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海外事例紹介#002 パリ・オリンピック/パラリンピック

2020年、いよいよ今年は東京オリンピック/パラリンピック開催となる。それを前に、次の開催地パリの正式エンブレムが、昨年10月に発表された。

概要

“2024年パリオリンピック(2024ねんパリオリンピック、仏: Jeux de la XXXIIIe olympiade、英: Games of the XXXIII Olympiad)は、2024年7月26日から8月11日までの17日間、フランスのパリで開催される予定のオリンピック競技大会。”(Wikipedia)
デザイナー:Royalties Ecobranding(フランス、パリ)
リンク:IOCプレスリリース

新しいデザインは、スポーツ、五輪大会、そしてフランスに依拠する3つのシンボル:金メダル、聖火、そしてマリアンヌを統合したものです。
エンブレムは最も美しいメダルの色と形を要し、スポーツの核となる価値の一つである「卓越のための努力」を表現しています。(中略)聖火は常に特別な記憶を呼び覚まし、私達をオリンピック・パラリンピックの新しいステージングの方法を探るために、夢へと誘い、(中略)パリ大会のエンブレムはその女性的な特徴と共に、フランス国家のシンボルである女性マリアンヌへ捧げます。
IOCプレスリリース

ロゴ

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カスタムタイプフェイス

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意見

第一印象は「これが…オリンピック?」だった。別にオリンピックだからといって、スポーツをしている人をデザインしたり、躍動的なグラフィック・スタイルを必ずしもとる必要はない。しかし、見た人に与える印象としての「相応しいかどうか」というのは大切な基準で、世界的なアイデンティ・デザイン会社の米Chermayeff & Geismar & HavivのSagi Havivもかつて、良いロゴの3つの条件の一つに挙げていた。
1. Appropriate(適しているか)
2. Distinctive & Memorable(特徴的で、覚えやすいか)
3. Simple(シンプルか)

このロゴはシンプルで覚えやすいと思うが、はっきり言うと「オリンピックっぽくない」のだ。1900年のパリ大会は確かに初めて女性が参加した大会であるから、そのことへのオマージュもあるのかもしれないし、またモチーフの一つ「マリアンヌ」はたしかに女性だ。しかし、18世紀に起源を持つマリアンヌは決してこんな“現代的なボブスタイル”はしていなかったし、“魅惑的な唇”が特徴的だったわけでもない(推測だけど)。だからせっかくのモチーフが立たずに、「ただのショートボブの女の子」のロゴになっている。

一方で、2024年からちょうど100年前の1924年パリ大会当時に流行っていた「Art d'eco ーアール・デコー」からインスパイアされたというカスタムタイプフェイスは、当時のパリという少々ステレオタイプな見方かもしれないけれど、パリっぽさを持っていてよい。ゴールドカラーともよく合い、大会スローガンの一つである「エコ」を意識したウェブサイトのダーク・テーマ表示時に本領を発揮する。

まとめ

特徴的なカスタムタイプフェイスを主軸とするツール(ウェブサイト、リーフレット等)は今後効果的に機能するだろうが、果たしてロゴマークはどういった使われ方をするのか。TV中継では、リポートなどするのだろうか。。

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