見出し画像

子ザル参上。

子ザルは片付けが苦手だ。服は脱ぎっ放しで、物は出しっ放し。何度も「物には住所がある」と言ってはきたものの、どうやら子ザルには「住所」という観念がないらしい。だから、なんでも適当にその辺に置く。そして、探し物をしょっ中している。あちこちに置かれた物のせいで、部屋は雑然とし、こちらの心も荒んでいく。ついに業を煮やして、子ザルを「びったれ」と呼んでみた。びったれの意味は「汚い人」である。子ザルは「ひどーい!」と大そうご立腹だった。子ザルよ、どっちがひどいのかよく考えてみたまえ。

子ザルは暗い部屋が好きだ。特に雨降りの日の暗さがいいらしい。雨がザーザーと降っていて、家の中が昼間でも暗くなると心地が良いようで、子ザルセレクションの「雨の日に聴きたい音楽」でも聴いたりしている。子ザルの一方的な解説によると、ハリーポッターの世界観が好きらしく、イメージは「グリフィンドールの談話室の暖炉の前」が理想とのこと。分かるような分からないような…。ちなみに、晴れた日には陽の光が入ってこないように遮光カーテンを引いて、わざわざ卓上ランプを灯し、放たれたオレンジ色の光の下で宿題をやっている。あのう、電気代が無駄にかかるんですけど…。

子ザルは得意げだ。何やらネットの診断で「動物に好かれやすい度」を調べたところ、90%という数字をたたき出したらしい。スマホの画面を見せながら「すごいじゃろう?」とドヤ顔だ。「動物が撫でて欲しいのか、そうじゃないのかが分かるからね」とご丁寧な解説までついてきた。一方、私は動物には好かれにくいタチだ。犬でもネコでも嫌いではないのに、あまり寄って来てもらえない。たまに子ザルと一緒に近所を歩いていると、美容室で飼われているネコが出てきて、「ニャーン」と子ザルに甘えて寄ってくるが、私が近づこうとすると、さっと逃げてしまう…。子ザル曰く「動きが急なんよ」とのこと。私のガサツな動きは動物が警戒してしまう動きらしい。「ムツゴロウさんみたいだねぇ」と言ったら、「?」とのこと。子ザルにムツゴロウさんは通じなかったか…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?