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フィンランドで何度も引っ越ししてみた話

私はフィンランドに2年半ほど住み、何度も引っ越をしています。何回引っ越したか忘れるほど。日本では実家暮らしだったし、その後は家族が増えたという理由で引っ越し、と、得に多いわけではありません。
なのに、なぜかフィンランドで引っ越しの繰り返し。振り返ってみると、
学生寮に入る前の一週間の仮の宿はおいといて、

1.学生寮
2.街中のワンルーム
3.学校に近づくワンルーム 35m2
4.学校に近い住んでみたかった地区
5.現在のアパートに落ち着いたところです。
私はいったい、何のはしごしているのでしょう。

私は日本で独り暮らしの経験がありませんので、ネット情報で、日本で敷金等準備金が必要な事を学んでいます。ちなみに動画は ゆっくり不動産 を純粋に楽しんでいます。

フィンランドで住むにはデポジットを預けます。一定期間借りる契約と、自由期間の二つがあります。私は常に「出たくなったら連絡する」タイプのアパートにいました。とはいえ、引っ越ししたくてしているわけではありません。多くは「騒音」という悩みにぶち当たったのです。今回は、引っ越ししたくなった理由を書いていきます。

1.学生寮
フィンランドには公的な学生向けアパートがたくさんあります。一年目は部屋は別の共同生活のみで、一年耐えたら、ワンルームに入れるそうです。
外国人は外国人同士の共同生活です。フィンランド語の上達を求めて来たのに、英語で話さなくてはなりません。私は二人用アパートへ入居。部屋は広め、広い台所とシャワートイレが共同です。一階の台所は外から丸見えで、私が何か持ち込まない限り、空っぽのままでした。机を持ち込んだら、アキコはいろんなものを持ってくるのねー、って言われました。

英語は仕方ないとしても、彼女の彼氏がお泊りに来たあたりから、
イラ( ;∀;)。数度あったので、まさかずっと泊まり込むつもりじゃなかろうな?と言う疑心暗鬼が生まれます。壁一枚へだてた部屋に、彼氏がいつ泊まりに来るのか。(静かにはしてるんですが)特に、トイレの蓋が開いたままというのが気になります。

「私は女子と住みたいだけです」と、学生アパートの管理事務所に
「あのー彼氏が寝泊まりするのって普通なんですか?」って尋ねました。上手に説明できなかったのでしょう「自分の子供を泊めるのは普通でしょう、あなただってそうじゃないの?」と言われて今度はこっちがぽかん。
あー「ボーイじゃないの、ボーイフレンド」と、説明しなおし。

その後、「管理会社に言ったの?」と同居人に詰め寄られました。長く話をしたのはその時が初めてくらい。面倒になって黙って引っ越しました。同じころ彼女も他の部屋に移ることにしていたようで、私が退所の最終確認をした日には、アパートは完全に空でした。掃除も終わっていました。ダンケ。

2.街中のワンルーム
寮の次には、明るい!と印象が良かったワンルームです。向かいには遅くまで開いているスーパー、スーパーの隣には、大型車両が出入りする駐車場の入り口がありますが、車両の音くらいは、我慢します。

駐車場入り口に、スケーターがほぼ毎夜来るようになりました。いつも同じ音楽が鳴ります。その場ではさほど大きな音に聞こえないものの、天井に跳ね返って増幅されるのか、うちには大きく聞こえてます。音楽には罪はないのだけど、毎度同じ音楽と、ガラガラとスケボーの音。うるさいです、と何度も直接言いにいったものの、終わりません。音楽をヘッドフォンで聞きつつスケボーするようになっても、スケーターガラガラは響き渡り、上達する様子もありません。で、警察に電話しました。

昼間は音をたてても仕方ないとはいえドンガラガラ聞こえてくるとイライラ気味に。もう無理、と大家に相談すると、他にもお嘆きの住民がおられるとのことで共同戦線が張られた模様です。それでもある日の夜中すぎてもどんがらしていたので、警察へ。パトカーがちゃんと来るかどうか部屋の窓から見張る私。いやなおばばでしかありません。

時間はかかりましたがパトカーはサイレンもなくしずかーにやってきました。逮捕はされなかったようです。

なお、私の部屋は、私より古いエレベーターの真横にありました。フィンランドでは珍しくもない、自分でドアを開けるタイプです。入居した頃に聞こえたキーキー言う音は、大家に相談したらそのうちおさまりました。でも、ガタゴトだたん、という「俺、仕事してるんだぜ」というエレベーター到着の音は聞こえます。多少慣れたのは、自分で意外に思うほどでした。

理由がわかっている音、人間がわざとたてている音ではない場合、予告なしで始まるのではない音の場合は、私は慣れることが可能なようです。多少は。

この部屋、日当たりがいいだけあって朝日がまともに差す春の朝の室内は25度になりました。私は太陽光線が当たると気分が悪くなり、朝からくらくら。台所にもまともに日光があたるため、うっかり鍋をおいておくこともできません。窓には段ボールとか、非常用シートを張ってみましたが、そんな生活は続けたくない、と引っ越しサイトへ。

