抗生物質の歴史

AKIRAです。
本日は、専門的な話です。


やはり歴史は繰り返されるのだろうか

歴史とは不思議なもので、人間が辿ってきた道の痕跡とも言えるものですが、なぜ我々はそれをなぞるかのようにかつての人類が起こした過ちを辿ってしまうのでしょうか

私の記事は、しつこいくらいワクチンのことに関して「いかにその技術が幼稚で、傲慢で、未熟であるか」を書き連ねているのですが、あまりに専門的な内容で、文系の方は理解しにくく感じていらっしゃったかもしれません。

言い訳をするわけではありませんが、生命科学の専門分野はほぼオタクの領域に近く、生活に身近な表現に置き換えて説明しようとすると肝心なことが伝わらなかったり、しっくりこないような気持ち悪さを皆さんに覚えさせてしまうことがあります。

ですので、いかに現行のワクチン開発が意味のないことをやっているかを今回は歴史を使って解説しようかと思います。

最初の抗生物質ペニシリン

抗生物質とは、要は細菌を殺す薬です。
ウイルスは直接殺すことはできませんが、細菌はこれを使うと殺せます。

その始まりとなった最初の抗生物質。
それがペニシリンです。

きっかけはすごく単純。
アレクサンダー・フレミングという人がいました。
彼は医者だったのですが、当時度重なる戦争によって傷ついた戦士が感染症によってひどい症状を呈するのを見、治療法の開発を行ったことが始まりでした。

細菌はシャーレという丸いプラスチックのお皿に寒天で固めた培地を流し込んでその上で培養するのですが、ある日、彼は度重なる実験でストレスが溜まってこんなことを言い始めます。

「あー!もう!ぜんっぜん上手くいかんっ!もうバックレてやる!」

そう言って彼は旅行に行ってしまうのです。
寒天に生やした細菌をほったらかしにして

そうしてリフレッシュして戻ってきたとき。
彼は寒天を見て驚愕することになります。

「な、なんじゃこの苔はー!!」

そう、寒天には細菌ではなく苔のようなものが生えていたのです

この発見が、のちにとんでもない発明へとつながります。
苔のように見えていたものは、「アオカビ」と呼ばれるもので文字通りカビです。
驚くことに、このカビが寒天上に生えていた細菌をどんどん溶かしていって細菌を排除していたのです。

のちに、このカビから細菌を溶かす成分が抽出されます。
彼はこれを「ペニシリン」と名付けました。

ペニシリンは細菌の細胞壁を溶かす

ペニシリンが細菌を溶かすことができるのは、細菌の防御壁である細胞壁を溶かすことができるからです。

生物の教科書では、細胞壁をもっている生物は植物細胞であると書いてありますが、細菌もまた、細胞壁をもっています。植物とは微妙に構造が違うので、ペニシリンは細菌を狙い撃ちできるわけです。

人間でいうところの、敵陣が攻められないように木を組んだ防御柵に火をつけるようなものです。

これでめでたしめでたし……とはいかないのが、生物の無情なところですね。

薬剤耐性菌

陣地を守っている柵が木でできているから、火を放って燃やしてしまえ。
そうやって策一辺倒で同じ作戦を何度もやっていると、さすがに相手も対抗策を覚えます
次は、木でなく石を積み上げて、防御を固めだすのです。

何の話?と思われるかもしれませんが、要するにペニシリンに耐性を持つ細菌が出現するのです。
先ほど細胞壁の話をしましたが、一口に細胞壁といってもいろんな構造のものがあります。要は、バリエーションがあるのです。

当然ですが、構造を変えてしまえばペニシリンは効きません。
こうなると、細菌はペニシリンで死ぬことなく人体を蹂躙します。

再び追い詰められた人類。
対抗策を考えます。そうして考え出されたのが、次世代ペニシリンを作ろうという発想です。

向こうが変身するなら、こちらも変身するまで

問題なのは、細胞壁の構造が変わってしまうことなので、その構造に特化した新たなペニシリンを作ればいいじゃん、ということです。
しかしこの試みが、のちの医学界では有名となる悲劇を生み出します。

 ペニシリンが効かない耐性菌現る
→より有効な次世代ペニシリンを開発(ここから抗生物質の概念)
→次世代ペニシリンに対する耐性菌現る
→さらに抗生物質を開発
→耐性菌現る
→さらに抗生物質を開発
→耐性菌現る
・・・・・

このループです

ついには、これら開発した抗生物質すべてに耐性を持つ細菌が現れるようになります。

多剤耐性菌

こうして、生まれてしまったのが多剤耐性菌と呼ばれるもので、文字通り多くの抗生物質、抗菌薬に対して強い抵抗性があります。
これは、細菌感染症の治療において、内服による内科的治療に限界を感じさせるには十分な感染個体でした。

皆さんも知っているものであれば、結核菌がこの例に当てはまります。ほかにもMAC感染症といって非結核性抗酸菌という結核とは違う感染症によって引き起こされる感染症もありますが、こういった薬剤耐性菌を作ってしまった背景が抗生物質の開発にはあるのです。

結局は、抗生物質と細菌の間でいたちごっこをやっていたようなもので、多剤耐性菌のような面倒な新規感染個体を生じさせてしまう結果となったのです。

現在では、多剤耐性菌に対抗する抗菌薬も研究されていますが、臨床の世界では「抗生物質はできるだけ処方しない」という方針に切り替わっています。理由は言うまでもなく、多剤耐性菌をこれ以上増やしたくないからです。

なんか似たような話がある

これらを踏まえて。
なんかごく最近、似たような話を聞いたことありませんか?

すごいスピードで感染するウイルスで。
しかもそれに対するワクチンは今までにない新規のもので。
打てば抗体価が上がるなんて言うデータが出てて。
でもそのあとウイルスはすさまじいスピードで変異して。
スパイクの構造を変化させることで感染性が増強。
新規株に対するワクチンを打っても結局新規株は止まらず。

振り返ってみるとなんか抗生物質の話とよく似てますね。

~抗生物質の場合~

ペニシリンが効かない耐性菌現る
→より有効な次世代ペニシリンを開発(ここから抗生物質の概念)
→次世代ペニシリンに対する耐性菌現る
→さらに抗生物質を開発
→耐性菌現る
→さらに抗生物質を開発
→耐性菌現る
・・・・・

~modRNAワクチンの場合~

 すごいスピードで感染するウイルス現る
→新規ワクチン開発
→ウイルスがすさまじいスパイク変異
→さらに新規のワクチン
→それ以上に新規株増えた
→?

…歴史は繰り返すんでしょうね。
デジャヴなのか、それとも…?

まあ、私の気のせいかもしれませんが。

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