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よし!転職しよう④

地方在住の元ソフトウェアエンジニアのAKIRAと申します。前回の記事をまだ、読んでいない方はご興味があれば過去の記事からご参照ください。

この記事は、私の体験を元にした転職に関する様々な出来事を、多少のフィクションを交えつつお届けできればと考えています。お暇潰しになれば幸いです。

【2度目の転職】

2度目の転職は、エージェントを通じての転職でした。最初の転職があまり情報収集をせずに決めたこともあり、今回はエージェントに情報を頂いて検討しました。

転職先の条件はIT企業ですが、業界はまったくの未経験の業界に挑戦したかったのです。いつか独立するためにも勉強しておきたい業界でした。

元の業界がメディア関係だったのですが、流行りに左右され、使い捨てとは言いませんが、当事者意識の薄いシステムの開発になりがちだったので、それとは違う、ユーザーに近い業界に行きたかったのです。またメディア関係はネットに押され冬の時代が訪れつつありました。

今後は、そういった廃れる事の無いジャンルでノウハウを積み重ねて行きたいと思っていたのですが、条件に会う会社をエージェントに調整してもらい面接を受ける事となりました。エージェントを使うメリットは、自分で探すてま省けることでしょうか。

面接で重視したのは企業として稼ぐ仕掛けや、熟練した経営者の元で経営が学べそうかという点でした。そういう意味では、2社目として上場企業で業界シェア1位のシステムを持っている会社を転職先として選択するのは必然的だったのかもしれません。

ですが、最初の数年は厳しい現実を突きつけられるのでした。

転職エージェントを始めて利用しましたが、正直あまりよかったとは思いませんでした。もっと高い希望(高い地位や年収の希望)をもっている場合は良かったのかもしれませんが、私の場合は対して学歴も実力もありませんでしたので、自分で探した方が良かったかもしれません。ただ、当時は今ほど情報が無かったと思うので、多少の優位性はあったようにも思います。

【大企業の光と闇】

新しい会社の光の部分として、会社としてのルールはこれまでとは違い非常に組織的に整備されていました。

ベンチャーにはあまり整備されておらず、大企業にはあったルールを簡単にまとめると以下の通りです。

  • 業務基準

    • ISOやISMSに則った詳細な業務基準と品質マニュアル(前職に比べると非常にマニュアル化されていました。)

  • 目標管理

    • KPIに基づいた部門目標と個人目標の管理(グループ目標をベースに全社目標・部門目標とブレイクダウンされていました。)

  • 評価制度

    • 明確な昇格・昇給基準と給与テーブル(昇格に必要な資格、試験、論文や発表など昇格の基準が明確でどの程度の年収かも公開されていました。)

  • 業績管理

    • 月毎の売上・利益の予実管理(年度の予算で各部門の売り上げ見込みや原価予測・利益予測などを毎月確認していました。)

それぞれ良い面もあり、悪い面もあるのですが、良い面としては、誰もが守るべきルールが明文化されているため、共通認識を持ちやすく、明らかな事では揉めない。

しかし悪い面としては、ガチガチすぎて変化させにくく、無駄なルールや形骸化したルールも多くなっていました。

転職後の会社の闇の部分として、既存社員の視野の狭さがありました。業界の常識は世間の非常識と言われるほど、昭和の考えが根強く残っており最初は失敗したと正直思いました。

転職先は古くからのメーカー的な考え方が根強く、アジャイルという言葉は通用しませんでした。約10年ほどIT技術の時間が止まっているような世界です。逆にその状態でも通用するほど、顧客環境も10年前から変わっていませんでした。そういう意味では業界のノウハウを学ぶにはうってつけとも言えます。

私の目的は業界を知る事でしたので、現場に近いエンジニアを、希望したのですが入社半年程度で管理職に抜擢され、人生初の転勤を経験するのでした。

転勤先は悲惨な状況で、昭和な顧客に昭和な対応(お客様は神様)をしていたため、顧客の横暴な要望に当然のように応じる現場は疲弊しており、十分な対応が出来る状態ではありませんでしたので、毎日のようにクレームの連絡があり、私は謝罪の王様と化すのです。(そんな映画がちょうどあったんですよね。観てませんが。)

