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生き甲斐っていうものになれるかな。

 人が、あなたがわたしが一体なんのために生きているかなんて、よっぽど体調の悪いときか、それを学問として追求しようとする哲学者にでもなろうとしない限り、まじめに考えることなんてないんじゃないかなと思います。とはいえぼくは、たまに考えます。一体ぼくは、なんのために生きているのだろうかと。(頻繁に体調がわるいという話でもあるのかもしれないが。)

 まぁその、タマゴが先かニワトリが先かみたいな話ですけど、”生きるためにコレをする!”とか、”この瞬間が生きている心地がする!”なんていうのは、だれにでも人生に3秒くらいは経験があるんじゃないかなと思います。ぼくなら、そうですね、疲れた夜のハーゲンダッツにウイスキーかけたやつとか食べてるときとか、そんな感じです。

 ぼくが仕事で取り扱っているクルマというやつも、じつは、けっこう沢山の人の「生き甲斐」になっていたりします。たとえば、週に一度しか乗れないのだけれど、それをドライブしている時間が至福だ、とか、月に一度、同じクルマに乗った仲間の集いにいって仲間とたわいもないおしゃべりをしている時間に癒やされる、とか、人によっては、愛車を眺めるための家を建てたりして。

 じゃあ僕にとっての「生き甲斐」はというと、正直よくわからなくなるときがあります。たしかに、ぼくも、マツダという会社が生んだ、ユーノス・ロードスターというクルマに魅せられて、就職して新型作っちゃうぞ!っていうくらい入れ込んだんですが、客観的に見ると、いわゆる「生き甲斐」としてクルマを捉え、クルマと向き合っている人たちのそれとは、ちょっと違う気がしていて、じぶんのこれは何なんだろうか?と、少し悩むときがあります。

僕の「生き甲斐」ってなんだろう? と。

 7年ぶりに、ぼくを育ててくれたクルマのイベント、ロードスター富良野北海道ミーティングに、お手伝いも兼ねて参加してきて、1週間アタマを空っぽにしてロードスターを愛する人々のことだけを考えて生きてみて、すこしわかった気がしたんです。僕の「生き甲斐」はこれかもしれないと。それは、

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クルマ(ロードスター)というコミュニケーションツール(言語)を通して、それをともに愛する人々が笑顔になっている瞬間を見たとき、ぼくは、なんだか安心し、そういう ”何か” を、 ”場所” をつくりたいと、素直に思ったんです。

 思い返してみれば、7年前、近所の爺さんが「わたしも北海道に連れていってくれませんかね。今がチャンスだと思うんですよ。」っていうから、連れて行ったことがあるんです。その7年前の旅行は、その爺さんを最高の気分で過ごさせてあげられたので、その点については120点のアテンドだった。ただ、その他の大切にしなければいけないものを”すべて”といっていいほどケアできず、一人の男として、守らなければならない相手や友を、数年後諸々の事情で失ってしまうことになるとはそのときは知る由もなく、悔やむに悔やまれない、感情がおかしくなりそうな思い出ではあるんだけれど(それはいつか気が向いたら別の機会に話すとして)、そうでもしないと受け止められないサイズの何かをその瞬間に取り扱っていいた感覚はあって、間違いなく言えることは、

”一人の自動車開発エンジニアとして、とても重要なバトンをその時受け取った。そしてそれが今、カタチになろうとしている。”ということ。

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 近所の爺さんはその夜、「もう眠いから部屋まで送ってくれ。」と、宴会場をみんなに見送られてはやめに(早くない)戻られたんだけど、その途中、無数のロードスターが芝生の丘の上にこっち向いて並んでるど真ん中まで行って、ぼくにまっすぐな目で、こう言ったんです。

「コガさん、あなたはね、”こんなふうに喜んでもらえる、全く新しい別のなにか” をつくってくださいよ。わたしもいくらでも応援しますから。明日からですよ。こういうのはね、チャンスは好機、いいタイミングでやるのがいいんですよ。今あなたはね、いい仲間に恵まれていますよ。じゃぁ、おやすみなさい、また明日から、よろしくおねがいします。」

っていって、ホテルのお部屋に入っていかれたんですね。

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 そのとき、ぼくは、ぼくのなかでひとつはっきりと感じたことがありました。僕の「生き甲斐」は、

”僕の「生き甲斐」は、誰かを笑顔にする何か(有形/無形/概念)を作ること" なんだと。

 確かに、ぼくも彼も、ロードスターは好きだけれど、ぼくのロードスターも彼のロードスターも、全っ然、そっけないんです。およそいわゆるマニアとか、クルマ好きといったキーワードからは程遠いような愛車でして。

