見出し画像

新海誠作品2作目「雲のむこう、約束の場所」のリバイバル上映の感想。SFでありながら懐かしさも感じる作品。

映画「雲のむこう、約束の場所」のリバイバル上映のニュースが飛び込んできたとき、ライブ会場かと言わんばかりのガッツポーズが出るくらいに嬉しかった。

この映画を最初に観たのは、たぶん十数年前の大学生の頃。深夜、家の小さなテレビで観たのを覚えている。

同じ新海誠作品の「秒速5センチメートル」を知ったのをきっかけに、新海誠作品を全て観たときだ。

映画にあまり馴染みが無い頃で、初めて見たときには、話がよくわからない部分が多かった。

「なんだ?塔って?」「並行宇宙?」って感じ。

ただ、その映像の美しさには心が動かされていた。なんなんだこの綺麗な映像は、と。

秒速5センチメートルは、現実世界の綺麗な景色が魅力的だが、「雲のむこう、約束の場所」は、現実世界だけでなく、ユニオンの塔やヴェラシーラの飛ぶシーンなど、アクションも含め現実では観られない景色も素晴らしく綺麗だった。

今でもその映像が頭の中に確実に残っていた。

その映画がリバイバル上映される。映画館で映画を楽しむようになった今、こんなに嬉しいことは無い。

映画の楽しさを知ってよかった。

いつものように平日の仕事終わりに映画館へ行った。

映画が始まる。

大画面、大音響で観る「雲のむこう、約束の場所」の映像は、記憶に残っているものよりも美しかった。

大学生の頃の、19インチほどの小さいテレビとは違う。映像が、視界を全て埋めている。嬉しい。

改めて観てみると、新海誠作品の集大成のような作品だと感じた。2作目だけど。

新海誠作品の全てがこの映画に詰まっているのではないだろうか。

この後の、
「秒速5センチメートル」
「星を追う子ども」
「君の名は。」
「天気の子」
これらの要素は入っているように感じた。

どの作品も好きなのだが、ストーリー、背景、キャラクター、アクション、どれを取っても、この作品が最も好きかもしれない。

改めて観るまでは、過去が美化されているのか、とも思っていたが、それの方が勘違いだった。

大人になったからなのか、小説を読み始めたからなのかはわからないが、心が動かされる部分が、前に観たときよりも多く、そして全く違う場面が印象に残った。

特に、主人公2人の友情と岡部さんの話。岡部さんの話で泣きそうになったのには驚いた。歳を取ったものだ。

相変わらず背景は素晴らしく綺麗だった。ただ、子供の頃の描写は、もしかすると美化されているから必要以上に綺麗なのではないかと感じた。

思い出だから綺麗。

時間が経てば経つほど自分に都合のいいように思い出は解釈されていく。いい思い出はさらに良く、悪い思い出はさらに悪く。

良いことも悪いこともあったはずなのに極端になっていく。

子供の頃の描写(映像も音楽も)は、極端に綺麗だと感じた。

逆に、後半からラストにかけては、暗く冷たい空気が伝わってくる。張り詰めた空気。

何かの小さなきっかけで崩れてしまいそうな空気。

ただ、その冷たい空気の中にも、友情や愛など暖かいものがあり、とくにバイオリンのシーンは、ぞわぞわと体が震えるくらいに素晴らしいものだった。

SFでありながら、どこか懐かしさも感じる。このような作品を作れるのは新海誠監督だけなのではないかと思う。

大学生の頃に心を動かされた映画を、再び映画館のスクリーンで観ることができて、本当に幸せだと感じた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。この先の有料部分では「日記」や「活動記録」「他愛もない話」をつらつらと書いていきます。

ここから先は

596字

人生模索

¥500 / 月 初月無料

「豊かな人生」を送るために模索していくことを書き連ねていきます。【ショート小説 / 読書・映画感想文 / 旅行エッセイ / 模索したこと】…

この記事が参加している募集

#映画感想文

68,724件

#映画が好き

3,596件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?