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『本』で日常は変わる。

読書をして考えたこと、読書に影響されて試してみたこと、日常の他愛もないエッセイを書き連ねています。(最新5記事と月に1回の読書記録は無料公開)
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記事一覧

『クノッソス宮殿』を身近に感じた話

「ポンペイって『T・Pぼん』に出てきたよね?」 テレビに映し出されているポンペイの歴史を見ながら兄は言った。 「え? ポンぺイ? あったかな?」 「あったはず。たぶんそれでポンペイを知ったんだと思うんだけど」 「いや、覚えてない。ぼんが牛に角で刺される場面しか思い出せない」 「あ~、それも記憶ある」 「あと魔女狩り」 「あ~、それもある」 先週、実家に帰省したときのワンシーンである。子どもの頃に読んだ漫画の話をするという、帰省した実家ではよくある光景だ。 しかし、今日

「誰にお金を渡すのか?」を考える買い物

ある日、ふと気づいた。以前のように、何も考えずに物を買うことがなくなっていた。 昔はとにかく安さを重視していた。同じようなお菓子を買うなら、安くて量の多いものを選ぶし、100均にあるような商品は100均以外では絶対に買わないようにしていたし、「とりあえず買ってみよう」と深く考えずに買うことも多かった。 でも、もし多くの人が安さ”だけ”を求めてしまったら、市場には安いだけの商品が溢れ、本当に品質のいい商品が淘汰されてしまうのではないか?と疑問が生まれるようになった。 きっ

集めた知識をどう使うか

本を読んでいると、胃のあたりをキュッとつままれるような感覚になることがある。 この言葉。 いや、もう核心をズバッと突いてきてるよ、ほんとうに。数年前の自分だったら、胃だけじゃなくて心臓もキュッとなってただろう。 「頭がいい = 知識量」 この方程式が成り立つと本気で思っていた。しかもここで言う「知識」の中には、雑学も含まれている。 世界で一番深い湖は? 日本で初めてラーメンを食べた人は? 徳川歴代将軍の名前は? みたいな、一問一答の問題。たぶん、ずっと学校で勉強し

初心忘るべからず

ときどき思い出す言葉がある。 この言葉を初めて読んだときは、それほどピンとこなかったのだけれど、後からじわじわと響いてきた。 とくに「習慣」について。 苦手なことでも習慣になれば、あたりまえに何も考えずにできるようになる。これは強い武器だと思う。 実際に、私は苦手だった掃除を習慣化することで克服することができた。 しかし、習慣にはマイナス面もあると思っている。 それは、「ありがたさを忘れさせる」ということだ。 例えば、ご飯が食べられていること、暖かい布団で寝られ

作家の個性が滲み出るから小説は面白い

本屋で偶然手に取った『時の罠(文春文庫)』。 「時」をテーマにしたアンソロジーで、辻村深月、万城目学、湊かなえ、米澤穂信と豪華な4名の作家による短編集。 4名とも名前は知っていたのだけれど、これまで読んだことがなかったので「初めての作家ばかりだし読んでみようかな」と軽い気持ちで買ってみたが、想像以上に面白かった。 それぞれの作品が魅力的だったのはもちろんだけど、特に興味深かったのは「小説って色々な形があるのだな」と感じたことだった。 まず1つ目の『タイムカプセルの八年

寄り道こそが人生

星野道夫さんの『旅をする木』は、私が特に好きな本のひとつだ。本を読み始めた頃、偶然手に取り、心を動かされた。 星野さんの文章は、いつも静かで穏やかでありながら、アラスカという厳しい環境を生き抜く力強さ、そして少し寂しい感じがする。 文章を少し読むだけで、どんなに雑音が聞こえる場所でも、一気に神経は研ぎ澄まされアラスカの風景が見えてくる。

【#読書記録】2025年1月の読了本

2025年1月に読んだ本は全部で4冊。1冊毎に、ちょっとずつ紹介していきます。 1.仙台ぐらし(伊坂幸太郎,集英社文庫)すごく好きな作家のエッセイ集。 小説を読んで受ける印象と変わらないのが面白い。普段から楽しいこと、というより不思議なこと?を考えているから、あんなに面白い小説が書けるのだと実感した。何度も笑わせてもらった。 よく人から話しかけられているのも面白い。話しかけられやすい雰囲気を持った人なのか、楽しい人を惹きつける力があるのか。 やはり小説家というのは魅力

いまを生きるとは?