【クレーム対応】

ここで私の謝罪ノウハウを紹介させてもらうとすれば、まずは何が起きて相手が怒っているのかを正確に把握し、対処方法を複数用意する事です。

そして、実現可能性とコストを明確にして提示します。松•竹•梅の3つあれば最高ですが、クレーム対応は竹•梅あたりしか出来ない事も多々あるかと思います。梅は無償でできる範囲での提案となります。

重要なのは、相手に現実的な案を複数提示した上で選んでもらう事です。もちろんいきなり提示するのでは無く、最初にすべきは非があればそれを認めて謝罪する事です。しかし状況によっては急ぐ必要もあり、その場合は対応が早ければ早いほど良いので相手の状況の見極めが重要です。

逆にこちらに非が無い場合は、相手の感情に共感はすれど、対応出来ないものは出来ないので、出来る範囲がどこまでかを明確に示します。契約書や法的な責任をどこまで負う必要があるのかも法務や、インターネットで事例を探して把握しておくと良いかと思います。

大事な事はとにかくファーストコンタクトでしっかり謝罪することです。最初は感情的になっているでしょうから、相手の主張をしっかり聞き、なぞるようにそれを相手に確認する事です。これは、オウム返しに話す事で相手に自分が理解しているという事を認識させる効果があるので、感情的になった相手を、落ち着かせる効果が期待できます。

そして、急ぎの迅速な暫定対応を行い、最悪の事態を回避したあとに、恒久対応を相手に進捗を伝えつつじっくりやる事で、ピンチはチャンスになり、完全解決した頃にはクレームからファンに変わる事もありますので、クレーム対応は辛いですがそれも役割と割り切って自分の感情はどこか棚の上に置いておきましょう。(相手は別に個人的な恨みがあるわけではなく、発生した事象に怒っているので、粛々と対応するしかないのですから)

このとき注意すべきは、コストについて社内•社外で大枠の合意を得ておく事です。こちらに非があれば、負担すべき範囲は大きくなるでしょうが、100%という事はそうそうありません。

損害の規模が大きければ賠償など保険の使用も検討が必要になりますが、相手の担当者も大事にしたいわけでは無いと思いますので、最悪の事態を想定しつつ落とし所を早めに決めるべきだと思います。

顧客の確認漏れだったり、丸投げだったり、無謀な要求など原因は顧客にも何かしらあるはずですので、ここはこの場を納めると同時に、転んでもタダで起きないガメつさも必要です。(変に過剰なサービスをするのは、悪い前例にもなりますし、今後も要求されるのでできる事だけを淡々とやりましょう。)

このとき、営業サイドや間に挟まっている代理店などが過剰サービスを求めてくることがあります。(無償でのプログラム改修などです。)自分で判断する権限が無い場合は、上司に判断を仰げば良いかと思いますが、ケースバイケースですので優先順位を社内で共有してクレーム対応に臨むべきかと思います。
①信頼 > ②時間 > ③お金 の場合もありますが、
①お金 > ②信頼 > ③時間 の場合もあります。
お金や時間を惜しんではいけないケースなのか、相手に非がある場合は、お金を優先すべきという事もビジネスなので当然あります。(優良な顧客との逆差別を生まないためにも、言ったもの勝ちにさせない方が良いかなと思います。)

【アウトソーシング】

転勤先は慢性的な人手不足でした。クレーム対応に多くの人手が取られていたという面もありますが、対応エリアが広く、顧客の元に赴くにもかなりの時間を要する事が多かったのです。

移動だけで、半日や1日が終わる事も珍しく無いため、顧客対応が重なるとあっと会う間に回らなくなります。スケジュールは過密になり、突発の対応が出来なくなり、新たなクレームをもたらします。

そこで、遠い地域で簡単な単発の対応に社員が取られるのは効率的ではありませんので、外部でやってもらえないかと考えました。

幸い取引のあるパートナー企業でやってくれる会社が見つかり、試しに離島案件をやってもらい、3日で終わる予定が悪天候で5日かかりましたが、社員の手が取られなかったのでその間にクレーム処理もはかどりました。

