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発達障害にやさしいエリアを表すピクトグラム

5月20日に、経済産業省の日本産業規格(JIS)において、
発達障害のある人たちが必要とするエリアを表すマーク、
「カームダウン・クールダウン」案内用図記号(ピクトグラム)が、
追加されました!

2020年5月20日 経済産業省HP
日本産業規格(JIS)を制定・改正しました(2020年5月分)
①案内用図記号のJIS改正

案内用図記号は、言葉や文字によらず、一目見ただけで多くの情報や案内を可能とするものです。近年の社会事情の変化をふまえつつ、日本人だけでなく外国人観光客にとっても分かりやすい案内表示を目指すために、JIS Z8210(案内用図記号)に「男女共用お手洗」、「こどもお手洗」、「授乳室(女性用)」、「授乳室(男女共用)」、「おむつ交換台」、「介助用ベッド」、「ベビーチェア」、「着替え台」及び「カームダウン・クールダウン」の9つの案内用図記号を追加しました。今回追加された案内用図記号が公共施設等で活用されることによって、より分かりやすい案内表示が行われることが期待されます。

ピクトグラムとして認定された背景にある大きな期待

このコラムを読んでいる人たちの中には、
「カームダウン・クールダウンってなに?」
「そんな言葉聞いたことない…」
と思われる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、そこに大きな期待が込められています。

それは「知らない人に知ってもらうこと」

カームダウン・クールダウンのエリアやピクトグラムの存在を通して、
このエリアを必要とする人たちの困りごとを知ってもらう、
つまり、知識提供と理解啓発の機会が提供されることを期待しているのです。

カームダウン・クールダウンってなに?

カームダウン・クールダウンは、発達障害や知的障害、精神障害、認知症など、光や音、人混みや周囲の視線が苦手な方が、このエリアや部屋に入ることで気持ちを休ませ落ち着くことができるスペースです。

世界各国から多くの人が集まるオリンピック・パラリンピックの会場となる「世界最高水準のユニバーサルデザイン」を基本理念に掲げた新国立競技場では、日本の競技場で初めて設置がされています。

また成田空港では、移動に大きな不安や困難さのある方のストレスを減らし、 未然にパニックを防ぐことができる「安心安全な移動支援」を目的としたスペースとして、日本の公共交通機関で初めて設置がされました。

旭川空港でも既存の施設を再利用して設置されるなど、成田空港や旭川空港の事例が好事例となって、今後多くの公共交通機関で設置がされていくことでしょう。

「カームダウン・クールダウン」の案内用図記号(ピクトグラム)が、
日本産業規格(JIS)に追加された経緯や背景については、
私がバリアフリー推進アドバイザーをさせていただいている、
「公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団」のHPをご覧ください。
*今後、カームダウン・クールダウンの詳細サイトができる予定です

カームダウン・クールダウンエリアは、
その子、その人の可能性と世界を拡げる!

非日常的な慣れない場所ですごく不安になってしまって、気持ちが焦ってしまったり、パニックになりそうなとき、発達障害のある子どもや人がこの部屋の中に入ると気持ちを落ちつかせることができるカームダウン・クールダウンエリア。

大切なことは「モノ」ではなくて「エリア」です。
このエリアは、椅子とパーテーションでも作れるんですね。
私が鉄道などの公共交通事業主さんに切にお願いしたいのは、カームダウン・クールダウンというエリアが必要な人たちを知っていただいて、そういうエリアをもっともっと作っていただきたいということです。

もしかしたら、設置することは些細なことに思えるかもしれない・・・
でも、今まであきらめることしかできなかった、発達障害のある子どもや人、そして家族にとって、このカームダウン・クールダウンが大きな希望となって、その子その人の可能性と世界を拡げるのだと、どうか気づいてほしいんです。

例えば、朝の通勤や通学はみなさんにとってはたかが移動かもしれない。
行けて当然のものかもしれない。

でも、その移動が困難で職場や学校に行けない人たちがいるということをどうか知ってほしいんです。大きな不安や心配から、そもそも外出をあきらめている人たちが多くいることも知ってほしいんです。

あきらめを希望に変えることができるカームダウン・クールダウン。
みなさんも、このエリアを増やしていくなにかをしてもらえませんか?

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