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横須賀西部は「南葉山」なのか問題。/ヨソモノ、ヨコスカ。#04

横須賀に移住して、はや2年。
都内で名刺交換すると「お、横須賀ですか」なんて言ってもらえることも増えました。続くリアクションは「いいですねえ、海が近くて」みたいなのが定番なのですが、まあまあな確率でこんなフレーズも出てきます。

「逗子や葉山が近くていいところですね」

ええ、お隣りです。近いです。
はい、いいところです。私も好きです。
なんだけどね。
そういうふとした瞬間に見る、多くの東京住みの人たちにとっての「逗子・葉山>横須賀」という構図の揺らぎなさといったら。

でもさ。横須賀が地元の人にはゴメンなのですが、しょうがなくはあると思う。だって対外的イメージで言えば、横須賀って「軍艦・スカジャン・カレー」なんですよ。 別に悪いことじゃないです、個性だし。ただ逗子・葉山って「マリーナ・カフェ・御用邸」とか(世代によって出てくるワードは違うだろうけど)明らかにリア充感が高い。そこに百恵やペリーを出したところで、憧れるか、憧れないか勝負で言ったらミルコ・クロコップに素手で立ち向かうレベルの敗戦です、残念ながら。

それでも逗子や葉山が近いから、じゃなくて「横須賀が好き」という理由で住み続けている人がいて、我が家のように「横須賀のムードが気に入って」移ってくる人もいる、という事実もまたあるわけで。逗子・葉山とは魅力や持ち味の種類が異なると思うんですけど、どうもひとくくりに語られがち。

そんなある日、面白い物件を探す、という趣味に勤しむため、いつものように不動産サイトを検索していると「南葉山」にある物件を見つけました。その説明書きが「人気の南葉山!」「今注目の南葉山!」みたいなやけに勢いのあるテンションで。

しかしです。よく見ると「住所:横須賀市秋谷」とある。てっきり葉山町の南エリアかと思ったら、そうじゃない。あれ?と思って検索してみたところ、南葉山という住所は存在しない。そこで、グーグルマップで「南葉山」を見てみました。ブルーの斜線が「葉山町」で、赤マークが「南葉山」という名称が使われている場所です。

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すがすがしいほど、葉山町内には赤マークがないのですよ。

どうも「秋谷」「佐島」「芦名」あたりの海寄りを中心に「南葉山」という名称を使った建物が分布している。まあ見たとおり「葉山町の南側」ということなんでしょうけど。

でも素朴な疑問。
南葉山 ◎西横須賀 じゃない?

実際、横須賀市ではこの地域のことを「横須賀西部地区」と区分してました。グーグルマップおよび検索エンジンでヒットした「南葉山」は、マンションの物件名とか霊園とか、売土地の紹介文とかほぼ不動産関係。次に飲食店の紹介などサービス関連事業(私調べ)。

つまり「南葉山」という呼び名は、(不動産的に)土地の印象を良く見せたい →「横須賀<葉山」のほうが効果的、という一種のマーケティング戦略から生まれてきてるっぽい。

たしかにね。ネーミングのアイデアとしては悪くない。覚えやすいし、印象もいいし、響きもキレイ。でも「南青山」や「南麻布」は青山・麻布の内部にあることを考えると、わざわざ町と市をまたいでまで「南葉山(実は西横須賀)」と呼ぶのは少々トリッキーな感じもする。

似たような例として、東京ネズミーランドは千葉にある、的なのもありますが、そもそもネズミーランドは「東京」を期待して行く場ではなく、「ネズミー」のキャラや世界観が期待ポイントなので、東京だろうと浦安だろうと集う人にとってはそんなに問題ではないはず。

一方「南葉山」名称に寄せる期待ポイントは、そのまま「葉山町」のイメージになる。「都心から近く、海や山が近い豊かな暮らし」という面には応えられても、肝心要のリア充感・憧れ感はどうだろうか。葉山ブランドの力を借りることで「葉山に近くてコスパのいい代替え地」みたいに見えてしまわないだろうか。 横須賀的にホントにそれでOKなのか。ヨソモノながら老婆心が湧きまくってきます。

「都心に通勤できるうえ、海や山が近い」のは間違いなく横須賀のウリのひとつ。しかし、そのフレーズを使って市のブランド力を高めようとすることはすなわち、鎌倉・逗子・茅ヶ崎などなど列強・湘南勢の試合に参加することでもある。ミルコだけでも強いのに、ヒョードルとかヒクソン・グレイシーも登場する試合です。これは相当の腕自慢じゃないと勝てない。

元々の「秋谷」「佐島」「芦名」っていう美しい地名で勝負することはホントにできないのかな? 横須賀になんとか高級感を加えて、湘南の一員になる以外に生き残り戦略ってないのかな?

ちょっと長くなったので、次回に持ち越します。これから「湘南カースト」問題について考えてみる予定。


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