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海外事例紹介#001 ワーナー・ブラザース

1923年に設立されたワーナー・ブラザースは、今日最もよく知られたエンターテインメント・カンパニーである。『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』、一斉を風靡した海外ドラマ『フレンズ』など、実に8600本の映画と5000本のTV番組を有している。2023年の創立100周年を間近に控え、世界的なデザイン会社「Pentagram」のEmily Obermanとそのチームによってリブランディングが行われた。

ロゴマーク

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初めにリニューアルしたロゴマークを見たときは、旧ロゴの立体的な要素を無くして現代的なフラット・デザインに調整した程度だと思っていた。それほどまでに、このリニューアルには“違和感がなかった”のだ。しかし、改めて旧ロゴを見てみると、その立体的な描写以上に、横に伸びた(上から潰された)ような盾のシルエットの不格好さに気づいた。

新ロゴでは、盾のシルエットに黄金比を用いている(動画参照)。そのためか、旧ロゴから大幅な(と言ってもいいほどの)リシェイプを行っているにも関わらず、あたかもずっとこのシルエットだったかのように自然な美しさを持っている。

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シンプルな盾は、広告などでイメージをキャプチャする窓として効果的に使用することができる。ロゴは、ロゴそのものだけではなく如何に使われるかも重要だが、このロゴもその課題をクリアしている(窓としての使用は少々ありふれた感もあるが)。

カスタムタイプフェイス

このリ・デザインにおける隠れた功労者は、ロゴにあるWBを元に制作されたカスタムタイプフェイス(オリジナル・フォント)だと思っている。日本語に比べ、文字数が圧倒的に少ないアルファベットを母語とする北米及び欧州企業にとって、企業オリジナルのタイプフェイスを製作することは近年のブランディング/リブランディングにおいてよく見られることだが、本事例は出色の出来だと思う。企業の「言葉」を綴るタイプフェイスは、ある意味ロゴマーク以上に企業・ブランドの人格を物語る。このタイプフェイスは、ロゴのBからインスパイアされた特徴的なB, P, Rのボール部分(半円状になっている箇所)を筆頭に、エンターテインメント企業としての「楽しさ」を表現している。

ブランドカラー

また、ブランドカラーの瑞々しいブルーもいい。エンターテインメントの持つ楽しさを伝えながら、企業としての信頼性もキープしている。

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まとめ

近年でも指折りのリブランディング事例だったと思う。これまでの100年を背負ってきた旧ロゴのDNAを見事に引き継ぎ、次の100年の使用に耐えうる進化を遂げたと言えるだろう。

出典:Pentagram

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