<第11回> ラグビーはなぜ、番狂わせが少ない?
2019ラグビーワールドカップ日本大会において、静岡県ではエコパスタジアムで4試合が実施されました。
私は清宮克幸さん(日本ラグビーフットボール協会副会長)と共に特別アドバイザーとして開催数年前から様々な活動をおこないました。
活動の中で、サッカー王国静岡という土地でラグビーに関心の無い多くの方々からたくさんの疑問や質問をいただきました。
今回から3回連続で様々なご質問にどのように答えていったかを書いていきたいと思います。
そもそも、ラグビー界に関わる人間はサッカー、野球に比べると少数です。
さまざまな方々からのご質問は、私どもからすると「なるほど、そういう部分が?なんですね。確かに深く考えたことないですね、、、」と答えざるをえないような鋭く、なおかつ根本的かつ重要な質問をいただくことが数多くありました。
今回は、その中でもラグビー界やメディアの人たちがよく言われる「ラグビーは番狂わせが少ないスポーツ」の理由を私なりの解釈(完全に私見ですのでご理解のほど、お願いします)でお伝えできたらと思います。
まず、「ラグビーは番狂わせが少ない」のは概ね事実だと思います。
実際にプロリーグから学生リーグまで、リーグ戦の最終結果を見ると、優勝チームが全勝で最下位のチームが全敗。
リーグ戦の星取り表を見ると、右は勝利の◯で左は敗戦の●で綺麗に埋まっているということが圧倒的に多いように思います。
ラグビーの仲間内で話していても「コンタクトスポーツだからだよ!」というわかったようなわからないような漠然とした仮説を立てて議論していたように思います。
私自身、スポーツビジネスの活動を再始動しようと考え始めてから、サッカーやバスケットボールなどの他競技を観戦する機会を増やしました。
その中で、サッカーではシュート数が「20対1」なのに、シュート数20のチームが結局得点出来ず、シュート数1のチームがその1本のシュートがゴールで勝利という試合を見ることがありました。
シュート数20のチームのシュート、いずれも惜しいものばかり。
一緒に見ていた友人が呟きました、、、
「試合内容だけで言えばラグビー的には、いわゆる100点ゲームのような圧倒的な実力差だったのにな、、、」
友人が発した言葉に「ラグビーは番狂わせが少ない」理由が詰まっているように感じました。
サッカーは「シュートしてゴール」という、陣地を取るだけではなく、最後の最後に「ゴールにボールを入れる」という大仕事が待っています。バスケットボールも同様です。
ラグビーは構造自体、シンプルな陣取りゲームで「インゴールまでボールを運べばトライ成立」
最後にサッカー、バスケットボールのように成功率?%のシュートという大仕事が必要ありません。
(ごく稀にインゴールでボールを押さえればトライなのに最後の最後にノッコンしてしまうケースもいますが、、、)
当時、「ラグビーはルールがわからない」と言われる人には
「屈強な選手が集団でやる『おしくらまんじゅう』と思って見てください!」と説明している元有名選手がいました。
こういった視点で考えるとなるほどと思います。
おまけですが、ラグビーで「7―35で敗戦!」というと、とても大差で負けたように思えます。
しかし、ラグビーは1トライ1ゴールで7点。1点ずつ加算していくスポーツでいえば、
「ラグビーの7−35での敗戦は、野球でいえば1―5の敗戦みたいなものですよ。決して大敗ではありませんよ。」なんて慰めになるのかならないかのような説明をしたこともありました。
「ラグビーは番狂わせが少ない」は確率論から言ってもそうなのかもしれません。
一方で、ラグビーには試合結果以上にたくさんの魅力があります。
30人の鍛え上げられた選手たちが、時に1人の選手に同時に3人がタックルしたり、無差別級のため2mの選手に160cmの選手が一生懸命タックルしたり、さまざまな体格をした様々な役割と責任を持つ30人の選手たちが躍動するスポーツです。
「ラグビーには物語がある」
東芝ブレイブルーパス東京のプロデューサーとして、ラグビーが本来持っている様々な魅力を発信していきたいと思います。
次回もラグビー?あるあるについて
「ラグビーの得点方法がわからない!」を私なりに解説したいと思います。