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九州最大のLGBTイベント主催!NPO法人カラフルチェンジラボ代表理事”あなたののぶゑ”さん

LGBTを始めとするセクシャル・マイノリティ(性的少数者)を筆頭に、世の中の差別や偏見から子どもたちを守り子どもたちが前向きに、自分らしく生きていく事ができる社会の実現を目指して、九州RAINBOWPRIDEを主催されている、「NPO法人カラフルチェンジラボ」代表理事である、のぶゑさん(本名:三浦 暢久)にお話を伺いました。

プロフィール
出身地:宮崎県
活動地域:福岡を中心に全国
経歴:1977年生まれ。31歳でカミングアウトした後、翌年アロマヒーリング及びカウンセリングサロンをOPENし、約2300名のカウンセリングを行う。その経験から「九州RAINBOWPRIDE」設立。セクシュアリティに関係なく、誰もが偏見のない世の中で幸せに暮らせる社会を目指し活動中。
現在の職業および活動:行政や多くの企業より賛同を受け、大規模のLGBT啓発イベントを開催。企業向けの講演やLGBTサポート(結婚・就労・住まい・相続・教育など)を行う。
座右の銘:抜苦与楽、桜梅桃李

勇気という一歩の背中を押してあげたい。

Q.どのような夢やビジョンをお持ちですか?

のぶゑさん (以下のぶゑ、敬称略):社会的観点と個人的観点と両方があると思っているのです。
社会的にみてLGBT当事者はまだまだ生きづらい世の中だと思います。

私の場合カミングアウトしたときに周囲が受け入れてくれて、特に母親をかわきりに家族が受け入れてくれたことでとても清々しい気持ちになれました。今の社会は応援してくれる人も昔よりは多いと思いますが、まず最初に勇気の一歩を踏み出すのは自分にしかできない。カミングアウトは自由意思だけど、勇気という一歩を踏み出せば置かれた環境は変わるんじゃないかとも思うんです。
その一歩を踏み出す時に背中を押してあげる団体でありたいし、何かの形でエンパワーメントできるようにパレードもあります。
差別偏見を無くしていくのは壁があるけど、まずは家族など周りの人達が正しい知識を得ることが大事で、当事者の勇気と応援者・社会の受け入れる姿勢両方が大切なんですよね。

今は応援してくれる人もひと昔前に比べれば増えているとは思います。でも現状として未だにカミングアウトするには難しい社会であることも現実でして、声をあげたくてもあげられない人はたくさんいるのだと思うんです。カミングアウトを推奨しているわけではないけども、自分らしく生きていこうと思うと何かしらの一歩を踏み出すことになるのかもしれません。その時に背中をポンと押してあげられるきっかけ作りみたいなものができたらいいなと思っています。
偏見差別をなくしていくにはまだまだ大きな壁がたくさんあると思うけど、まずは家族や友人知人・周りの人達がLGBTの正しい知識を知ってもらうことで、私たちの抱えているハードルが下がる気がします。

まぁでもこのようなビジョンは4~5年経って見えてきたものであり、もともとは個人的な不安からスタートしたんです。
 私には9年目になるパートナーがいて、私は今年41歳、彼は48歳になります。将来生活する上で保障とか、介護や老人ホームに受け入れて貰えるのかとか色々不安があって。法的婚姻が認められたら社会保障とかもつくし、今やっておかないと20年後とかどうなるか分からないですしね!

記者:たしかに、人のためと自分のため、両方ほしいですよね。

Q.ビジョンを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?

のぶゑ:LGBTの啓発活動としてRAINBOWPRIDEをやるなら、数にこだわる必要があると思っています。もちろん数がすべてではないけど、参加者の数は世論の風を表していると思っています。
おかげさまで年々来場者が増えていて、今年は過去最高の来場者数9,000名、パレード参加者800名となりました。
また、今年は42の企業がブース出展し、LGBTを応援しているよ!とのメッセージを込めてイベントを盛り上げてくれました。他にもたくさんの企業から応援を頂き、イベントを開催することができました。

記者:9,000名のイベントって凄いですね!来年はもう1万人超えちゃうんじゃないですか?

のぶゑ:はい、目指すは1万人です!ぜひお越しくださいね♪

Q.その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような活動をされていますか?

のぶゑ:派手なイベントだからこそ、地道な活動が大事だと思っています。
 初年度から「地域密着」を合言葉に地に根をはるように、公民館や学校等へ講演・研修等をさせて頂いています。企業にも当然ご協力頂きたいと考えています。特に企業にはきちんとLGBTへの理解をしてもらいたいと思っています。
左利きやAB型と同じぐらいの割合でLGBT当事者はいると言われているので、必ず職場にいると感じてほしいですね。そして24時間の中で約1/3は職場で過ごすことになるわけですから、働きやすい環境は必須だと思います。社員が働きやすくなるのは企業にとってもメリットのあることだと思います。それこそ生産性が上がるのかもしれません。
それに、どんな業種でもサービスを提供する際、クライアントは老若男女いますし、当然ながら当事者の方もいるはずです。

