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「地相眼」ゲゲゲの鬼太郎より

ゲゲゲの鬼太郎2期はヒーロー鬼太郎の勧善懲悪だけでなく人間ドラマを描いた話が幾つもある。

その中で今回ご紹介したいのは「地相眼」というお話。

(あらすじ)
安井という財を成した男が鬼太郎に相談を持ちかけてきた。
時は遡り太平洋戦争中のこと。ふとしたことから魑魅魍魎の世界に迷い込んだ若き頃の安井兵士。
そこで手相ならぬ地相を知ることができる不思議な石を手に入れてしまう。
地相眼とは大地のことなら手に取るように読めてしまう不思議な石で、その力を利用し石油やガスなどの資源で安井は成り上がっていった。
数年後、安井のもとに地相眼の番人役の大ミミズがやって来る。
勝手に持ち出された地相眼を作り直す為に安井の息子安男が20歳になったら生贄として差し出すか、それが嫌なら安井本人が身代わりになるかをせまられる。困り果てた安井は鬼太郎に助けを求めた。
が、鬼太郎は安井の身勝手な言い分に気がのらない。大ミミズとの仲介くらいならば…と、安井に付き合うことになる。
だが、息子の安男は全て承知の上で自ら地相眼になることを決意する…。


派手なアクションがあるわけでもない回である。が、大人が深く考えさせられる濃厚な回である。
よって当時のこどもたちは少し物足りなかったかもしれない。(時を待ってと言ってあげたい)

地位や財産と自らの命、もしくはこどもを天秤にかける安井という人間を通して業の深さや底なしの欲を浮き彫りに描き本当の人間らしさとは…を問う名作回である。

大ミミズが安男の体にぐるぐるに巻き付き地相眼にするシーンで意識が朦朧としていく安男の心の声がナレーションされる。
その安男の思いが心に響く。

書き起こしてみた安男の心のセリフ

時代ではあるが今では放送禁止用語も混ざっておりそこは〇〇〇〇と伏せております。
学生運動に破れ、時代の閉塞感に包まれた当時の若者が何を思っていたのか。

奇しくも今年の大河ドラマは徳川家康の「どうする家康」
安男のセリフにも出てくる家康。
これは余談だが、家康を演じている松潤は私と誕生日が4日違いの同学年である。
あぁ、もう大河ドラマの主演が自分の年齢の俳優さんが演じてるんだなぁと変な焦りを感じてしまった。(本当に余談…)

話を戻すと…
「地相眼」
このお話は後味の悪いラストかもしれない。
でも、定期的にこのナレーションを思い出すということが言わずもがな。全てを語っているのではないだろうか。

時代を反映するアニメがゲゲゲの鬼太郎である。
萌えじゃない猫娘もとても良き。

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