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校長先生とタメ口で話す娘

今日は数ヶ月に一度の病院で、いつも娘にも付き添ってもらうことになっている。私が自分の発作がどのようであったか説明できないからだ。コロナの影響でオンライン授業が復活したばかりで、少し怖いシチュエーションではあるものの、いつもどおり主治医に私の発作の状況を話して早く帰るべくどんどん前を駆けるように歩く。彼女は食事処でもどこでも用が済んだ場所からすぐに出たがる。余韻も何もない。

お昼過ぎには受診が終わり、ママ友、かりんさんが営んでいるオーガニックビーガンカフェにランチを頂きに向かう。娘が目論んでいる漢検お疲れ様ライブを一緒にする子のお母さんで親子でお世話になっているから彼女もルンルン気分だ。目標が決まっていると、しかもその目標が楽しいことだと、娘の歩く速さは相当で、私も追いつけない。小さい頃から山登りが好き、野山を駆け回るのが好きな娘は都会の喧騒の中でも馬車馬のようにあっち行ったり、こっち行ったりしながら駆け回っている。

さて、困ったことが起きていた。

クラスメイト4人と一緒に行おうと決まった漢検お疲れ様ライブ、子どもたちは楽しそうに話を進めていたものの、5回の練習を音楽スタジオを借りて、本番を広いスタジオを借りて行うというプランで費用計算をしたら一万五千円。 
突然、子どもたちで決めた話に一万五千円かかりますと言われたら誰だって驚くんだけど、コーチ謝礼、民間で防音部屋、各種機材が揃っている音楽スタジオを借りるためには最低限必要な金額なのだ。 

それでもみんなで実行することを応援したいと思って、安い公共施設を借りようと、区民センター、中高生プラザに電話をかけるもことごとく断られる。工事中だったり、中高生ではないからという理由で却下され、学校の音楽室は借りられないのだろうか・・・と途方に暮れつつ放った一言に、娘は即座に反応した。

「そうだ!校長先生に電話しよう」。


オーガニックカフェでランチを食べ終わり、食後の珈琲をいただいてほっこりしていた中でのその一言に、私もママ友も驚いた。私は開いた口が塞がらず、まさか本当に電話をかけるとは思わなかったから一瞬のけぞっていた。

娘はすかさず私の携帯を取って、登録済みの小学校の電話番号をサッと見つけてスピーカーで電話をかける。辿々しい話し方ではあるものの、堂々と校長先生に事情を話して、最後に放った一言は、

「明日、中休み空いてる? 行くから待っててね! じゃっ」


ガチャリと電話を切り、明日校長先生に頼んでみるわとカラッとした顔で言う娘。
そもそも今日はオンライン授業に出ますといってオンラインを繋いでいる間に、為されている出来事。校長先生は一番最初に電話には出ないことも知っている年齢で、理由も言わず校長先生いますかと切り出す娘に、あらー、KURUMIさんちょっと待っててねと、校長先生へ繋いでくれる学校の職員の理解の良さにも感動する。ママ友と二人で、校長先生は素敵な人ねと言い合い、娘の運の良さをありがたく思う。

実際、校長先生は娘の言葉を一つ一つ丁寧に汲み取り、コロナ下、音楽室で歌うことはどうしたものか考えなければなぁと仰いながらも、この漢検ライブが実は担任の先生へのありがとうライブだということも聞かされて、なんとかして叶えてあげたいという気持ちを持ったことは私たちにも伝わってきた。

こういうふうに、学校が誰でも何でも言える風通しの良さを持っていることを子どもたちに伝えてくれていること、私が娘の仲良しの子どもたちの保護者さんと繋がること、それだけでも、子どもたちがやりたいことの応援をみんなでしようという力を感じられる。そのことが幸せでとってもありがたいことだとしみじみ感謝でいっぱいになる。

さて、音楽室レンタル交渉はどうなっただろう。次回お楽しみに!!



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