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新しいコミュニティでの取り組みに必要な共視のデザインと「本当のゴール」

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論の授業の第12回(9月27日)レポートをまとめました。

今回はサーキュラーエコノミーの実践家 大山貴子さんにご講演いただきました。

プロフィール

大山さんは「自然と社会とコミュニティの循環と再生を耕す
デザインファーム」株式会社fogを設立され、企業向けのサーキュラーエコノミーの支援や、自身でのご活動をされています。

また「日常化させるサーキュラー」をテーマとし、循環する日常をえらび実践するラボ elabo(エラボ)を立ち上げて運営されていきます。(10月中旬オープン予定)

現在は豊島区長崎の「壱番館」の住居人を中心としたコミュニティにて、土を入れる所から創り上げていくコミュニティガーデンづくりや「RE:RE:BOOKS」(古本の譲り合い)の取り組みなどのコ・リビングにも取り組まれています。

コンポストをソーシャルビジネスにするべきなのか?

コンポストは微生物を使って土に還す行為で、自然とのふれあいができる媒体であり、人間の利益の一部にすることに対して疑問を感じられました。そのためお金には変えず、暮らしの一部を街に循環していくというコンセプトの元でコンポストを運営されています。

共視のデザイン -溶け込み目線を調整する-

目線を作るために、現場に溶け込み先入観を取り払うことを意識されています。大学時代にウガンダに行かれた際にも、ゲストとして行くのではなく一緒に生活することを意識していたところ、現地のアチョーリ語を勉強する機会に恵まれ、そのコミュニティの方々に歓迎され、自然と溶け込んで行かれました。入り込むことでその人たちの目線になり、一緒に未来を作っていきたいと感じられました。

ヴィーガンカフェを運営されていた際に、ご自身の英語力を活かした通訳を通じて、外国人と地元の方々が集まるコミュニティができました。外国人の方々が地元の方に聞きたいことを質問し、それ大山さんが通訳し、そこにいる人たちと一緒に場を作っていき、彼らが一つの場で繋がっていきました。コーヒー1杯で人が6時間滞在するような場となりましたが、このときの場に溶け込んでみんなで作る場作りが、以降の大山さんのコミュニティ作りに繋がる体験となりました。

大切にしている4つのこと 

①多角的に対象を見る

自分が見えている・認識している情報や範囲が全てではないと考え、常に新しい情報、その裏にある情報、背景を意識されていきます。

②境界線を曖昧にする

例えば「株式会社fogの代表です」と言ってしまうとその域を出にくくなってしまいます。役職や立ち位置を曖昧にすることで可動範囲を広げています。

③脱サステナブル

常に本当のゴールは何かを見据えて実践していかれます。例えば、「サステナブル」のためには割り箸の利用を減らす方が環境に良いように見えても、実は割り箸をどんどん利用した方が間伐材を活用する事になり、間伐材を無駄にしないで済むため、環境改善に貢献するアクションになったりもします。このように「サステナブル」を目的にするのではなく「本当のゴール」を常に意識されています。

④巻き込むために甘える・依存する

様々な人を置いてけぼりにしないために、一人で突っ走らず、頼る・甘える事で共感共視の輪をつくっていきます。

感じたこと

大山さんはどのコミュニティにおいても、同じ目線で見る「共視」を重んじています。多くの人と一緒の目線で何かを見つめることは、必要な事だと感じても実行するのは一筋縄にいかないと思います。大山さんがそれを実現しているのは、「本当のゴール」に向かう素直さと溢れ出る本気に周囲の人が惹き込まれていくからだと感じました。

ルワンダ、ヴィーガンカフェ、そしてコミュニティコンポスト等、大山さんが本当にどうあるべきかを素直に問うて向き合い続けたからこそ、大山さんなしには得られなかった形が実現されたのではないでしょうか。

いま私は大学院で地域コミュニティでの新たな取り組みを企画していますが、関わる方々と同じ視点で溶け込み、「本当のゴール」と素直に向き合い、自分なりの答えやアウトプットに繋げて行きたいです。

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