<第3回> 2019ラグビーワールドカップの記憶

「第3回 2019ラグビーワールドカップの記憶」

大盛況に終わった2019年ラグビーワールドカップ日本大会。

サッカー王国でラグビーが決して盛んではない静岡県でも公式戦4試合が開催されました。

開催地決定の経緯は様々な要因がありましたが、2002年サッカーワールドカップ日韓共催大会での開催実績や5万人近い収容人数をほこるエコパスタジアムの存在が大きかったのはいうまでもありません。

私は開催数年前から清宮克幸さん(現日本ラグビーフットボール協会副会長)と一緒に静岡県開催推進委員会より「特別アドバイザー」に任命され、2人で様々な活動を実施しました。


・静岡県開催推進委員会へのアドバイス

・経済団体等における講演活動

・地元メディアにおける広報活動

・自治体、警察等の方々への講演、説明会

・大会カウントダウンイベント、シンポジウムの参加

・学校等、教育機関とのプロモーション、連携

・大会開催中のプロモーションアドバイス

・大会終了後のレガシープランのプランニング
(アザレアスポーツクラブ創設、ラグビー教本制作)



さまざまな活動を実施しましたが、大会開催前の反応はどこも芳しくなく


「サッカーワールドカップの縮小版でしょ?」

「フーリガンが来て治安に問題があるのでは?」

といったサッカーご当地ならではの反応でした。


「世界3大スポーツイベントの1つと言われています!」

「フーリガンはいません! 敵味方関係なく横の席でビールを飲みながら大騒ぎして楽しみます。ノーサイドという言葉通り、試合終了後はシェイクハンドして仲良くなります!」

「ビールの消費量が半端ないです。簡易で良いのでトイレを増設してください!」

必死に訴えるもみなさん、半信半疑でした。


「本当にインバウンド観戦客が多数来場するの?」

「日本代表なのに外国人選手が多すぎませんか?」


そんな意見も圧倒的多数でした。


しかし、大会が始まってみるといずれの不安材料はすべて杞憂に終わりました。


そして、日本代表のアイルランド戦の劇的勝利が「シズオカショック」として、世界に大々的に配信されるという奇跡も起こりました。


いずれの試合も会場に向かう電車内はオーストラリア、アイルランド、イタリアから来日した観戦客で華やかな雰囲気でした。


また、エコパでの試合後には打ち上げ花火も実施しました。

これは私の発案で、「有名な袋井の花火師の技術を世界中の人々に知ってもらいたい。そして、外国人が感動してくれて袋井の花火師に弟子入りしたり、袋井の花火師が海外に招待されたり、そんなwin-winな未来につながったら最高ですよね!」

と提案したところ本当に実現されました。

日本代表がアイルランドに勝利した直後の花火は圧巻で
「勝ったから祝福の花火だね!」
とみなさんが喜んでくれた光景を見た時は感慨深いものがありました。
(実際には勝敗に関係なく打ち上げたのですが、、、)


また、多くの県内小学生・中学生も学校単位で観戦してくれました。

静岡県開催推進委員会の粋な計らいで事前に対戦国のミニ国旗を全員に無料配布もしてくれました。

レガシープログラムとして清宮さんの発案で「ラグビー教本」も製作されました。これは小学校と中学校の道徳や総合学習の時間を活用して「ラグビー憲章」を学んでもらうというプログラムでヤマハ発動機ジュビロの選手が総動員で県内の学校を回ってくれました。


2002年サッカーワールドカップ、エコパでのクライマックスは決勝トーナメントのブラジルVSイングランド。ベッカムが人気絶頂で社会現象になったほどの眩い記憶から時を経て、ラグビーワールドカップの記憶が追加されました。


肥大化しすぎたと何かと賛否が問われているスポーツイベント。

しかし、初期の段階で誘致に動いた方々の多くは海外で見たビッグイベントに
感動し

「こんな素晴らしい光景、経験を日本のみなさんにも味わってほしい」

そんなピュアな気持ちがスタートだったと信じたい。

私は県庁の方々の熱意やさまざまな方々のサポートのおかげで最初から最後までピュアな気持ちで携わることができました。


いつの日か、もう一度 必ずその景色を日本で見てみたいと思っています。

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