見出し画像

MROラジオ「松本俊明の夕暮れノクターン」24年5月8日放送回

石川県の歴史あるラジオ放送局MROラジオで今年4月からはじまった新番組「松本俊明の夕暮れノクターン」。
毎週水曜の18時30分から45分の15分間の番組である。
パーソナリティーは世界的に活躍されている作曲家でピアニストの石川県観光大使でもある松本俊明さん。そして一緒に番組を支えてくれているのがMROアナウンサーの石橋弘崇さんである。
ロンドンや東京での出来事や思い出、音楽制作やもちろん石川県のエピソードも織り混ぜながら多彩なトークで楽しませてくれる。なんといっても松本さんのピアノ演奏を堪能できて至福のひと時を過ごせる癒やしの番組である。
コーナーも回を重ねて新しく生まれたり充実している。
中でも「ピアノジャーニー」という人気コーナーがある。なんとリスナーからのメッセージ、お便り、メールなどで毎回あるお題を募り松本さんがその場で即興演奏をしてくださるという贅沢この上ないコーナーなのである。
僕はダメでもともとと早速お便りを送った。送らない選択肢など考えられなかった。
そして2024年5月8日。第5回の放送で夢のような出来事が起こった。
ウェルカムな空気に甘えてお題を詩の形で送らせてもらったのだがそのお便りが採用されたのであった。
石橋アナが詩を代読(朗読)してくださり、その後に松本さんがイメージを広げて即興演奏してくださったのだ。
あの幸せは今でも忘れられない。人生の宝物である。
朗読も演奏も最高に素晴らしかった。
ラジオで聴いた後、すぐにラジコというアプリで何度も何度も聴いた。感動は薄れることはなかった。ずっと聴いていたかった。
が、音源は期限が過ぎれば聴けなくなる。それならせめて文字に残せるものは記しておこうとラジコを聴きながら文字起こしをしたのであった。

番組が始まりしばらくしてコーナータイトル「ピアノジャーニー」。
石橋アナがお便りを紹介。(以下敬称略)

石橋「ラジオネームがアキミチさんという方からメッセージが届いているんですね。で、この方から詩のようなもの」
松本「そうですね」
石橋「が、届いているんですよ」
松本「はい。原稿用紙にね、きれいな字で、手書きでね。素敵な字ですね」
石橋「で、その詩を読んでそれにあわせてトシさんがピアノ演奏していただくということで」
松本「お手紙もね、いただいとります」
石橋「ということで、早速ですけれども詩を私の方が代読させてもらいます」
松本「はーい、がんばってください」
※ここでお送りした詩『麦の海』を石橋アナが朗読~
松本さんの演奏~
演奏を終え
石橋「ありがとうございます(拍手)この曲はどのような思いで演奏されたんでしょうか?」
松本「あの、なんだかとても哲学的な詩、歌詞をいただいて、色んな新しい情景がすごく普通に見る表に見える風景とその見える後ろにある例えば明るく見えるんだけれど、その裏の影みたいな、なんかそういうものを感じたので、表にある風景だけではない隠れている世界みたいなものを表せられればいいかなと思って」
石橋「イメージで私はトシさんの曲の演奏って優しい穏やかなメロディという印象があるんですけど、今回はダイナミック、おしゃれなジャズを聴いてるような、いつものトシさんと少し違うのかなと感じたんですが」
松本「そうですね。いただいた歌詞がとういうか詩が深い何かを感じたので、そういうイメージになったんですよね。「希望の雨になる」というね。イメージとして雨なんだけど希望の雨になる。そのイメージに近い雨。田畑も稲も実る」
※石橋アナが同封された手紙を紹介
石橋「トシさんの作曲への考え、姿勢、哲学のようなもをかいまみることができ、同時通訳というキーワードに目から鱗が落ちました」
松本「わあ」
石橋「詩をトシさんにお見せして曲は出来てないけどイメージは出来ました。その(ピアノまでの)5、6メートルで考えます。ということで」
松本「イメージをしないと作れないんです。色、景色、匂いが自然に曲と結びついていく」
石橋「パッと浮かんだものは?」
松本「いみじくも哲学のようなものをと。きれいなものだけじゃなくて深いものを表現したいな。光でも何かにあたった光、直線的な光でなく反射した光、ただの空の色じゃなく夕暮れの後に出てくる美しさ、グラデーションが表現できたらなと最後は決まってなくて。決めていない。弾きながら考えている。小説も書いてるうちに決まっているのと同じじゃないですかね。アンニュイな音でもう一度弾くことで印象的にしたくて。例えば道を歩いていて右に曲がるか左に曲がるかで出逢う人がかわる。友達だったり、お店、お花を発見したり。この道を行ったらいいかな?と思って作っております」

                                 

2024年5月8日「松本俊明の夕暮れノクターン」放送回より



夢のような収録現場

一言一句そのままというわけではありませんが、どういった流れでメロディが生まれるのかをおおまかですが感じていただけるのではないでしょうか。
アシストを担う石橋アナもピアノを習っていたこともありやはり感性豊かなのが松本さんとの掛け合いで伝わってきます。とても純粋に音と向き合っているのが質問や相槌の端々から感じ取れます。だから僕はこの松本さんと石橋アナのコンビが醸し出す番組の世界観が好きなのです。頭を空っぽに自然とできてしまう15分間は今の僕の貴重なルーチンとなっています。

前回(6月26日)の放送でリスナーの方からのお便りに「ピアノジャーニー」のCD化を希望するメッセ―ジがあり、是非実現してほしいと僕も強く思いました。オンタイムで一度聴けて、ラジコで制限時間内に何度か聴けても過ぎてしまえばもう二度と耳にできないのはやはりつらいです。あの時の演奏をいつかなんらかの形で再び聴けたらいいなと、またあのメロディに旅するように再会できたらなんて素敵なピアノジャーニーだろう。

石川県ではこのような贅沢なラジオが作られています。
全国、世界にも誇れる番組です。
皆様もぜひMROラジオを。「松本俊明の夕暮れノクターン」を味わってみてくださいね。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?