見出し画像

「中途採用者=即戦力」ではありません。

こんばんは。松川です。さて、この記事。これ、note 作ったら必ず書こうと思っていた内容です。これについては、何回かに分けて書いてもいいかもと思っています。それぐらい、このことは【大問題】なんですよ。

中途採用者は即戦力では使えません。

現場から見ると「あいつさー。なんであんなに使えないの?」なんですよ。実際、中途採用者で「即戦力」として使えるのは下記のパターンぐらいじゃないでしょうか。私の経験からですが、下記なら、その場で採用されても即仕事できるかもしれませんし、それなりのパフォーマンスが発揮できると思いますが、それ以外だとまず無理じゃないでしょうか。

  1. 完全に同業他社 (IT企業なら、ベンダで完全にライバル企業ぐらいかな)

  2. 特殊な言語を使う仕事 (英語とかじゃなくて、完全にマイナー言語)

  3. 塾講師

なんで中途採用者(以下、転職者)が、即戦力じゃないのか?

理由は簡単です。フォーマット違うから。暗黙知が多すぎるから。そのことだけを実施すればOKというわけじゃないから。人間関係リセットされるから。あげたらきりないです。まぁ、何よりも「やり方違うから」が大きいでしょう。例えばですが、手順書作るにしても、パワポなのか、ワードなのか、エクセルなのか。勝手が違えば、パフォーマンスはそう簡単に出ないでしょう。それなのに、なんでか「転職者=即戦力」と思い込んでいる人が多いのが謎です。

逆に上記の3つは「そのことだけを実施すれば評価してもらえることだから」なんですね。

わかりやすく「塾講師」ですが、これは採用されれば、その場ですぐに授業できるでしょう(実際、私は学年と科目とレベルがあっていればできます)。その塾の方針と少しずれる可能性はありますが「生徒に数学を教える」という行為は変わらないので。ただし、学校の先生だとこうは行かないでしょう。学校の先生にとってみれば「数学を教えること」なんてのは、全体の仕事のうちのほんの一部だから。もっと他に「生徒の安全を確保する」とか、他のことがたくさんあるんですね。

ちなみに、塾の講師だって「スコープがあっているならば」その場で採用されて即授業持てますという話ですが、このスコープが不明な場合、目隠し碁しているような感じで、従来のパフォーマンスを十分に発揮するのは、それなりに難しいです。ただ、暗黙知が少ない仕事なので比較的やりやすいだろうということですね。仕事をする上で「スコープ」を明確にすることというのはすごく重要です。塾講師の場合は、使うツールが紙と鉛筆だけでも勝負できるという結構特殊職業だから、少しぐらいの「スコープ」がぼんやりでも、先生の腕でカバーしやすいってだけです。

転職者には高い金払ってるんだよ!

すぐ、こう思う人、口にする人がいますが…。実際、そうかもしれませんが、お金支払っているのは、まぁ、大抵は「あなた(もしくは難癖つけたがる先輩)」ではなく、企業です。転職者の人の上司と人事が決めたことであって、転職者だけで決められることではないんですね。よって、間違ってもそういう見方するのはやめたほうがいいです。正直、誰も気分よくないです。特に転職してきた人にしてみれば「あ、ここハズレかも」って思いますよね…。(転職できる人は、ちょっとすれば、基本的に別の企業にも行けるので、嫌な思いしてまで残らないでしょうね)

転職者のパフォーマンスを引き出すには?

ポケモンとかドラクエモンスターズと一緒です。まず、相手がどんな属性で、何が得意なのか?そして、どういうルールで動いてもらえばいいのか?何を伝える必要があるのか?何を育成すればいいのか?そういうことを考えればOK。ポケモンと一緒。この手のゲームやったことない人は一度やってみましょう。

さて、転職者は、新しく仲間になったピカチュウだと思いましょう(わかりやすく、ここではピカチュウをイメージしてみましょう)。

ピカチュウは何が得意なのか?ピカチュウにできないことは?これを知らずに、どうやって戦いの場に連れて行くのでしょうか?ピカチュウがどんなにかわいくても、どんなにレベルをあげても、そして、あなたがどんなに熱心に指示をだしても、ピカチュウは、水の攻撃はできないのです。転職者に「つかえねーな」というのは、簡単です。ピカチュウの特性も理解せずに「お前、なんで水の攻撃できねーの?つかえねーな」と言っているのと一緒です。一方で、転職者を早く使える人は、さっさとピカチュウが電気攻撃が得意だということを理解する人。ピカチュウは全力で業務経歴書に「電気得意」と言っているのに…。ピカチュウからすれば「あなた」のほうがよっぽど使えないのです。「ピカァ(しょんぼり)」ですよ。

なかよし度は?仲間にしてすぐに言うことききます?何度か一緒に戦闘に出さないとダメですよね。ピカチュウに戦闘のルールや戦いのポイントを教えてあげなければ、あなたが必要としているときに、出てきてくれませんし、必要な攻撃をしてくれません。適切なインプットはしていますか?大抵は適切なインプット不足が多いです。大したインプットもせずに「指示待ちくん」と安易に呼ぶのはやめましょう。正直、私は一種のハラスメントだと思います。まずは、十分なインプットを与えること。これのどこが「指示待ちくん」なんでしょうかね?「「早くインプットよこせよ!」と言われるのを待っている方が、指示待ちくん」ですよ。

