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企業共創について思うこと

大学に外部の方が来て講演してくれる授業のシリーズ。
第12回はissue+designの筧裕介氏。

地方創生は論理アプローチでは限界があり、地域の分断されたコミュニティに対して包括的に関わり、対話と実践をもって共働していくこと。
分断された組織の壁を乗り越え、人と人をつなげることが、地域と正しく向き合う第一歩。

講演内容より

ということをおっしゃられていた。
伺ったお話から、自分が関わる仕事上のよくあるケースに思い当たる節があったので綴ってみる。

最近身の回りでは、製造業などのBtoBメインの「モノ」や「素材」を扱っている企業が、直接一般消費者のマーケットにいく、DtoC領域へビジネスの拡大をしていこうという試みがいくつかある。
そういった企業の多くは、新しいサービスの開発や、toC領域のマーケットの知見がないため、共創という名のもの、一緒に未来の事業を作れるパートナー企業を探し始める。
このようなケースにおいて、うまくいかないパターンが見えてきた。

①10年後の新規ビジネスと言いながら、直近の売り上げを求める
②共創という名のアイディア搾取
③パートナー企業との対話でなくレビュー

①10年後の新規ビジネスと言いながら、直近の売り上げを求める
将来の大きな市場はどこか、自社が勝てるビジネス領域はなにか、から議論が始まってしまうケース。正直、10年後ともなるとそこに今答えはなく、どんなレポート見ても市場調査をしても、答え探しはできない。それらをインプットに、自分で答えをつくらなければならない。
つまりは、結局「どんな世界をつくり、どんな価値を社会に、ステークホルダーに届けたいのか」というスタンスを明確にすることからスタートしなければ進まない。そうでなければ、将来と言いながら目先の経済合理性を求めた議論になり、話が進まないか、既存ビジネスのちょっとしたマイグレーション、同じ業界内の先行企業のマネ、に陥ってしまう。

②共創という名のアイディア搾取
自分たちは(今)これができる、共創募集!という丸投げの問いかけをする企業が結構多い。かれらにアイディアはなく、結局描きたい世界もないので、他社が声をかけてくれても、それは他社にとってやりたいことや利になることが多い。ビジネスドリブンだと、儲かりそうな目安がついているビジネスはすでにみな着手しており、わざわざ公開募集のようなところに声がけはしてこない。仮に良さそうな案を提案してくれても、インプットの一つにしたり、結果的にブレインピッキングしてしまうこともある。

③対話でなくレビュー
パートナー候補が良さげなアイディアを持ってきてくれても、中長期のビジネス、かつ新しいことであれば、うまくいく保証はない。にもかかわらず、経済合理性や自社の強みがどう生きるか、などの目線から、先方のアイディアのレビューのような形になり、結局ご破算になる。描きたい世界をどう一緒に創るか、という建設的な議論に至らない。

つまり、企業同士の共創においてやるべきことの基本指針は、以下のようになるのではないかと実感している。
①自分たちが創りたい社会、価値をまずはしっかり描く
②目先の経済合理性は追わない
③パートナー企業と、対話と実践を繰り返しながら、パーパスやビジネスを一緒に磨く姿勢と行動を持つ

こういった、人と一緒に考え、対話、議論をするのに、言語だけでなく、視覚伝達を用いたり、実際にプロトを創る検証などを行うデザインアプローチは有効に機能する。デザインアプローチの良いところはWダイヤモンドなどのメソドロジーだけでなく、脳と身体を一緒に動かすことで生まれる計画的偶発性などの効用にもあり、論理だけで、机上でPCをいじるだけでは、新しいビジネスやサービスは出てこない。


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