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【書評】 Graphic Recorder

議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書

この本は議論の内容をリアルタイムでビジュアルとして可視化する為の手法が書かれています。
著者はIT企業でUXデザイナーをされていた清水淳子さん。
今は大学で議論の可視化の研究と実践をされています。

エンジニアやクライアントに図を使って説明をすることで、
プロジェクトの管理が円滑になればと読み始めました。
また、議論の場での図が記録にもなり、テキストでは残らない言い手の感情も残すことが可能です。

なぜグラフィックなのか

・ 一覧性があり、複雑な関係性を明確にできる
・ 相互理解を深めるための共通言語になる
・ 会議の最中で対話の活性化を引き起こす
・ 会議後に第三者を巻き込む記録物になる

STAGE1: 短い文章をグラフィックに変えてみよう

様々な人の意見が飛び交う議論の速度に追いつきながらグラフィックレコーディングするためには、少ない時間で表現できるために、リアルな「絵」を描くよりも、物事を記号化してシンプルな「アイコン」として描けるようになることが重要で、言葉からグラフィックへの翻訳ができるようにトレーニングします。

■ 単語に対応したアイコンを覚えて、言葉から適切なアイコンを考えられるようにする
・ 具体的なモノと抽象的なコト
・ 簡単な人物の書き方
・ よく使うアイコンを覚える

■ 議論や対話で交わされる情報の軸として、事実と感情の両方を表現できるようにする
【事実】
・ 誰が誰と何をしているか (Who/What)
・ どのくらいの違いがあるか (How much)
・ いつ何があったか (When)
・ どのようにものごとを進めるか (How)
・ どの位置の話なのか (Where)
【感情】
・ どんな行動をしているか (Do)
・ どんな表情をしていているか (Face)
・ 何をどのように言っているか (Say)

STAGE2: 話の全体をグラフィックで一枚の紙に整理してみよう

■ 3つのパーツで構成する
【タイトルビジュアル】
・ 話の主題を目立つ文字で描く
・ 誰が何について話しているかを似顔絵やアイコンで描く
【トピックセット】
・ 一つの話題を枠で囲んで、塊として見えやすくなるように描く
・ キーワード -> サマリー -> グラフィックス -> 線で囲む の手順
・ それぞれの分量は内容や進行スピードに合わせて変える
【ストーリーライン】
・ トピックセットを矢印や区切り線でつなぎ、話題の流れや関連性を描く
・ 代表的なストラクチャーパターンを覚えて利用する

■ 進め方
・ 始まる前にタイトルビジュアルを描く
・ 話を聞きながらトピックセットを描く
・ 終わった後でストーリーラインを整理する

STAGE3: グラフックレコーディングで課題解決をしよう

限られた時間の中で様々な思惑を一箇所に整理し、みんなで協力して課題を解決していきます

■ 3つのフェーズで考える
【Aggregation: 散らばった話を一箇所にまとめる】
・ まずはきっかけを描いてみる
・ 一番情報を持ってる人から詳細を聞き出し、わからないことを明確にする
・ それぞれの考えを一箇所にまとめる
【Reframing: 現状の問題から、課題を再定義する】
・ 後ろ向きな意見を洗い出す
・ 何を決めるべきか課題の再定義を行う
【Collaboration: 解決に向かって全員で進む】
・ 再定義された課題に対してアイデアを出す
・ どのアイデアについて誰がいつまでに何をするのかを決める

■ 気をつけること
・ 目的意識を持つ
・ 公平を心がける
・ 事実に基づく
・ 間違いを恐れずに

感想

議論をリアルタイムで可視化する手法が段階的に書かれており、すぐに実践可能な内容でした。作例では似顔絵なども加えて、どんな人物がどんな表情だったか、グラフや時間的な議論の変化など、テキストでは表現の難しい情報が記録されており、非常に興味深かったです。


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