊敬と感謝の念をもって接すべきでしょう。彼は臨床心理士だという姪に、カウンセリングをしてもらうしか残された道はないと思います。不誠実という病を治療するために。
日本に残ったのは、何も根拠なくトランプに加担するネトウヨと、バイデンに加担する高邁なる学者・マスコミの皆さんという対立の構図だけ。まんまと踊らされているだけなのです。それに気づき今、私たち日本人は、対立ではなく融和のために何ができるのか何をするべきなのか考えるべきではないでしょうか。
原因はアメリカの現代政治の経緯にあると思いますが、それに付け込んでトランプは保護主義やフェイクを正当化し、民主主義や市場主義にさえ必要以上に疑念を抱かせる素地を作り、対立や分断の解消をより難しいものにする「不信・不実」を膨張させてしまいました。私は共和党を批判しているのではなく民主党を支持しているのでもなくトランプの無責任な言動に不快感があるだけです。


私がトランプに激怒している理由の告白によって一人でもお互いに対する怒りが収まる方がいるのであれば、これほど幸せなことはありません。

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