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パンを食べるように本を読む

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「読書は、パンを食べるようなものだからね。走るときに備えての栄養なんだ。」ポール・ランド デザインの授業という本にあった言葉を抜粋し、このマガジンのタイトルとしました。気になる章… もっと読む
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#デザイン

自分で自分にレビューをしながらブラッシュアップしていくときのいくつかの問いと回答

目的を言語化せず、必要な仕様を言語化せず、なんとなくデザインソフトを触って時間を貪るそんな週末。 目的も仕様も、趣味でやる分には特に明確化する必要はないと私は考える。しかしながら、明確な目的もないままデザインソフトを触っていたとしても、やっぱり素敵なものがでてきたら嬉しい。 でも現実はそうはいかない。何時間も画面と格闘したところで、経験無きものが無から「なんかいい感じのもの」などできるわけがない。 「今まで軽視してきた自分の感性とは一体なんであったかを考えましょう。感性

比べることで、何が素敵かわかる

「デザインを構想する」という本で、祖父江慎がデザインをする上で重要なのは「うっとりする力」だそう。花だとか、シダの葉の規則性だとか、とにかくなんにでも自分を忘れて対象に感動してみることが大事なのだ。 なんにでもうっとりする...つまりなんでもあるがまま・肯定的・マインドフルに捉えることは、難しい。今画面に写っているフォントの美しさにうっとりするのは、今の自分では難しい。 そこで祖父江慎が提示してくれたヒントは「比較すること」だった。 「具体的にこういうスペックとは言えな

同じ言葉と知識を持たなければ、対等な関係は作れないし、アイデアも生まれない

使う言葉と知識の量が違うのって何が駄目なんだろう、を考えてみた。で、いわゆる言葉遣いだったり知識の立場の非対等性が強まっちゃうと、嫌でも上下関係が発生してしまい、結果としていいアイデアが出づらくなるよね、ということなんじゃないか。 デザイナーなら、デザインスプリントという言葉を耳にしたり、実践したりした人は多いかもしれない。上記に紹介した本は、個々人が持つたくさんの情報を発散し、まとめ、最適解を選択していくものづくりの手法について言及している本だが、実際に中を見てみると思っ

企業イメージはなんで作らないといけないの?

なんでロゴを作るのにこだわらないといけないのか。なんで企業イメージが大事なのか。なんでカラーは統一しないといけないのか。 恥ずかしながら、少し前まではそれらの重要性...は知っていても、「そこまでお金や時間をかけてやるものではないんじゃない」と思っていたのである。そんな温度感がシビアになったのは、とある仕事の話がきっかけだ。 自社にある商品内容をそっくりそのまま他社にパクられてしまい、気づけばパクリ元のほうが本家よりも知名度が上がってしまったと聞かされたのである。 でも

最近読んだデザイン教本3冊から学んだこと

言語化されてないものに頼ると死ぬ「センスでいい感じに」という課題解決ツールは、言語化する手間と引き換えに消費MPが激しく、自分のやるきや愛に左右されるものだ。つまり気の向いたときにしか起動しない課題解決ツールであるということだ。 自分のデザインをレビューするときの筋道となってくれるのがデザイン教本 きくずれ系・こなれ系デザインを作って路頭に迷ったとき、どこから手を付けるべきかわからなくて詰んだということがある。こういうときにセルフレビュー、つまり言語化が必要になる。言語化さ

リズム曲線のない絵の残念さ / 古典に学ぶ人物デッサン

どんなデジタルイラストレーションであっても、うまく・よく描くには、技法をわざわざ自分の体と頭に焼き付ける必要があるのだ。この現実を受け入れながら、私は空き時間を見つけてはせっせと練習を行っている。 自分がペンツールで作ったイラストがなんだか変!に見えるのは、リズム曲線を意識していないからかもしれないIllustratorの話でいうと、何も考えずにペンツールで絵を描いたときに「なにか惜しいストローク」が最初にできてしまう。 ざっくりとペンツールを使って描かれたものは、リズム

持っているだけでアガる / 配色スタイルハンドブック

その配色をどう実践に使っていいのかわからないから、配色本を開く機会がめっきりなくなっていった 配色サンプルのたくさん掲載された本、カラーパレットを作るオンラインジェネレータは何かのタイミングにつけて目にすることがあるのに、全く使わないタイプ。というのも、目の前にある最適とされるカラーパレットを、どうやって目の前の課題に反映すべきかが全く想像できない程度には、自分の得意とする配色レパートリーが少ないのである。 この本のいいところは、配色事例が限りなく自分好みなこと。ファッショ