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「自分」という器を広げてくれる人との出会い。

その人と初めて会ったとき、なにか懐かしい気持ちと変な安心感があった。

社会に出て数週間。今日は担当部署への配属日だ。

「はじめまして。今日からお世話になります。akiraです。」

そんなありきたりなあいさつで、この関係は始まった。

お互いに挨拶を済ませ、緊張と不安が入り混じった不思議な空間にわたしはすこしビビりながら飛び込んだ。

その人はわたしの上司。だいぶ年が離れている。

だけどそんなことを感じさせない若々しい気持ちをその人は持ち合わせていた。

くだらない話だけではなく、時には真剣な話をするうちに、いままで出会ってきた「大人」というわたしの中のイメージ像を
その人はあらゆる場面で更新してくる。

"決して否定しないひと。そしてポジティブへの変換がうまい人"

それがわたしが考える、その人の良いところだと確信していった。

ある日のこと。

「わたしは○○のように考えていたのですが、これって自分勝手な考え方ですかね?」

そんな自信ないわたしの発言を聞いて、その人はこんなことを言った。

「自分勝手な考え方ではなく、いまのakiraの年齢だからこそできる考え方だと思うよ。俺も若い時はそんなこと考えてた時あったし。自信を無くす必要はないよ。」
やさしさのなかに力強さと真剣さが混ざった声で目を見て言ってくれた。

恋心にも似た、言葉に表せないこの気持ちははじめてだった。

「人として尊敬できる人ってこういう人のことを言うのか」

身体を突き抜けるような衝撃が、いまでも忘れられない。
自分の器を自分の力で広げられるように言葉をくれる。
「あなたの悩みを解決してあげる」
のような奉仕的な言動ではなく、あくまで自分で切り開いていけ、と強く背中押してくれるような力強い声だ。

わたしはこの人と出会って、見える世界が変わった。というか変わることができたのだ。

いつからかその人のような大人になりたいと切に思うようになった。

冷たい風の吹く春に
わくわくと不安が入り混じる春に
神様、わたしをその人と出会わせてくれてありがとう。明日からも前を見て歩けそうです。

わたしの心の中には、あの人の言葉がお守りとして残っている。






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