それでも企業が転職者にお金を払う理由

残念ながら、現場は新しい人が来ると一時的に過負荷になるでしょう。なので、場合によっては新しく人が来ないほうが平和かもしれません。にもかかわらず、なぜ転職者を採用するのか?人が足りないから?私が転職すると、いつも思うのが、企業・現場の受け入れ準備ができないのになんでだろうって思いますけどね。無理に人を投入しないほうが長い目で見たら幸せなこともあるでしょうに。結局これがうまくはまらずで、転職者はすぐに去ってしまうことは多々あるでしょうに。こうなると、全員不幸。一種のコミュニケーションミスなんだけど、そもそも、初期の最低限のコミュニケーションすらまともに発生していない方が多い。

にもかかわらず、なぜ企業は転職者を投入し続けたいのか?簡単です。その組織にはいないタイプのポケモンなんですよ。ダイバーシティというとなんか最近の流行りみたくてあまり得意ではないのですが、少なくとも、現在の組織にはあまりいないタイプの技が使える人なんですよ。きっと。(あえて、きっと。にしておきます。単に物量作戦のときもあるでしょうから)

新卒から育てるほうがたぶん、使いやすいでしょう。おそらくですが、新卒から育てた人たちが使える特技は「水、火、風、電気、氷」とか比較的使いやすい王道技ばっかりなんですね(新卒を1から、なんなら0から育てるということはそういうことなので)。一方で、転職者は「闇、光、時間」とかちょっとトリッキーな得意技が多いわけです(転職者がすごいわけではなく、転職してくる人はそれなりに何らかの経験値だったり、そういうちょっとした技がないと、簡単には転職できないので)。例えば、ターンを変えられるような技を持っているポケモンがいたら、ちょっと面白い攻撃がでいますよね?転職者ってのは、そういう存在だと思っています。

純粋培養の新卒からの数年もいるような先輩は、王道を走ればいいのです。王道のカッコいいド派手な電気攻撃を出せばいいのです。その上で、転職者ってのは、戦いの場に置いて、そのターンを変えて、ド派手な電気攻撃をさらに効果的に出すための存在なんですね。戦いは更に複雑になって面白くないですか?

ただし、転職者というポケモンを理解しないで戦いに出しても「使えない」わけです。そもそも「ターンを変えられるってなんかメリットある?」みたいな人が業務上の先輩だったら、まったくもって、そのポケモンは有効活用されません。残念ですが、せっかくの「ターンを変えられる」というスキルは忘れて、みんなが理解できそうで、ちょっと上位っぽい技の「炎」みたいの大至急で覚えるしかないんですね(今流行り風にいうと、リスキリング?)。私からすれば持ったいないです。トリッキー技を捨てるのはもったいない。その技を大いに使えばいいだけ。だけど、みんな使えない。ああ、もったいない。

そのためには、ポケモンの特性を知る必要があるし、ポケモンも、マスターのこと知る必要性があるんですね。よって、今流行りの 1on1 があるわけですが…。これまた、ちゃんと 1on1 の意味を理解していない。1on1 もやらず、やってもその本質を理解せず…。なにやってるの?と思うのは私だけ?転職者だけが一方的に「早くしろ」と責め立てられるの間違ってると思うんだけどなぁ…。

転職者の面接って誰がしているの?

そもそも転職者の面接をしている人に適正がないとは言いませんが、適切な立場の人ではないのでは?と思います。実際の業務に携わる人を面接の場に出して、その人の評価、その人とのコミュニケーションが取れなければ、どんなに「ターンを変えられる」というスキルを持ってて、それをだいぶ立が上の上司や人事が「お、面白そう」と思って投入しても、現場は「いやだからさ、いいから火が使えるポケモンよこせよ」って話なわけです。ここで、ミスマッチが発生。そろそろ企業も気づこうね。どう考えても、転職者が長くいついてくれなければ、意味ないわけです。それこそ、1発だけ闇系の特技使ってくれて、この局面だけ乗り切れれば、まずはいいよ。という状況でもない限り。そんなのは、かなり珍しいでしょうに。

新しいポケモンは、泣く泣くトリッキー技は一旦忘れるなりをして、炎系の技を覚えなければダメなんですね。器用なタイプが多いでしょうから、すぐに覚えるでしょうけど、それでもある程度時間は必要です。そんな転職者にとにかく現場が言うのは「早くしろ」「自分でなんとかしろ」「指示待ちはダメ」。そもそも、これって意味ありますかね?転職者を使いこなせないならば、私から言わせれば、新卒を育てるか、社内リクルートしてもらうかのほうがいいと思います。新卒の方が言うこときかせやすいでしょうし、社内リクルートできるなら、最低限社内のことわかっているでしょうから、無駄な時間は省けますし、なんだったら「退職者」を引き止めることもできます。荒野から取ってくる必要性はないと思うのです。

何度も言いますが「転職者=即戦力」ではありません。そうできるのは、使う人がちゃんと転職者の能力を引き出せる時のみです。個人的には、転職者で穴を埋めることを考える前に、新卒か社内リクルートを考えることをご提案します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?