3.学校に近づくワンルーム 35m2
今度は、学校近くに新居を求めました。全体の入り口の前の道はバスが通りますが、部屋は裏庭側です。5階だったかな?(もう忘れた)私より年上のアパートだったかもしれせんが、エレベーターは新品で静かです。

フィンランドのアパートはたいてい冷蔵庫込みのようで、ここには大型の古い冷蔵庫がありました。(その前は小さいタイプでしたが、向かいがスーパーだったので困らず)それが時折、ばしん!とすごい音を立てます。つらい、とごねていたら新しいのを買ってくださいました。開き方が逆で不便でしたが、音は減りました。

コロナがひと段落し、街ではサマーコンサートが始まりました。目と鼻の先の屋外会場では、夜中まで。フィンランドの夏はそんなものでしょう。いったい何時までやるのか多少不安でしたが、よく見たら「24時には終了します」とまで新聞広告に載っており、きちんとその通りに終了したのには感心しました。

夏休み中は平和でした。電車の線路も遠くなく、そこに平行して走る車道からの音も、聞こえます。でも電車の音は「コロナ、ひと段落したんだ」とあまり気になりませんでした。隣の住所のアパートの裏庭では入居前から大規模な工事があり、ときおり振動が伝わります。壁を隔てた隣のアパートでは、夏の間中ずっと内装工事中でした。鉄筋コンクリートなのか、方向性のないドリル音がほぼ毎日響きます。

秋、新学期になると、上の階から物音がし始めました。とんとん、とんとん、とずっと音が響いてくる夜23時。女の子たちの笑い声もする。・・・何か出るのか・・・?

夜23時過ぎに訪問すると、お嬢様おふたりが、夜中近くの床の張り替え工事を楽しんでいるところでした。今まで静かだったのはアパートが無人だったからでした。

フィンランドでは「夜22時から朝7時までは静かにすること」と言う規則が、法律ではないものの、いわば常識で、アパートには張り紙がされています。

その後、入居者の足音がどしどしと響くようになりました。朝、ドタバタするのが丸聞こえ。夜、何かを叩く音もする。お邪魔すると、お菓子のタネの仕込み中との事。ばんばん、叩くんですね。物音に「顔」があるだけでも、まだまし、だから騒音元の人とは知り合った方がいい、と思ったのだけど・・・「お菓子、私にもください」とも言えず。

大学も近いので同じアパートに学生がいても当たり前。他のアパートの新しい入居学生の仲間か、何人もがどたどたと階段を話しながら駆け上っていく音がする夜23時。よく聞こえます。
入り口のドアは二重ですが、たいした防音になりません。住居内の廊下と居住室の間にはドアなし。(物置にはドアがあるのに)アパートの廊下の音がすべて聞こえるのです。建築デザインは当時モダーンだったんだろうけれど、廊下での話し声はよく響きます。

一階上に住む大家さんはピアノをお持ちで、歌ってもよいとのことでした。夏休みに一度だけ、ショパンががんがんと数時間頭の上から降ってきました。上手だったのは幸いですが、こちらは聞きたい音楽を聴くこともままならず。(小さい子のお稽古は大きな音が出ないのでかわいいな、くらい)グランドピアノの音というのはまともに下へ伝るのです。歌ってよいかどうかを確認した上で入ったものの、これではまるっと聞こえそう。結局あまり練習しませんでした。
秋には隣家の内装も終了し、ご家族が戻ってきました。話し声が聞こえます。

学校へ向かうには、距離としては短いものの、車道の隣の上り坂。大学の森からアプローチしてみるも、丘だから上り坂。疲れました。ちなみにこの年2021年の冬はものすごい量の雪。すんでのところで離れてよかったと思います。(一度通ったら、転びました)

4.学校に近い住んでみたかった地区

引っ越せばいいじゃん」と言う声が頭の中に響き、私は再度、不動産サイトやフェイスブックやを見始めました。フェイスブックにアパート個人貸しグループがあるのです。

学校にとても近く、坂道も信号も少しだけで興味があった地区にアパート発見。「保証金3か月分」と書かれていたため、フェイスブック住民からはヒソヒソとよくない反応をくらっていました。でも住んでみたかった所なので、そこは交渉。今度は一階に入居となりました。ところがここで最悪の事態が起きました。

すぐ上の階の住民の足音のどしどしと言う響きが耳に直に響いて痛いので、静かに歩いてもらえないか、と訪問しました。そのうち、大きな音楽をかけながらお友達と踊りのしこをふみ始めたのです。うるさいですよと訪問するたびに、お兄ちゃんは半分裸で現れます。

