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中国語の「若」

中国語の「若」

 ~現地の句友さんに教えていただいたこと

 私は、俳句のYouTubeチャンネル「俳句LOVE」の末席メンバーとして、ささやかなお手伝いをしている。
このたび「“若”のつく夏の季語」を配信。この原稿を書き、(宮内メグ名で)ナレーターも務めた。お時間のある時にご視聴いただければ幸いである。

この中にある「日本語の漢字“若”は、中国語の”若“と意味が異なる」について、付記したい。
以下は、中国の句友の楊明枳(加良太知)さんに教えていただいた。せっかくなので、そのまま引用させていただく。


中国語での「若」

〈以下引用〉
「若」という漢字には、古来より主に二つの意味があります。 一つは、「ごとし」「のようだ」、比況の助字として使われています。
 例「傍若無人」
もう一つは、「young」、「幼い」という意味ですね。 現在の中国では、確かにあまり「年齢や外見が幼い」の意味では使わない気がします。
例えば、「若者」「若輩」「若人」などは日本語ではよくある表現ですが、今の中国人との会話でそのまま使うと、相手は間違いなく違和感を覚えますし、理解すらできない可能性が高いでしょう。

では、現代中国語でこの意味がないのであれば、昔の中国語(漢文)ではどうでしょう。
色々と調べてみたところ、何となくわかりました。これはちょっと面白い語学の現象ですね。 一言で言えば、young=若、これはどの時代の中国語とも直接的な関係がなく、日本語特有の意味ですね。でも語源を辿ると、また中国語に戻ります。

諸説ありますが、日本語で「young」を表す「若」は、古典中国語で「young」を表す「弱」に由来していると考えられます。
古典中国語では「若」と「弱」がまったく同じ読み方なので、たぶん古代日本人たちが漢字を学び、自国に導入した際に、「じゃく」という発音に勝手に「若」もつけて今日に至っている、という経緯ではないでしょうか。
 その証拠の一つとして、辞書では「若輩」は「弱輩」とも表記できますし、「若は弱に通ずる」まで明記されています。
(楊明枳(加良太知)さんとのメールより)


いかがだろうか。
同じ表記や発音の言葉であっても、国や地域によって解釈はさまざま。私自身知らないことばかりで、とても参考になった。
加良太知さんにも、改めて深謝。

今回の動画では、日本語の漢字「若」のつく季語をいくつか紹介し、例句も揚げた。
世の中もお天気も不安定で憂鬱な昨今、せめて爽やかな「若」の字で一句、詠みたいものである。


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