新型コロナウイルスワクチンに関する私見
【結論】
2021年6月現在、日本で薬事承認されている新型コロナウイルス(以下、コロナ)ワクチンは、ファイザー社製とモデルナ社製のいずれも有効性・安全性ともに優れている。
一部の禁忌の人を除き、これらのワクチンの接種が社会全体に広がることにより、コロナ感染症の蔓延を抑えることができると筆者は考えている。
【コロナに罹ると?】
ワクチンの話をする前に、そもそも、コロナ感染症に罹患するとどうなるのか。厚生労働省の資料を見ていきます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引・第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/000668291.pdf
初期症状がインフルエンザや風邪に似ていて、重症化して肺炎を引き起こしたり、最悪の場合は死に至ることもあります。
次に、重症化リスクについて。
P.10「3 重症化のリスク因子」より
高齢や各種基礎疾患、喫煙、妊娠等が挙げられています。
そして、後遺症について。
P.12「5 症状の遷延(いわゆる後遺症)」より
呼吸苦、味覚障害などの後遺症があるようです。
以上のように、コロナ感染症に罹るとつらいことが起きる場合があるため、自身への感染や他人への感染を防ぎ、感染症の蔓延防止に努めたいと思います。
【各ワクチンの有効性について】
ファイザー社、モデルナ社それぞれについての有効性を見ていきます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_pfizer.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_moderna.html
そして、気になるのが
という記述ですね。
「十分」かどうかはさておき、両社のワクチンの感染予防効果は、海外の報告により明らかになっています。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2101765
イスラエルでは、ファイザー社のワクチン2回目接種から7日以降において、
infections(感染)→92%
symptomatic illness(発症)→94%
hospitalization(入院)→87%
severe disease(重症)→92%
という有効性を示しています。
アメリカでの報告について、忽那氏の記事を紹介します。
こちらは、両社のワクチンを合算した数字です。
※引用部分以外も素晴らしい解説ですので、是非全文を読んでね。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210411-00231933/
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7013e3.htm?s_cid=mm7013e3_x
このように、mRNAワクチンである両社のワクチンについての有効性は、いずれも発症予防効果95%程度、感染予防効果90%程度であると考えられると思います。
注意点として、この数字は、武漢で最初に流行した従来のコロナに対する有効性です。
変異ウイルスについて見ていきます。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2104974
B.1.351で感染予防効果90%程度→75%程度と、効果がやや落ちているようです。(75%でも結構優秀だと思います)
【各ワクチンの安全性について】
PMDAの添付文書より、海外の臨床試験における主な副反応の状況を見ていきます。
ファイザー社
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/672212_631341DA1025_1_03
12歳~15歳を対象にした試験についてはこちら。
年齢が低いグループのほうが、副反応が多く発生しているようです。
モデルナ社
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400256_631341EA1020_1_01
ファイザー社とモデルナ社に共通して、接種部位の痛み、頭痛、疲労、悪寒、発熱などの症状が見られ、全体的に1回目よりも2回目に多く副反応が起きているようです。
「日常生活を妨げる」以上である「グレード3以上」の症状は、かなり頻度が少なくなっています。
主な副反応の他に、稀な副反応としてアナフィラキシーが挙げられます。アメリカのJAMAの報告によると、ブライトン分類(レベル1、2、3)を満たす件数は、ファイザー社で4.7/100万接種、モデルナ社で2.5/100万接種でした。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2776557
日本では、ファイザー社で100万接種あたり12.9件と、海外と比較して多く報告されています。
https://web.archive.org/web/20210609080241/https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000790073.pdf
アナフィラキシーについては、アドレナリン注射などの適切な治療を行えば、症状を回復させることができます。
https://www.jsaweb.jp/modules/stwn/index.php?content_id=7
接種会場では、当然、アナフィラキシーなどワクチン接種後の体調不良に対応できる体制を整えているので、過度に恐れる必要はありません。
また、ワクチン接種後の死亡事例が報告されていますが、「ワクチン接種が原因で、何らかの病気による死亡者が増えるという知見は得られていません」。流産が増える等の妊娠のことに関して、何らかの悪影響を与えるといった趣旨の言説もデマであると断言します。(仮に今後長期的な検証により、新たな危険性が判明したとしても、現時点でその知見が得られていないことについては、デマとして扱います)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_hukuhannou-utagai-houkoku.html
【まとめとおまけ】
・コロナに感染するとキツイ
・承認されているワクチンは、とても有効でしっかりした安全性がある
・ファイザー社もモデルナ社も似たような性能
・副反応は結構起こる
・重篤な副反応は稀に起こるが治療可能
最後に、コロナ対策はワクチン接種だけではありません。少数ですがワクチンを接種できない人もいます。
コロナワクチンは万能ではありません。
ワクチン一本槍ではなく、多層的な防御によって、感染対策の効果がより高められます。
https://figshare.com/articles/figure/The_Swiss_Cheese_Respiratory_Virus_Defence/13082618
手洗い、消毒、換気、マスク着用、ソーシャルディスタンス、その他公的に有用であると認められている複数の感染対策を取り入れてコロナ禍を乗り切りたいですね。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
るんるーん♪