軽やか

岩手の春は寒い。新潟も寒いけど、やっぱり岩手はさらに冬が近く春が遠い。
ただ、梅雨とは無縁なので春から夏にかけてはカラッとした天気が続く。
私は、春の寒さが好きだ。天気が良く、ヒヤリとした朝は一番いい朝だと思う。冬のヒヤリとは違う、優しいヒヤリ。大好き。

仕事はさっそく忙しいかんじになっている。残業は意地でもしない！と思って、ほぼ定時で帰っているけど、出勤したら退勤までシャカリキに働いている。本当はシャカリキになんて働きたくないよ……と思うけど、でもある種の気持ちよさはある。
時には情けないミスをして、まぁミスは全て情けないけれど、特に「あ〜これ気づいてたのに適当にやろうとしてほっといてたからだ」と思うようなやつ、後回しにしていたようなことからのミスが1番私をえぐる。
気づいた時にやればいいものを……よくない後回し癖が致命傷。こんなんで本当すみません……と思うんだけど、少し経てば平気になる。平気にさせる。幸い、うちの職場には感情的になって怒る人はおらず、変なマウントを取る人も、人を馬鹿にするような言い方の人もいない。私もちゃんとしおらしくすみませんと言うので、その効果もある。
開き直りははやいけど、ちゃんと反省してるので許してね！！！！と思っている。

1ヶ月半ぶりの美容院は、今回も会話が軽やかだった。柔らかい光の入る美容室は、今日も空気が澄んでいる気がして入った瞬間に息がスーッと吸える。予約していた時間よりも10分遅れてしまい、向かっている途中で電話をして、すみませんと入ってもにこやかに迎えてくれてありがたい。新しい仕事はどうですか？、今週末は暑いみたいですね、GWは休めましたか、などなどよくある雑談。一定の距離を保った会話は、意外と嫌いじゃない。新しい職場は仕事以外の話を全然しないんですよねと私が言うと、それだと誰と仕事してるかわからなくなりますねと言われてドキッとする。雑談の中で核心をつかれたようなドキッ。確かに私は誰と仕事をしているんだろう。隣の人が何歳で、どこに住んでいて、結婚しているのか、子どもがいるのか知らない。何も知らないな〜と思うけど、でも知らなくても仕事はできるわけで。私のこともみんな知らないわけで。何も聞かれないことはとても心地よくて。どちらが良いのかはわからない。
ただ、軽やかな会話がないのは事実なので、あの職場に軽やかさがもっとあるといいなと思った。
ぱつんと切り揃えたセミロングから、レイヤーが入ったセミロングに変わった。顔周りの髪は短くて、全体的に軽くなった。ちょっとした気分転換、完了。

妹の結婚が決まり、両親はそんなに浮かれてないけれど、何かと結婚の話になる。先を越されたな〜〜とはっきり思っている。私の方が先に結婚したかったな〜〜と確かに思っている。仕方ないけど、思っているんだからそれも仕方ない。まっさらなおめでとうは送れないけれど、絶対に幸せでいてほしい気持ちは確かだ。まっさらな祝福しか祝福として受け入れてもらえないのだとしたら、そんな息苦しいことはないと思う。言わないけれど、でも私が少し不貞腐れていることを妹も両親も勘付いている。

この間、素敵な雑貨屋さんでカレンダーを買った。机の上にポツンと置かれているだけでかわいい。好きなものを少しずつ揃えて、並べて、愛でていく。

あ〜〜、軽やかでいたい〜〜、軽やかになりたい〜〜