基本、クラブミュージックと言う感じの単調な音楽で、大音量、バスの音量とステレオの質が良すぎで、バスドラムの響きが耳を攻撃してきます。ダンスの足踏みも響き、まるでデスコの下に住んでいるよう。マットくらいひいてほしい。クリスマス前夜には大盛り上がりしたのは時期的に仕方ない、と我慢しましたが、1月も止まず。大家に連絡すると「一週間騒音の記録をとれ」「訪問するな」と。(!?)新スタンス・・・

ある日、日曜日の昼間に爆音でのお稽古が始まりました。大家に連絡した後も改善したとも思えず、もう家に帰るのも嫌になり(デジャブ)管理会社に直にメールしました。音は小さくなったものの、やっぱり遅くまで聞こえます。防音は標準仕様で普通だと言います。築数年の長屋式なのですが、それにしては振動の伝わり方は木造の実家を思い出すかのよう。怪しい。

(もしお兄ちゃんがプロの踊り子さんなら、こんなに練習が必要というのはおかしいなあ。白い粉か何かでてきた、何かおいしいものを食べながら踊る集会なのだろうか)

再度不動産サイトを研究することになりました。引っ越し先を決めたのち冬のバカンスから戻ってくると、また・まだやってました。夕方までお稽古にはげみ、また夜中4時にまともに聞こえる音量でお稽古が始まった時には、本気で警察に電話しようかと思いました。でも相手が近すぎます。

ここは、夜にあちらこちらから洗濯機の回転音が響くことがしばしばありました。隣家から24時過ぎの濯機が響いてきたこともありす。両隣と上の階がうるさいとなると、何かあった時に助けを求めることもできません。

入居時にはチェックがなく、前の住民から「ここは前からこうだから」と言われただけ。退去後にいちゃもん付けられても困るので、事前に施設の欠陥を報告しておきました。ちなみに
・台所、洗面所共に、流しの栓ができず、水をためることができない。
・トイレの小が流しにくいので常に大量の水を消費。
・電源が気まぐれにつく、つかない・・・どんなん?
なぜ私は我慢していたのかしら。大家と管理会社へもないどころか、不信感が募るのみです。

5.今のアパートへ。

振り返ってみると、秋から、常に騒音に悩まされてきたのです。それを自覚するまでに、時間がかかりました。最後のアパートの地区は「閑静な住宅街」で知られているところ。たまたま上の階にとても変な人がいたのです。変な恋人に当たるのも、こんな感じなのかしら。

ある人に「あんたは引っ越すよ」と言われていたので、前向きにとらえてはいます。ここまで引っ越し魔になるとは思いませんでしたが、睡眠には帰られません。

3月半ばに引っ越しました。春分の日をいつの間にか超え、気温が+の日が続き、判で押したように暖かくなりました。氷と砂利の歩道の足元も、水と砂利になり、水が流れていきます。この冬は本当に雪が多く、涼しい零下の日も多かったのです。引っ越して忙しくしていたうちに、春が近づいています。

周囲は静かなのに、しばらく空耳が続きました。前のアパートでなっていた音楽のバスと大太鼓と足踏みの響きが頭の中で聞こえるのです。静かな耳鳴りもあります。あまり気になるときには耳栓をして寝ますが、今は少なくとも、上の階からの「暴力的」な騒音を防ぐためではありません。

前のアパートでは周囲に相談しても、大家も、「消音イヤフォンを使えば?」と言われました。でも、爆音や振動は消音で防ぎきれません。そもそも「いつ始まるかわからない」騒音に対し「毎夜」寝る前にイアフォンをして眠りにつけというのか?フィンランドやでここ。

私はフィンランドに来る前から、ずっと耳栓の生活を続けています。静けさを求めてここへやってきたようなものなのに、なんでこうなるの?ダメ男さんを引き付ける女性ってこういう感じなのかしら?

今のお家の話を少し
今回は「隙間時間がない」と嘆いていた自分のために、あえて少し町中から離れたところにしました。町中より大きなショッピングモールがあるので、割とよく買い物に来ていた地区です。バスに乗る時間は、ぼーっとせざるを得ません。日曜はちょっとバスの本数が少なめだけど(一時間に一本)平日は学校へ行けるバスが一時間に3本くらいはあることでしょう。それくらいは平気です。

今後、何を嘆き始めるのかは、予想が付きますが、とにかく質の良い睡眠時間は不可欠です。長い間、慢性的な寝不足、一日中気になる周囲の騒音、集団住宅では聞きたくない音も聞こえてきたことがあり、すっかり疲れてしまいました。不要な音が脳に巣くっているような感じです。頭痛もあり、ちょっとしたことで心臓の動悸が増えます。

音を聞いていらいらするのを防ごうとしていたら、反応を減らすこととなり、感情が自滅しました。自覚あり、症状は軽めですが、まだ尾を引いています。特に「どうりで秋学期からの授業にぜんぜん集中できていなかったわけだ!宿題が遅れている!」という恐怖感があります。

アラカン学生。
元先生。
環境に敏感です。なんだか長くなってしまいました。今日は春の雪嵐を眺めながら書いています。

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