記者:企業が取り組むことで社会への波及効果もあるし、企業にとっても従業員満足度やサービス向上による顧客満足度が上がりそうですね。

Q.そもそも、その夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

のぶゑ:人は自分らしく生きることが大切だと思っています。
LGBTとは関係なく、自分らしくないというのがよくないんだなとすごく思う。
 私自身むかし自分を隠して生きていたので、自分を隠して生きる苦しさを知っています。隠して生きることにも限界がきてカミングアウトをしたのですが、その直後に行った 「自分らしい姿の」初めてのバリ島は本当に楽しかった、最高の一週間だった。「あぁ…自分らしくいていいんだ」って実感しました。あのカミングアウトから、「自分らしさ」を徐々に取り戻していくうちに、自らの世界観 が変わってきました。それまでの平凡な世界の景色がすっごくキラキラしてみえたんです。
自分次第で「人生」って変わるんだとその時に実感しました。 昔の私を知っている人からは「そんなことできる人だったんだ、昔からは想像つかない ね」と言われるし、去年パレードを見に来た80歳の父が「3男坊で引っ込み思案の子がこ んなことができるなんてびっくりしてる」という言葉がとても印象的でした。
自分らしくあるから、常識的にもエネルギッシュになれる。それがないと抑圧的にもなる し常識的から外れてしまいます。

記者:なるほど。ご自身が体験しているからこそ、自分らしく生きるべきという説得力がありますね。

Q.その発見や出会いの背景には何があったのですか?

のぶゑ:私は自分がゲイであることを30歳まで隠して生きていました。中学時代はいじめられていたし、20代が一番苦しかったです。
普段、ヘイト的な発言に傷付いたり、彼氏彼女の話の時に演技をするというところに大量のエネルギーが必要でした。自分が窮屈になってくるし、転職も繰り返してどんどん居場所がなくなっていく。メンタル的に健康じゃなくなってきて、働く意欲も無いから、お金もなくなって借金も増える…。人間関係も家族関係も本当にボロボロでした。

 29歳の時に本を読みあさってました。なんで苦しいのか、つらい思いをしているのか?を考えるようになり、どうやったら自分が楽になれるのか、ちょっとでも楽になりたいと思って必死でしたね。
その時に出会ったのが「ホ・オポノポノ」です。「自分を愛しなさい」というのに惹かれて、1年間だけでもやってみようと「愛しているよ、ごめんね、ありがとう、許してね」というのをずっと自分の中で言い続けたんです。
そうすることで、自分が楽になっている自分に気づいたんですけど、1年くらいたったときに、楽になろうとやっていたけど環境が悪くなったんです。
なんでだろうと本を読み返した時に「目の前の問題は自分の中の汚れだ、今まで見えなかった汚れが見えているだけだ」という一節をみて、自分の中でのお掃除が始まったと思いました。さらに半年続けて心から湧き出てくる感情は、「自分らしく生きたい、嘘をついて生きたくない、そのままの自分で生きていきたい」だったんです。

記者:「自分らしく」というテーマはLGBTに限らず誰もが必要な要素ですよね。

Q.最後に、当事者とアライ(支援者)に向けて一言ずつお願いします。

のぶゑ:そうですね。当事者の置かれている環境は様々ですが、カミングアウトは絶対ではないです。「自分らしく生きる」というところはすべての人に共通しているのかも しれませんね。考え始める、ブログを書き始める、外に出てみる等、何か一歩踏み出すこ とでと違う世界が見えてくるかもしれません。
アライの方に向けては、色々な人がいると思うし、LGBT当事者だけでなく自分らしく生 きられていない人はたくさんいるはずです。 自分らしくというのに着目したときに、カミングアウトしてきた人がいても驚かず応援してあげられるんじゃないかな。 これといって何か大きなことをしなくてもいいと思うけど、自らの「らしさ」も知って欲しいかなと思います。自己承認は他者承認につながります。そうすることで、どんな方が目の前にいても応援してあげられるのかもしれません。そうなっていければ、個人の「らしさ」を尊重できる社会へ進むために社会制度を変えよ うという時にも応援できるんではないかと思うのです。

記者:なるほど。男とか女とかではなく、「あなたらしさ」ですね。それはマイノリティだけでなく、誰もが必要なことだと思います。
のぶゑさんは各地で講演会をされているということですので、ぜひ多くの方にお話を聴いていただきたいですね!本日は貴重なお話、本当にありがとうございました。

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あなたののぶゑさんの活動、連絡については、こちらから


【編集後記】
今回、記者を担当した荒牧(写真中央右)、大川(写真右)、太田(写真左)です。
自分を隠して生きる生き方から、自分らしく生きる生き方に変えて、人生を大きく変化させたのぶゑさん。
「あなたらしさとは何か?」と問われた時に、どれだけの人が答えを持って生きているのか、私たちも改めて考えさせられました。
これから益々のご活躍とご健勝をお祈りいたします。

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。


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