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発達障害を手がかりとして、オンライン体験を考える

発達障害にやさしい、事前に動画で学べる「オンライン体験」

昨夜、うとうとしながらテレビを観ていたら、深い眠りにつきそうなときに一気に眠気が吹っ飛んじゃう、新たな取組が紹介されていました。それは旅行や買い物がオンライン上で楽しめちゃう「オンライン体験」
これこそ私が求めていたもの、実現したかった、まさしくbingo!な取組で、ワクワクドキドキしながらTVを観ました。
(ちなみに「bingo!」って言うのは古いらしい・・・笑!)

発達障害は「初めての場所」「慣れないこと」が苦手

発達障害のある子どもや人の中には、「初めての場所が苦手」「慣れないことは不安でいっぱい」と、初めてや慣れないことが苦手な人がいます。中には日々の日常生活の買い物もままならず、近所の決まったコンビニしか行けないため、1日の食事がおにぎり2個なんて話も聞いたことがあります。
また、その困りごとは「人混み」「周囲の視線」が加わるとさらに助長・増幅します。

例えば、初めて行くスーパーの買い物で、慣れない不安でいっぱいの中、欲しいものがなかなかみつからない。さらに人混みが邪魔をして視野は狭まり、でも騒音が耳の中を響き渡って不安は募るばかり。なんとかその場を乗り切るために、おまじないのように「○○を買いたい」と欲しいものを呟いて探していると、周囲から冷たい視線が注がれる。なんとか欲しいものをみつけても、慣れない場所でのお会計に緊張してもたもたしていると、ここ最近の言葉として注目されている「レジ圧」によって、無言のプレッシャーをかけられる。

よくあること、そんなものだと思われる方もいるかと思いますが、残念だけど、このような経験がトラウマとなってしまって、二度とそのスーパーに行けなくなってしまう子ども、人もいるんです。

でも、これって発達障害だけの困りごと?

発達障害のある人の困りごとは社会の多くの人も困っていることだったりするので、私は自身の肩書にその思いを込めているように、発達障害を手がかりとした視点で物事を見ています。その視点で考えると、これって決して発達障害の子どもや人たちだけの困りごとじゃないって思うんです。似たようなシチュエーションを想像したら、誰にでも「あるある!」って言えることなんじゃないかと。

少し話がそれますが…
私はマレーシアが大好きでリピートして訪れていますが、何度行ってもよくわからなくて困ることがあります。それはトイレにある「ホース」
先日、トイレ会社の人に聞いたら「手動ウォシュレット」だと教えてくれましたが、それでも謎が残ります。どうやって使うのかがよくわからないし、考えれば考えるほど、服を濡らさないで使うのは至難の技にしか思えないからです。「何事も経験」と生きてるさすがの私も、空港やレストランで使用する勇気は持てず、その度に、使い方を事前に教えてくれる何かがあればいいのにと思っていました。そして、それはトイレだけでなく、空港から飛行機、現地、その国の文化や風習、料理など、旅行全体を事前に学べる機会があったら、安心して旅行に行けるのではないかとずっと思っていたのです。だから、昨夜のTVで放送されていたオンライン体験がbingo!だったわけです。

発達障害に大切なのは「事前学習」

講演会などでよく聞かれることですが、発達障害に必要な支援の1つは「事前学習」です。初めての場所や慣れないことの苦手さに、状況判断の苦手さが加わると復習は活かせません。大切なのは予習、『事前学習』なんですね。そしてそれは部分だけでなく、その人の行動や移動に伴った全体の流れとして把握できることが大切。先に述べたスーパーだったら、スーパーに行く道のりからスーパーの入り口に始まり、スーパー全体の中のどこに何があるのかがわかる商品棚の紹介、レジから出口までの買い物動線など、行動や移動を一連の流れとして把握できる動画を、事前にオンラインで体験できたら、発達障害にかかわらず多くの人の安心・安全になると思うのです。

私がここで言葉で説明するより、好事例をご紹介した方がわかりやすいと思うので、ANAさんが作ってくださった『そらぱすビデオ』を紹介します。飛行機のトイレの音にびっくりしてしまう子どもたちのために、音まで再現して事前に学べる、優れものです!​事前学習冊子「そらぱすブック」と合わせて見ると、さらにグッと学びが深められます。

【ANA そらぱすビデオ】
https://www.ana.co.jp/ja/jp/serviceinfo/share/assist/support/disorders.html

事前学習が大切な発達障害を手がかりとして「オンライン体験」の発展を望む

昨夜、オンライン体験を紹介している番組の中でも言われていましたが、事前に体験してよかったから、安心できたから実際に行ってみるなど、オンラインで事前に体験できることが新たな価値になっていくと私も信じています。それは旅行に限らず、買い物や、銀行や、行政窓口や、会社や、学校や塾など無限大に可能性があると思っています。そして新たな価値を生み出すために手がかりとなるのが発達障害だとも思っています。

「ニューノーマル」という言葉がキーワードとなっているこの頃。働き方や学び方はもちろん『体験』ということにおいても、新たな考え方や価値が生み出されています。発達障害のある人たちの困りごとも手がかりに、今だからこそ、今しか起こせない変化によって、オンライン体験やその価値がもっともっと生み出されますように・・​・

*画像:このカバーのデザインはFreepik.comのリソースを使用しました。

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