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本音で話せるコーチングに必要なこと

クライアントとしてコーチングを受ける時、ある種の緊張感がともないます。
何を聞かれるのだろう。
何を答えればいいのだろう。
その質問の意図は?
何に気づくべき?

一方で、コーチとしてクライアントと向き合う時は、できるだけ緊張感を与えず、緩くリラックスしてほしいと思って対面しています。
リラックスしてこそ「本音」が出てくるし、「本音」で話をしていないことは、次の行動に結びつかないと思うから。

さて、はたしてちゃんとできているだろうか。
クライアントの方々は、本当に本音で話せているだろうか。
そもそも、どうすれば、本音で話をしてもらえる空気がつくれるのでしょうか。


意図持った問いと、意図を感じる問い

コーチングには、おおよそ決まった型があり、そこに向かってすすめられることが多いようです。
一般的に知られているGROWモデルを始め、それぞれの流派やスクールによって、コーチングのスタートからゴールに至るまでのステップが設定されています。
GROWモデルの例は、以下のようになっています。

それぞれの頭文字をとってGPOWモデルと言われています。

また、段階を着実に進んでいくための「問い」が系統だてられて準備されており、そこに添って問いが出されます。

例えば、
ゴールを明確にすること、そしてなるべくリアリティを持ってゴールを想像するための質問。

さらに、現在の状況を再認識するための質問。

ゴールと、現在との差分を知るための質問。

差分を埋めるために必要なことと、すでに自分が持っているリソースと、外に求めることや協力者を導き出す質問。

それらを使って、どこから着手するか。どのようにプランするか。

ひとつひとつの質問は、無駄がなく、意図があり、クライアントが自ら考え答えを見つけ出せるようなシステムになっています。
これは、とても有効であり効率的で、気づきが多く、行動にも結びつきやすいのですが。

ひとつ難しい点は、

問いに意図を感じすぎることがある

ということ。

質問の意図を感じすぎると、素直な人は、それに応えることばかりに一生懸命になるし、逆に素直でない人は、意図的な質問に不快感を感じ、考えを深めることをやめてしまうことも。
あるいは、自分で問題の道筋を考えることをやめ、コーチの問いをただ待っている状態になることも。

これは、いずれも「心地よくない」ことから生じる感情。
素直な人の「問いの指示に従わなければ」な気持ち
素直でない人の「それは、あなたが引き出したい事ですよね?」な気持ち
また、「たててくれる問いに答えておけばいいや」な気持ち
いずれも、不自然な対話から生まれる残念な例です。

コーチが問いに意図を持つのは必要なこと。
でも、クライアントが、その意図を感じすぎると、よい結果が出ないこともあるらしい、ということです。

意図を感じない意図的な質問

では、意図を感じない意図的な質問とは、どういったものでしょうか。
それは、おそらく

まるで、自分がたてたかのような問い

であることが必要なのだと思います。
今まで思いつかなかったけど、それを深めてみたかったんだ!
とクライアントが思えるような問いです。

人は誰しも、誰かに操作されたり、強制的に誘導されるのは嫌うもの。
<自分らしさ>は、無意識にでも守りたいと思います。
対話の場面でも、やはり、問いに必要以上の意図を感じると、<自分らしさ>が損なわれるように感じるのではないでしょうか。

では、<自分がたてたかのような問い>は、どうやってコーチの口から生まれるのでしょうか。

大前提 共にいること

完璧にできているかどうかは置いておいて、私自身が心掛けていることは、なにより

共にいること
共にいる時間を伸ばすこと

です。
多くのコーチは、コーチングにおいてクライアントの言葉を聞きながら、コーチングの全体像をイメージし、今必要な問いを考え始めます。
その時点で、コーチは、クライアントと共におらず、コーチという役割の中に納まっています。
そして、次の効果的な問いを考え、投げかける。

ここは、リフレーミング(視点を変える)だ。
ここはやはり、スケーリング(数値化)で今を知ってもらおう。
ここはパワフルな質問で、真意に迫ろう。
といったように。

このコーチとしての思考、組み立て、発言の時間を少しだけ遅らせる。
それだけでも、実は<共にいる時間>が長くなります。
このコーチとしての思考、組み立て、発言の時間を少しだけ遅らせる
受けとめ、想像し、共に味わう時間
その数秒があるかないか。。。。。
それによって、次に生まれる問いの<性質>が変わってきます。

対話は共につくるもの

コーチングは、特別な技術であり、通常の対話とは異なります。
だからこそ短時間で成果をあげたり、行動に移していただくことができる。
でも、それだけに、本音で話せなければ、またそのために対話の方向が違ってしまったら。。。
話の主題は、本意ではない方向に走り出すことになってしまいます。
場合によっては、人生の方向性を左右することにもなりかねない。
だから、行動に移せたらOK!
ゴールにたどりつけたらOK!
ではなく、それがクライアントの本当の本当に目指す姿のかということが、とても大切。
だから、<対話も、問いも、共に創る>姿勢が必要となってきます。

そして、そのためには、
受けとめ、想像し、共に味わう時間
が、必要だと考えています。
お相手が話をされている間、そして話終えてからのほんの2~3秒。
その時間を、コーチが「よい問いを考える時間」から「受け止め、想像し、共に味わう時間」に変える。
そうすると、自ずと次にでてくる問いは、

クライアントが自分でたてたかのような問い

に近づいていくのです。

主宰する「あいづち道場」では、スクリーン法という言葉でそれをお伝えし、また細かくその方法を共有する時間を設けています。

受けとめる<私の準備>

クライアントの言葉を、しっかり受け止め、想像し、共に味わうことは、簡単なようでいて、そこに入り込む邪魔は沢山あります。

セッション時間
クライアントの高い目標や目的意識
当日たどりつくべきゴール
コーチとして「コーチングはこうでなければならない」の気持ち
クライアントの話と自分の経験との比較
自分のコーチとしての見え方への不安

色々なことが頭をよぎるなかで、じっくりゆっくり一言一言を味わう余裕がなくなりがちに。。。
それでも、準備できることもあります。

それは、自分自身が、自分自身とそのコーチング能力を信頼していること。
「そんなに焦って問いをたてなくても、状況に応じた問いが沸いてくる」

という自信です。

これは、なかなか深い問題で、自己信頼感が低いと、焦って次から次へと問いを繰り出してしまいがちに。
クライアントの安心の前に、実は、コーチ自身が「自分に安心」していることが必要なのですね。
そのことも、またnoteでお伝えしたいと思います。

問いをたてる人が対話の主導権を握る。
それが事実だとしたら、主導権は、クライアントが持っていないといけません。
クライアントが問いをたてる。
または、クライアントがたてたかのような問いをたてる

なんだかヤヤコシイ話になってしまいましたが、本音で話せる実りあるコーチングのためにいは、とてもとても大切なことだと思います。
<答えはクライアントの中にある>
コーチングでは、そのようにうたわれますが、私たちは、
<問いもクライアントの中にある>
を目指していきたいと思っています。

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