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失敗しないアンケート調査

ビジネスでのリサーチ活動においてしばしば使われる「アンケート」という手法。リサーチ業界でも歴史的にメジャーな手法として扱われてきました。

便利な手法であるがゆえに、都合よく使われることも多く、その長所や短所を理解しないまま誤用されるケースもよくあります。そこで今回は、アンケート調査を正しく活用するために、アンケートの得意/不得意についてまとめてみました。

順序が逆になりますがまずはできないことから。

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アンケートが探索系の調査に向いていないということは、多くの方が既知のことだと思います。ただそれが具体的に、ニーズ調査や需要性調査、コンセプト調査のことを指すことはあまり認識されていないのではないでしょうか。

ニーズや需要性、コンセプトへの評価などは、本来、深い文脈の中で理解されていくものです。これらの定性情報をアンケートによって理解しようとしても、分かることは調査設計者がすでに知っていることだけです。もっと言えば(意識的にしろ、無意識的にしろ)調査設計者の設計次第、分析次第でどんな結果にもなり得ます。にもかかわらずアンケート調査が定性情報の探索を目的に使われてしまうのは、アンケートのサービスを売りたい調査会社、広告宣伝を正当化したい広告代理店、社内説得の材料がほしい企業担当者、などの思惑によるものかもしれません。

考え・気持ち・価値観・ニーズといった定性情報の探索には、インタビューやユーザーテストなどの手法が向いています。複合的で温度感のある情報を扱いながら文脈の中で探索することができるからです。アンケートでは定性情報を扱わないと決めておくくらいのスタンスが必要だと思います。


アンケート調査が「苦手なこと」について書いてきましたが、決してアンケートが使えないツールだという訳ではありません。実は「得意なこと」もたくさんあります。

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先述の通りアンケート調査は定性的な情報を扱うことが苦手です。一方、客観的な情報はアンケートでも知ることができます。過去の出来事や行動、現在の状態などです。

ただしこれらについても新しい発見を得ることが目的ではありません。客観的な情報について一定数のサンプルを集めることによって、その対象におけるトレンドやシェアといった大まかな全体感を掴むというのが正しい使い方です。また、アイデアをプレゼンし、賛同を集めようとするとき、数的データが持つ説得力は非常に重要になります。アイデアのロジックを補完するためアンケートによってインパクトのあるデータを出すというのも有効な活用法です。

このようにアンケート調査も上手に使いこなすことで大きな武器になります。そのためにはこれらの得意/不得意を知っておくことが非常に重要です。そして何よりも重要なことは、ビジネスを成功させることに集中することです。そうすれば、アンケート調査の誤った活用や自己都合の身勝手な活用は減るはずです。ビジネスの成功のためにうまくアンケート調査が使われるようになるといいなと思います。

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