見出し画像

アキッパ、リサーチはじめるってよ

2020年に米国で発表された研究結果によると、人間の脳には移動に喜びを感じる特別な幸福発生回路があるらしいです。
モビリティビジネスに従事するものとしてはドヤ顔で語りまくりたいエビデンスですが、私たちアキッパも、リアルの“あいたい”を世界中でつなぐため、すべての人が移動しやすい世の中を実現すべく、サービスの成長を目指して日々奮闘しております。

アキッパでは「駐車場を予約する」や「個人宅のスペースを駐車場として貸し出す」など、従来の常識を超えた新しい体験を提供していますが、その価値をユーザーさんに十分に伝え、また、それを広く浸透させること。
デザイナーとしては、サービスの成長実現のためにこれらの重要性や面白みを強く感じると同時に、とんでもない難しさも感じることも……

この課題に対するヒントを得るべく、開発プロセスにデザインリサーチを取り入れたいと考えていたのですが、そのオープニングセレモニー的なイベントとして、このたび「アキッパデザイナー 秋の遠足 in 京都」を実施しました。

具体的には、ブランディングやMVVの定義をはじめ、プロダクトの機能改善に至るまで、アキッパのデザインに関して全方位からご支援いただいているブリュー株式会社の鈴木 友晃さんに仲介していただき、インフォバーンKYOTOを訪問。
IDL部門長であり、デザインリサーチを起点として様々なスケールのプロダクト・サービスデザインをリードされている辻村 和正さんから色々とお話しを伺ってきました。

向かって左が辻村さん、右が鈴木さん

通常業務はリモートワークを基本としていますし、合理的に考えると話を聞くだけならオンライン実施でも十分でしょう。
それでもやはりリアルの”あいたい”をつなぐサービスの提供者として、まずは自ら移動の楽しさや対面での会話の価値を実感しはったらよろしいやん。どうぞおこしやす!と、突如はんなりしだした魂の叫びに従い、横浜在住のメンバーも含めてアキッパデザイナー全員が京都に大集合した次第です。

本当に色々な話をお聞きできたのですが、中には非公開の事例なども含まれるので、今回は特に印象的だった内容を抽象化し、別途カンファレンスや書籍で得た情報なども交えつつ、得られた気づきを共有したいと思います。


デザインリサーチの目的とは?

ゴールのない探索

マーケットリサーチとは異なり仮説の検証を目的とするのではなく、アイデア創出のためのインスピレーションを得ることこそがデザインリサーチの最大の目的であるとのこと。
ついつい足元の課題に対するソリューション(しかも即効性のあるやつ)を期待してしまいがちですが、「すぐに役に立つものは、すぐ役に立たなくなる」のもまた事実。「Connecting the dots」を信じて、ゴールに直進するのではなく、余白を持った探索の中でしかインスピレーションは見出せないということですね。世界の名言、大渋滞!

「Hey, What's up?」ぐらいのノリでいい

国外のデザインリサーチ事情についてもお話いただいたのですが、インタビュー対象は、街を歩いている人にランダムに声をかけて見つけるようなケースも結構あるそうです。
日本では、セグメントを切って→対象者をリストアップして→候補者に連絡して……みたいな手順が一般的かなと思いますが、打って変わってかなり気軽にやっている印象。
カルチャーの違いがかなり影響してそうな気もするものの、実行のハードルが高いほど、手段の目的化も起こりがちですよね。
あまり気張らずに「Hey, What's up?」ぐらいの気軽なノリでやればいいんだな〜と思えたことで、デザインリサーチ導入に対する精神的なハードルを一気に下げられたように感じています。

既成概念を塗り替えるには?

