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なぜ台風は地球温暖化によって凶暴化するのか?

今日は、「そもそも気候変動って、実際には何が起きているの?」シリーズの第2弾として、「なぜ台風は地球温暖化によって凶暴化するのか?」についてご紹介したいと思います。

第1弾(その1)では、「そもそも気候変動や地球温暖化って本当に起きているの?」について取り上げました(下記参照)。


第2弾では、「なぜ台風は地球温暖化によって凶暴化するのか?」で、「地球温暖化」と「台風」の関係について取り上げたいと思います。

まずは、台風の発生メカニズムは下記の写真をご覧ください。

  1. 熱帯エリアの海域で、太陽によって海水温が高くなる

  2. 海上で上昇気流が生まれる

  3. 大量の水蒸気が渦を巻きながら上空に昇っていく

  4. 多数の積乱雲が発生する

  5. 積乱雲が集まって渦が大きくなると熱帯低気圧になる

  6. 熱帯低気圧が発達すると台風になる(海水温26℃以上)

以上が、台風発生のメカニズムです。

東京海上日勤ウェブサイトより

問題は、地球温暖化による「海水温の上昇」です。
海水温が上がるほど、上記の積乱雲の渦がより大きく強くなるのです。

下記の図は、日本近海の「海水温」「平年平均からの変化」を示しています。

8月の平均海面水温。30度以上の海域が広がっている(気象庁提供)
8月の平均海面水温偏差(平年平均との差)。
西日本の南方の太平洋海域で今年の海面水温が高いことを示している(気象庁提供)

海水温が26℃以上あると、海水の蒸発(台風の発達)につながると言われています。その海水温が高いほど、台風の発達も早く強くなるわけです。

こちら2017年にカリブ海で発生したハリケーン「マリア」も大きな被害をもたらしました。これも、当時の海水温と台風の大きさが関係していると言われています。

しかし、「マリア」がひどかったのは、その台風の成長スピードでした。
なんとたった18時間で一番弱い台風「Category1」から一番強い台風「Category5」まで成長したのです。そのため、プエルトリコでは災害の対策が間に合わず、約3000人の犠牲者を出しました。

このように、地球温暖化でわずかに「海水温」が上昇するだけで、すでに多くの急激な異常気象を引き起こし始めています。

そしてさらに恐ろしいことは、「気温」の上昇によっても、さらに台風の被害を悪化させることです。それは、「気温が1℃上昇すると、空気中の水蒸気も7%上昇する」ことです。

つまり、「海水温」の上昇で台風が凶暴化するだけでなく、「気温」の上昇で台風が蓄える「水蒸気」も増えるのです。

そして、これらの凶暴化した台風による経済損失も出ています。

関西人の私にとっても関空が被害を受けたことで記憶にも新しい2018年夏。
2018年21号と24号によって、全国で被害総額が約1.8兆円と言われています。

そして米国でも、2017年と2018年の2年間で異常気象による経済的損失が約70兆円と算出されています。

「なぜ台風は地球温暖化によって凶暴化するのか?」
答えは、「海水温上昇による上昇気流の発生」と「気温上昇による空気中の水蒸気増加」です。

そして、これらの2つの現象が徐々に日本近海に近づいてきていることも見逃せません。それは、漁業で獲れる魚の種類にも表れています。気候変動と水産業の関係と現状については、いずれ記事で紹介したいと思います。

最後に、なんとなくですが、異常気象の写真ばかりを掲載して恐怖心を煽ってしまったかもしれませんので、心を落ち着かせるためにも「青い地球」の写真で締めたいと思います。

1972年12月7日:アポロ17号より「Blue Marble」






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