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やっぱりホステルが好きだ。

仕事を1ヶ月休職した。

ホステル(簡易宿所)の支配人をしている。あることがきっかけで心が疲れてしまい、お休みをいただくことになった。
休んでから2週間、充電するためにとにかく寝た。何もせずに、休んだ。ふと思った。

やっぱりホステルが好きだ。

私とホステルの人生を改めて振り返り、今私がしたいことは何か考えよう。

誕生日を職場で祝ってもらった。ゲストスタッフ、元ゲスト元スタッフ、多店舗のゲストまで

ホステルとの出会い

2017年、大学1年生の春休みに、ロンドンへ。
19歳だった。初めての1人バックパック旅行、母が一緒に宿を探してくれたのを覚えている。そこで初めて知ったのが、「ホステル」。
1人旅で予算も限られている私にとって、2段ベッドで安く泊まれるというのは、魅力的だった。初めはただそれだけだった。

でも、それだけではなかった。

泊まったのは、ロンドンのPalmers Lodge Swiss Cottage。今でも一番好きなホステルだ。(現在は閉業)10泊程度したと思う。

共用ラウンジがあって、ビリヤードをしたり、朝食を食べたり、ゲームをしたり、自由に過ごす人々がいた。

夜になると、バーになった。

バーテンダーのお姉さんが話しかけてくれた。ポルトガル出身で、旅をしながらバーで働いているとのことだった。

そこから、ホステルの他の宿泊者を紹介してくれた。
フランス、イタリア、アルゼンチン、オランダ、トリニダード・トバゴ。世界各国から旅行したり働きにきた人たちと毎日夢中になって話した。夜は、一緒に出かけた。イタリアからのグループがパスタを作ってくれて一緒に食べた。オランダの同い年の男の子とは、将来の話をした。帰国するときに、大声で泣いた。

私は、ホステルの魅力に取り憑かれた。


ホステルで働く

2018年になると、アルバイトでホステルで働き始めた。

15時間拘束の夜勤。フロントは2名体制で、夜から朝までとことんゲストと話すのが仕事だった。

当時日本の難民支援を始めていて、ゲストと難民問題の話になることが多かった。

これが難しい。話したい内容はたくさんあるのに話せない悔しさ。

でも、海外ゲストは基本的に1週間程度は泊まっているので、毎日家に帰って、言いたいことを準備して、次の日の勤務で話す。トライアンドエラーの繰り返し。

15時間もあると話も尽きるし、自分の考えの浅さに頭を抱えることも多い。ただ大学でも日々学び、思考し、職場でアウトプットするの繰り返しでどんなバックグラウンドの人とでも話を膨らませられるようになる。自然と世界中に友達ができた。

様々な考えに触れ対話し続けることで、価値観や人生に大きな影響を与えてくれた。

ホステルはいつもそこにあった。

2019年には、中東やヨーロッパを旅した。
友人の家を転々としながら、ホステルも巡った。

ストライキ真っ只中のパリで、地下鉄に乗れないならホステルで飲もうと、ホステルのバーで飲み明かした。

パレスチナのホステルでは、屋上のソファーでシーシャを吸い、日没のアザーンを聴きながら、ゲストとパレスチナやイスラエルの問題について、人生について語り合った。今でも私の名前がそのホステルのレビューに載っているだろう。

ヨルダンで無料で住める代わりに、フロント業務をお手伝いするなんてこともしていた。
パンデミックの時でさえ、唯一の交流の場所を求めて、ホステルで住み込みをした。

2021年には、現在まで働き続けている施設と出会った。

振り返ったら、私の人生の多くを占めている場所だった。
ホステルがあるから、生き延びてこれた。

この思いを、旅人たちに感じてもらいたい。人生が変わるような体験をしてほしい。

私にとっての人生が変わるホステルの特徴って

・ホステルには3パターンある。パーティーホステル、ソーシャルホステル、静かなホステル。ソーシャルホステルが好き。お酒も出す飲食店がついていて、常に人がゆったりお酒を飲んで話している空間。音楽も話せない程ではないけどホテルよりは大きめの音が流れてる。
・キッチンは必須。食事を共有することで学べること、繋がれることは多い。
・交流しやすい仕掛けづくりがある。季節のバーイベント(バレンタインにもらうアイテムの片割れを持つ相手を見つけると、2人でショットがもらえるなど)
・スタッフのフレンドリーさ/積極性。これは多少汚いホステルでも10/10をつけてしまうくらい重要。やっぱり人。

じゃあ私はどんなホステルを作りたいんだっけ。

・泊まるだけではない経験が得られる場所。
・ボーダレスな空間。スタッフが誰かわからないくらい。
・誰も取り残さない、セーフスペース。
・「ここ」だから戻ってきたいと思える場所。ファンがいる。
・趣味を聞いて終わるだけではない、交流。その人の人生が変わるような出会い。

分かってはいたけど、なかなか言語化することはなかった。
これを忘れなければ、やりたいことは見えてくる。
大好きだと思える場所に出会えてよかった。


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