新しいことに挑戦するとき、つい過去を言い訳にして止めてしまったことはないだろうか? 例えば、私は今こうして文章を書き発信しているが、以前は文章を書く必要に迫られても「理系だから」「本は読まないから」といった理由を楯にして挑戦することすら諦めていた。 やってもいないのに自分では無理だと決めつけ、自分の可能性に蓋をしていた。 もちろん自己理解は重要なのだけれど、それは実際に真剣に試してこそ得られるものだと思う。 『嫌われる勇気』ではアドラーの目的論のこんな言葉が紹介されて

想像力で変わる、社会の景色

人の想像力は素晴らしい。 小説や漫画といった創作だけでなく、商品やサービスなど、すべてが人の想像力が形になったものだ。私たちはそれに支えられて暮らしている。 しかし、その一方で、人は見えないものを想像することが苦手だ。だから、それを恐れたり排除しようとしたりする。 例えば「政治家は何もしていない」「役所なんて不要だ」「医者は金儲けしか考えていない」など、表面だけを見て、憎み罵ってしまう。

習慣はイメージから始まる

置きっぱなしのゴミ、脱ぎ散らかした服、使い終わったプリント、それらで床は埋まり足の踏み場もない。 昔の私の部屋を表す小説があったら、この一文で始まると思う。 掃除や片づけに全く興味がなかった私は、散らかった部屋でも何の違和感も覚えずに過ごしていた。掃除といえば、せいぜいカーペットをコロコロするくらいだった。 が、ここ数年、掃除に目覚めている。当時の自分が今の私を見たら飛び上がって驚くと思う。 思い返すと「綺麗な家で過ごす自分」を想像したことがきっかけだったと思う。

日々の小さな選択が人生を動かす

人は変わることができるのか。 軽い気持ちで『嫌われる勇気』を読んでいたら、いろいろと考えさせられてしまった。 アドラー心理学の哲学者が、変わりたいと願う主人公に向かって言い放つ場面である。 「自分が変われないのは、過去のトラウマや周りの環境のせいではない。自分のせいだ。不幸な状況にいること自体も自分で選んだのだ」とその哲学者は言う。

コインパーキングが苦手だ。

 コインパーキングが苦手だ。  ゲートのあるタイプのコインパーキングはいいのだが、あの時間が経つと地面に設置されたストッパーがガチャンと上がってくるタイプ。あれが苦手だ。  ガチャンと上がってくるタイプでも2種類ある。  ひとつは、ロック板が地面にしっかりと埋め込まれているタイプ。これはそこまで苦手ではない。駐車するときに違和感がないからだ。  少し心配なのは、駐車をして曲がってしまったとき、切り返して入れ直そうとする途中で上がってしまわないかということだ。

そのカフェは2階があるタイプのカフェだった。

 そのカフェは2階があるタイプのカフェだった。  いつものようにカフェラテを頼むことは決めていたが、なんとなく迷ったふりをしてカフェラテを頼んだ。  既にメニューを決めていることが少し恥ずかしく、店員さんに「この人はカフェで頼むメニューを入る前から決めてきているのか。どれだけ楽しみにしているのだ」と思われそうだからだ。  カフェラテを受け取ると、2階まで階段を上り、読書をするために周りに人が少ない席を吟味する。  読書をすること1時間。  時刻は閉店20分前。10分

【#読書記録】2024年12月に読んだ本のまとめと感想。学校に宇宙に歴史に大忙し。

2024年12月に読んだ本は全部で4冊。1冊毎に、ちょっとずつ紹介していきます。 1.桐島、部活やめるってよ(朝井リョウ,集英社文庫)桐島を巡る群像劇。 高校で誰もが経験する気持ちのもやもやを言語化してくれているように思う。とくに「前田涼也の話」が好き。 あと同世代のせいか登場する曲や映画、芸能人、当時の文化(iPodをくるくるするとことか)が懐かしくて、嫌でも当時の情景が思い出される。 教室の風景、友達との会話、放課後の部活動。 今は冷静に振り返ることができるけど