その後、そのパートナーとの契約は定着し、社員の余裕が出来たおかげでミスも減り余裕が生まれ、残業時間が社員一人あたり月間で10時間減らせました。

アウトソーシングした事で原価は増加しましたが、処理できる仕事量も増加し、効率化された事で、売上にならなかったクレーム対応も減り、売上になる案件の割合が格段に多くなりました。

仕事のやり方は様々な手段・手法を選択出来るように試しておく必要があると思います。アウトソースする事もできる状態にしておく事で変化に応じて柔軟に対応が可能になります。(アウトソースできる状態に手順化や対応ルールが必要ですので、そこができていないものはまずは業務の整理をしましょう。)

新しい事を始めるのは大変ですが、手持ちのカードを増やしておく事でできることの幅が広がります。逆に考えると選択肢が少ないと打てる対処も限定されてしまうと思います。

目先の利益にとらわれて、変化を拒んだり選択肢を狭めるのは、未来を見ていない可能性があるのでオススメしません。変えない事で楽をしたいのかもしれませんが、結果的に楽にならないと思います。

【大企業のメリット】

大変な事ばかり書いてしましたが、大企業のメリットもまとめておきます。

  • 基本的に給与の上限が高い

    • 大きさに応じて役職も多いので、出世すれば給与も増え、業績が良ければボーナスも増えます。

  • 基本的にコンプライアンス意識が高い

    • コンプライアンス教育も頻繁にあり、企業ブランドを毀損しないようにという意識があるが、結局は個人の意識次第ですが意識は高いです。

  • 福利厚生が手厚い

    • 会社にもよりますが、古い企業だと各種手当や財形・企業年金・退職金・持株会、保養施設や各種割引が受けられる制度や補助が充実しています。

  • 社員が多い

    • 社員が多いので、誰かしらがやってくれるだろうという安心感はあります。ただし大企業は上位2割が成果をだし中間6割がフォローして、下位2割はサボりがちなので、自分がどこに居るか次第かと思います。

【2度目の転職後5年経過】

そうこうしている間にあっと言う間に2度めの転職後5年経過の私のスペックは以下の通りです。

  • 年齢:40歳

  • 年収:700万

  • 家族構成:3人

  • 居住エリア:大都市近くのベッドタウン

  • 資格:英語(TOEIC600点)、基本情報・ソフ開、GMAP-GF

  • 経験:PG6年、SE5年、PM5年、管理職5年

    • 言語:Perl1年、C++2年、Java13年、HTML/CSS14年、Ruby1年

    • OS:Windows2000/XP、RHL/CentOS

    • IDE:VisualStudio、Eclipse

    • フレームワーク:Struts、Velocity、Seasar2

    • DB:Oracle、PostgreSQL

    • その他:Photoshop、illustrator

  • 特殊:オブジェクト指向13年、XP/スクラム2年、CMMI2年、VPC5年

2度目の転職後の前半5年間で得た経験は、初の転勤を突然告げられ管理職として大都市での生活がスタートしました。田舎者の私は大都市ではなく、少し離れたベッドタウンで静かに初の一軒家を借りて過ごしていました。この5年は管理職として、また責任者としてクレーム対応と組織編制が仕事の中心でしたが、今考えれば得難い経験でした。

転職先は、メーカー系のIT企業でしたので正直技術レベルはそこそこ低かったです。オンプレでMicrosoft系の業務システムしかなかったため、レガシーなシステムとレガシーな開発体制・対応のオンパレードでした。

ようやく、今回の転職話の本題が近づいてきました。現在進行中の3度目の転職の話に向けて、もう少し2社目の話が続きます。

今回はここまで、また次回。

【次回予告】

後半では、本社に戻る事になり開発部門へ異動します。ここからレガシーな業界ではまだ事例の少ないクラウドサービスの開発に着手しますがどうなるのでしょう。(社内政治の話は最後の最後になりそうです。)


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