「非常識」から「常識」に

冒頭でも書いたように、アキッパは今までの常識を塗り替えることに挑戦していますが、近年の成功事例だとやはりAirbnbやUberのインパクトが強いと思います。
これらのサービスの登場によって、赤の他人の家に泊まったり車に乗るなんて、かつては非常識極まりないことだったのに、今では当たり前になりつつありますよね。
すでに完全に当たり前になっている身近な例としては、家電の3種の神器(洗濯機、冷蔵庫、テレビ)が挙げられます。
戦後当時の日本において、女性を家事労働から解放する提案というのはなかなか難易度が高いことだったのではないかと想像するのですが、こういった変化はどのように起こせるのか?

スターデザイナーだけがマジックを起こす時代は終わった

さらにユニクロのブランドイメージを例にとると、かつては「ユニバレ」などと言われ、着ていることがバレると恥ずかしい、どちらかというとイケてないファッションの象徴的な存在でした。(もはや若い方はピンとこないかもですね😂)

ところが佐藤可士和さんがブランディングを手がけるようになって以降、『ユニクロ「で」いい』から『ユニクロ「が」いい』へと、大きくイメージ転換していますよね。
佐藤氏はモノの価値に対する社会の変化を読み、それに合わせた提案と啓発を顧客に対して行ったと言われています。

それではどのようにすれば社会の変化を予見できるのかというと、やはり「探索」によるインスピレーションを足がかりにするより他はないでしょう。だって佐藤氏だってエスパーとか未来人ではなく、私たちと同じ普通の人間だもの。(たぶんですが)

このように、デザインリサーチはかつてはごく一部のスターデザイナーのみが(おそらく個人的に頭の中だけで)行われていたようなものですが、より多くのデザイナーが当たり前に実施するようになった方が、より良い世の中になる可能性が上がると言えるでしょう。「憧れるのをやめましょう」ですね。新しめの名言きた!

非デザイナーを巻き込むには?

「モノ」を見せれば一発KO

ここまでデザインリサーチの可能性をポジティブにお伝えしてきましたが、正直なところ「お仕事」として取り入れるハードルの高さはあると思います。
企業内で、特に非デザイナーのメンバーを巻き込んだり説得するには、ある程度ロジックで語れる部分や、より具体的な見込みを感じさせるものを示す必要もあるでしょう。

そこでデザイナーの優位性を発揮できる手段は、やはりビジュアライズです。例えば日立製作所の「探索」はこのように「モノ」(製品)として視覚化されています。

どんなに丁寧にストーリーを語っても、受け手に与えられるビジョンは相手のイマジネーションに依存します。
でもプロダクトのプロトタイプなど(もちろんアプリの画面デザインなんかも含めて)、実際に目にみえる形で鮮やかな切り口を提示することができれば、一瞬でその魅力や有用性が伝わるはず。

デザイナーなら誰しも経験したことがあると思いますが、「いいデザイン」はほとんど説明なしで承認されますよね。一発KOとまでは行かないにしても、相応の説得力が「モノ」にはあると言えるでしょう。
つまるところ「百聞不如一見」ですね。名言思いつかなくて古事成語!

さいごに

新型コロナの影響もあり、社外の方と直接お会いして対話するのは数年ぶりだったのですが、やはりオンラインよりも相互のエンゲージメントが高まりやすいように感じました。
会話の相手の興味関心度が「空気」として伝わってくることで、こちらもいつも以上に熱を込めて話すことができたり、同じ空間で共に過ごすことが「共感」に強く作用するという事実を改めて実感。

対面だと雑談もしやすく、すぐに打ち解けたムードに

バーチャルでも他人とつながったり様々な体験ができる便利な世の中ではありますが、その便利さも享受しつつ、リアルで人やコトに”あう”体験もしっかりと残していきたいとの思いを新たにできた非常に有意義なイベントでした。

また、インハウスデザイナーをやっているとついつい環境がクローズドになりがちですが、外部の方との情報交換などで知見を循環させることの重要性も強く実感しました。

もしアキッパのデザイナーと情報交換したい!という方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひお話ししましょう。なんばオフィスでのリアル実施も大歓迎です。お申し込みお待ちしております😃


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?