 彼は、「こんなに多くの人が愛してくれるとは思いもしなかった。」なんていってたけれど、「とても有り難く、感謝していて、とても嬉しい。」とも言っていた。おそらく最初で最後の ”参加者” としてのファンミーティングはとても楽しそうで、最後の最後に、あちら側の醍醐味を味わえたのかもしれないなぁと思っていて、ぼくはいい仕事をしたかもしれないなと最近改めてそんなことを思っています。

”あんなふうに喜んでもらえる全く別の新しいなにか” か。これを、”クルマ”と言わなかったところに彼の天才味を感じていて、いや、かれは天才ではなく、

の人だった、ただそれだけだったんだと思うのです。正直、彼はクルマの技術ことは案外知らないこと多かったし、けっこう頑固者だったから若い頃とかやりづらいやつだったと思うし、決して外に出ている美談だけではないドロドロしたものがたくさんあったのだと容易に想像できるのだけれど、ただ一つだけ、

”そのクルマを手にした人の生活が、変化し、気持ちが嬉しくなってほしい”

という”はっきりした概念”を、いろんな優秀な仲間と喧々諤々やりながら、カタチにしていったんだと思う。そして、彼自身も追い求めた「生き甲斐」は、「そのクルマをほんのちょっとの勇気をだして買ってくれた人たちの、笑顔」だったのだろうと思って。

 それで、ぼくの「生き甲斐」は?最近けっこう鮮明に見えてきたんですよ。ここに書いちゃうとさ、なんかミステリアスさ的な?かっこよさがさ?薄れちゃう気がするからさ?あんま書かないけどさ??

僕の「生き甲斐」は、

”これまでクルマなんて乗れないって諦めて自分の可能性をずっと狭い世界でしか表現できなかった人たちに、高々クルマの運転なんですけど、これを、楽しく・安全に・気持ちよくできるようになってもらうことで、その可能性をより広く、遠くへ、時間にも縛られず自由に解き放ってもらいたい”

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んだなと思って。いま時点ではね笑

大げさに聞こえるかもしれないけれど、「クルマそのものを愛する人々」もいれば、「クルマが自分の才能や能力の可能性を広げてくれることに信頼感を得ている人」もいる。どちらも、クルマが好きで、クルマに ”生かされ” ていると言ってもいいのだろう。

クルマに生かされる人たちがいて、クルマに生かされている人たちに生かされている人たちがいる。そのもう一つ手前に、「クルマを生み、生かす人が人たち」がいる。きっとぼくは、最後のグループなんだと思う。

この循環を人は文化と呼び、それを実現するのが技術だ。そうやって人は、進化していく。そのためには、クルマとヒトが相思相愛、であることが、きっと根底になきゃこの美しい連鎖はどこかで破綻してしまう。だからこれを回して行くのがぼくのシゴトであり使命であり「生き甲斐は」であり、それは、

「クルマとヒトに、いろんなカタチで、好き同士になってもらう」

ことなんだと、はっきりとした覚悟みたいなものが心の中に文鎮のようにズドンと出現し、揺るぎないものになった気がしています。そう、だから、

MEET THE CARS なんです。やり始めた10年前から、何一つ、思っていたことはブレてない。言葉にできなかった心の奥底にあった気持ちを、言葉と経験を獲得することで、少しずつ説明可能な状態に、なってきた感覚でいます。

 あなたの生活が、ちょっといい感じになるための相棒/ソリューションとして、いろいろある中でクルマという選択肢がある。そして、いろんなクルマがある。それは、楽しいものだし、きっと新しい世界を見せてくれることを僕は約束するけれど、たしかに始めるには勇気がいるし、そんなに簡単なことでもないのも事実。もしかしたら最初は楽しいと思えないかもしれない。でもそれは、ジョギング然り、ダンス然り、いい練習方法で、フォームで、あるいはあなたの納得のいくやり方で存分に練習したら怪我も少なくて上達も早くて、それ故に「自分らしさ」を見つけるまで一気に上に行ける。そんな、お手伝いを、ぼくはしたい。ぼくならそれが、できると思っています。

あなたが「自分らしさ」を見つけて生き生きした目でぼくを見るとき、ぼくは、

生き甲斐を、感じるんだよなぁ、って思った、話でした。

古賀章成

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古賀章成です。自動車開発テストドライバーという仕事をしています。主に、運転を苦手だと感じている人に、安心してもらえるような・自信をつけて楽しんでもらえるような練習の仕方やクルマの在り方を研究・開発しています。頂戴したサポート費は、テストや開発の経費として活用させていただきます。